柳家三三×読売日本交響楽団

僕をオトナにしたクラシック

柳家三三のプロフィール写真 (C)Renji Tachibana

●柳家三三(やなぎや・さんざ)/1993年柳家小三治に入門。2006年、真打昇進。落語界の次世代を担うエース。常に進化し続ける本格派の落語家。

更新日:2017年10月2日(月)

今月の名曲:
ベートーヴェン『交響曲 第9番「合唱付き」』 いわゆる年末恒例の「第九」!

 年末といえば『第九』。
 日本独特の風習だとうかがったこともありますが、皆さんは賛成派?  それとも慎重派?  僕自身はちょっとヘソ曲がりな性格もあり、「暮れだからって猫も杓子も第九じゃなくてもいいじゃないか」と思っていたんです。
 ところが一昨年、クリスマス・イヴに読売日本交響楽団さんの『第九』のコンサートで素晴らしい時間を過ごすことができました。生の『第九』の演奏にふれる機会はその日が人生初でした。家でCDを聴くのとは違う、ホール全体が、そして身体の中がこの名曲で満たされるような未知の体験に心躍ったものです。で、今の私の意見は「年末だろうが夏だろうが、いい音楽はいつ聴いてもいいんだ!」という……。実はその半年後、初夏のコンサートでまた結構な『第九』の体験をしたものですから、テヘヘ。
 とにかく動機や理屈は二の次、まっさらな気持ちで音楽にふれるとよく知っているつもりの曲でも、思いもよらない新鮮な出会いがあるんじゃ ないでしょうか。
 落語家が高座にあがるときにも「どんなに慣れた噺も初めて演じるようにしゃべる」という
のが昔から伝わる教えです。クラシック音楽も落語も昔からあるものだけれど、演じる側も客席も新たな発見や出会いがあれば、手垢のついたものではなく、いつまでもみずみずしい魅力にあふれたものになると思いますよ!

この曲を落語に例えると…
六代目 三遊亭圓生 『文七元結』

そのココロは!

―名作であり、大作であり、おいそれとは手出しできないという共通点。
さらには「年の瀬に聞くのにもってこい」という、まさにぴったりな見立てだと思います。
他に「大工(第九)調べ」って噺もありますけど……。

《第九》演奏会年末に響く“歓喜の歌”
2017年12月19日(火)・20日(水)19:00
サントリーホール
S席9,500円 A席7,500円
B席6,000円 C席4,500円(税込)
問合せ:読響チケットセンター
 tel.0570-00-4390(10:00〜18:00)
出演:
エマニュエル・クリヴィヌ(指揮)
インガー・ダム=イェンセン(ソプラノ)
清水華澄(メゾ・ソプラノ)
ドミニク・ヴォルティヒ (テノール)
妻屋秀和(バス)
新国立劇場合唱団(合唱)
曲目:
ベートーヴェン/
交響曲 第9番「合唱付き」