柳家三三×読売日本交響楽団

僕をオトナにしたクラシック

柳家三三のプロフィール写真 (C)Renji Tachibana

●柳家三三(やなぎや・さんざ)/1993年柳家小三治に入門。2006年、真打昇進。落語界の次世代を担うエース。常に進化し続ける本格派の落語家。

更新日:2019年2月4日(月)

今月の名曲:
ブラームス 『交響曲 第4番』 作曲家が到達した諦観の境地

 人間には趣味嗜好、好き嫌いというものがどうしたってあるものです。私はどちらかといえば好き嫌いがない性格で、食べられないものもなく、着るものにこだわりもありません。けれど「好き嫌いすることが嫌い」というジレンマを抱えております。
 嫌いなものが少ないぶん、好きなものはたくさんあります。大好きなクラシック音楽の中でも、今月とりあげるブラームス作曲『交響曲 第4番』は、とりわけ好きな一曲です。ブラームスの交響曲ならば、“ベートーヴェンの第10番”と称されたともいう堂々たる第1番を筆頭に、第2番は“田園”、第3番は“英雄”と――そのたとえが適切かどうかの賛否はあるにせよ――それぞれに異名を持つ名曲です。そこへゆくと第4番は名曲のほまれも高いのですが、時に“渋い”、“古くさい”などと評されることもあります。しかし私にとっては誰がなんと言っても……誰もなんとも言ってやしませんが……この曲が好み。忙しい毎日ですが、ポンと時間が空くことがあり、ゆっくり音楽を聴きたいと思うと、この曲のCDを手にとることが多いです。これはもう好きだからとしか言えず理屈では説明できません。
 ところがこの第4番を実際にコンサートホールで聴いたのは2回だけ。もしできれば今回は客席に座ってたっぷりと味わえたらなあ、なんて夢想しているのです。

この曲を落語に例えると…
入船亭扇橋 『ねずみ』

そのココロは!

落語というのは楽しさにも幅がある、と教えてくれたのは扇橋師匠でした。渋い芸風の中にそこはかとなく漂うおかしみ、ペーソス。「面白い落語というのは、どこか悲しいんだよ」と、時々おっしゃっていましたね。

ドイツの名匠ヴァイグレが登場! 深い響きによる《極上のブラームス》
2019年5月18日(土)・19日(日)14:00
東京芸術劇場 コンサートホール


料:
S席7,500円
A席5,500円
B席4,500円
C席4,000円(税込)

問:読響チケットセンター
  tel.0570-00-4390
 (10:00〜18:00)

〈出演〉
セバスティアン・ヴァイグレ
(常任指揮者)

岡田 奏(ピアノ)

〈曲目〉
ロルツィング:
 歌劇『ロシア皇帝と船大工』序曲
モーツァルト:
 ピアノ協奏曲 第21番
ブラームス:交響曲 第4番