柳家三三×読売日本交響楽団

僕をオトナにしたクラシック

柳家三三のプロフィール写真 (C)Renji Tachibana

●柳家三三(やなぎや・さんざ)/1993年柳家小三治に入門。2006年、真打昇進。落語界の次世代を担うエース。常に進化し続ける本格派の落語家。

更新日:2019年1月7日(月)

今月の名曲:
ベルリオーズ 『幻想交響曲』 失恋した芸術家が見る幻想と狂気!

 私、こういう連載をさせていただいていおいてナンですが、音楽の実技的な面でも、歴史とか学問的な面でも、まるで詳しくないんです。けれど、そんな私でも、この曲を聴いて思いましたよ。「ロマン派だなぁ」って。
 個人的にはものごとを表現するときに、感情むき出しで熱すぎる、というのが苦手です。うーん、こう書くとちょっと違う気がするから、もうひとつ付け加えると「私のこと、僕のこと、わかってわかって!」と押し付けられる感じ。押し付けがましくなければ熱い感情も大好きですよ。
 ベルリオーズ作曲『幻想交響曲』。これはもうとめどなく溢れる思いが、すごい熱量で迫ってきます。何しろ作曲者は当初、演奏の際にはベルリオーズ自身によって解説されたプログラム・ノートを聴衆に配るよう指示したという話もあるくらいですから。そこまで「わかってくれ」と言われると普通は鼻白むところなのですが、ロマン派を代表する名曲には、そんな理屈は関係なし。美しいメロディーはとことん美しく、狂気的なところは圧倒的。そして目の前にそのドラマチックな映像が見えてしまうのです。
 私はこう言っておきながら、高座で常にクールでクレバーな落語をしゃべっているわけではありません。冷静に噺をお客さまにお伝えする気持ちが45%、熱く登場人物になりきる気持ちが45%、あと10%は「終わったら何食べようかな〜」。

この曲を落語に例えると…
五代目 三遊亭圓楽 『浜野矩随』

そのココロは!

 ――「笑点」の司会として理知的なイメージも強い、先代・圓楽師匠は大変に情熱家でもありました。人情噺を演じて気持ちが入ると、思わず涙を流しながらの高座になることも。親子の命懸けの心情を描く名作はまさに師匠の独壇場でした。

色彩の魔術師”名匠カンブルランが登場。 得意の《幻想》を指揮し、客席は熱狂!
2019年3月23日(土)・24日(日)14:00
東京芸術劇場 コンサートホール


料:
S席7,500円
A席5,500円
B席4,500円
C席4,000円(税込)

問:読響チケットセンター
  tel.0570-00-4390
 (10:00〜18:00)

〈出演〉
シルヴァン・カンブルラン(指揮)
ピエール=ロラン・エマール(ピアノ)

〈曲目〉
ベルリオーズ:
 歌劇『ベアトリスとベネディクト』序曲
ベートーヴェン:
 ピアノ協奏曲 第3番
ベルリオーズ:
 幻想交響曲