home  >  WEBインタビュー一覧  >  吉久直志・青木清四郎・清水りさ子・松元千明

PICKUP
吉久直志・青木清四郎・清水りさ子・松元千明

キメ画像1

真っ直ぐな心で戦い続ける登場人物たち。その気持ち良さは見逃し厳禁!

独自の表現方法を駆使した人気コミックの舞台版、待望の続編はさらにパワーアップ!

昨年11月、藤田和日郎の超人気コミックを舞台化して話題となったカプセル兵団の『月光条例ー月光編ー』。その続編となる『ーカグヤ編ー』がいよいよ上演される。何十年に一度、青き月の光によっておとぎ話の世界の住人が暴走するという常識破りのストーリーを、カプセル兵団お得意の“ビジュアルイマジネーション演出”によってダイナミックなエンターテインメントに仕上げる舞台は一見の価値あり。脚本・構成・演出を担当し、Wキャストで主演も務める吉久直志をはじめとするメインキャスト4人が、新作への期待を力強く話してくれた。

PROFILE

吉久直志(よしひさ・なおゆき)のプロフィール画像

● 吉久直志(よしひさ・なおゆき)
兵庫県出身。惑星ピスタチオでの経験を基に98年からプロデュース公演を行い、00年にカプセル兵団を旗揚げ。以降、すべての作品に出演。派手なアクションと膨大なギャグを折り込んだスピーディーな演出と、観客を飽きさせないわかりやすいストーリー展開で21世紀型の演劇表現を追求し続けている。

青木清四郎(あおき・せいしろう)のプロフィール画像

● 青木清四郎(あおき・せいしろう)
1983年生まれ、千葉県出身。07年に山形大学教育学部を卒業後、カプセル兵団に入団。以降、ほぼすべての公演に出演。客演も含めると年間6〜7本の舞台に出演するほか、イベントのMCやヒーローショーなど、多岐に渡って活動。小道具の製作も手がけている。

清水りさ子(しみず・りさこ)のプロフィール画像

● 清水りさ子(しみず・りさこ)
1995年生まれ、東京都出身。ワタナベエンターテイメントカレッジ所属。舞台出演歴は、北区AKT STAGE×TUFF STUFFプロデュース公演『二代目はクリスチャン』(つかこうへい作/13年)、カプセル兵団『月光条例ー月光編ー』(14年)など。

松元千明(まつもと・ちあき)のプロフィール画像

● 松元千明(まつもと・ちあき)
1989年生まれ、鹿児島県出身。高校在学中からモデル事務所に在籍し、その後ワタナベエンターテイメントカレッジ声優コースを経て、現在は10-POINTに所属。雑誌のグラビアを中心に活躍している。趣味はコスプレ。

インタビュー写真

――― カプセル兵団は、同じ藤田和日郎原作の『からくりサーカス』を2012年に上演しており、『月光条例』はそれに続いての舞台化となる。

吉久「もともと藤田先生の作品が大好きで、ご縁があって『からくりサーカス』を舞台化させていただいたんです。この『月光条例』もすごく好きな作品で、去年ちょうど連載が終わったので、タイミング的に一番いいんじゃないかと思ってやらせてもらいました。
 原作のストーリーを最後まで入れたかったので2回に分けましたが、DVDなどで後からいくらでも観られる映画と違って、演劇は1公演で1つの物語として成立するものを作らないと意味がないと思っているので、続編と言っても単に後半の話をやるのではなく、別のキャラクターの視点から描いた裏の話として構成しています。だから今回だけ観ても楽しめますし、両方観ていただいた方は、さらに“おおっ!”ってなると思います」

――― イメージ豊かに表現されたコミックの世界観を存分に伝えきる武器となるのが、カプセル兵団の掲げる“ビジュアルイマジネーション演出”。舞台を客席で囲むように配置し、空間全体をカバーする音響と照明によって観客は圧倒的な臨場感を体感できる。

吉久「映画や映像の表現がCGやアクションの発達によって進化し、お客さんの目も肥えている中で、演劇も新しい見せ方に挑戦していかないと未来はない。技術面でも、以前はできなかったり難しかったりしたことが可能になっているので、劇場で観ないと体験できない演劇というものを打ち出す手段として今のスタイルを始めました。
 また、ダンスの取り入れ方にも特徴があります。普通の演劇のようにダンスシーンで物語の時間が止まってしまうのではなく、役者が台詞をしゃべっている周りでダンサーさんが踊ることによって、登場人物の内面を伝えたり背景を表現する。そこで生まれるある種の芸術的な空間は、やはり劇場で観ることで想像力をかき立てられるものだと思います」

インタビュー写真

――― 暴走するおとぎ話のキャラクターたちに“条例”を執行していく主人公・岩崎月光を吉久とWキャストで演じるのは、カプセル兵団に2007年から所属する青木清四郎。前回の『ー月光編ー』と同じく、月光を担当しない回ではライバル的存在の高木天道を吉久と交替で演じる。

青木「月光は、体型も含めて自分は原作のビジュアルに比較的近いと思うんですけど、天道は巨漢なので、メイクとか喋り方でなんとか近付けながら、舞台に出る前に腕立て30回くらいして、少しでも大きく見せるようにしたいです(笑)」

吉久「前回はストーリー的に天道がそれほど活躍しなくて、月光がずっとしゃべっていたので、月光役だと声が枯れてくるんだよね。で、枯れてきた頃にWキャストで代わって、ちょっと休めたという(笑)」

青木「月光と天道が同じシーンに出てるときがあって、そのときはちょっと混乱しました。同じ台詞をユニゾンしちゃったり(笑)」 吉久「台詞が逆になったこともあったね(笑)」

インタビュー写真

――― 月光の幼馴染みであるヒロイン“エンゲキブ”を演じる清水りさ子と、同じくヒロインの1人で図書委員の美少女・工藤伽耶を演じる松元千明は、共に『ー月光編ー』でカプセル兵団の舞台に初参加。

清水「エンゲキブはすごく元気で可愛らしくて、こんな子がいたら周りは明るくなるだろうなって思える女の子なので、少しでも近付けたらいいなと思って演じました。印象に残っているのは……全体的にすごく体力を要する舞台で、やっているときは楽しいんですけど、終わった後で“ホッ”ってなる感じでした(笑)」

松元「前回の稽古に入る前、カプセル兵団のことを知っている方からは“今から走り込みをしておいた方がいいよ”って言われていたんですけど、実際、舞台上ではものすごい人数がずっと走り回っていて、止まっているときがほとんどなかったです。観に来てくれた知り合いの方には“すごいね、風を感じたよ”って言われました(笑)。
 私も漫画はよく読む方なので、原作のファンの方が舞台を観たときにイメージとかけ離れすぎないようにしたいと思いましたし、でも同時に、舞台の工藤伽耶はこういう感じなんだって思ってもらいたいところもあったので、原作を一生懸命読んで取り組みました。その中で、優等生だった工藤伽耶が少しだけハメを外す印象的なシーンがあって……結局舞台には出てこなかったんですけど(笑)、藤田先生に実際にお会いしたときにそのシーンの話をさせていただいたんです。そんなことも心に残っています」

吉久「今回の『ーカグヤ編ー』は女の子たちが頑張って戦う話なので、一生懸命生きている女子高生たちが可愛く見えればいいなと。愛に生きるエンゲキブと、正義に生きる工藤。2人ともヒロインなので、観ている人からはどちらも好かれるキャラクターになってほしいですね」

インタビュー写真

――― キャストの組み合わせが4パターン用意され、観るたびに違う印象を与えるよう工夫されているのも見どころの1つ。

吉久「前回は2パターンでやりましたが、今回は出演者に新しいキャラクターもたくさん加わるので、劇団始まって以来の出演者数になります」

松元「特別出演も含めると59人! 私、数えてみてびっくりしました(笑)」 吉久「キャラクターが代わると、同じ話で同じ立ち位置で同じことをしゃべっても全然違う印象を受ける。そこは演劇の面白味だろうなと。
 今回は特別出演で、大阪からシアターOMさんという劇団からゲストで来ていただくのですが、そこは同じ藤田和日郎先生の『うしおととら』を舞台化した有名な劇団で、原作の『月光条例』に『うしおととら』が登場するので、そのシーンに出てもらおうということでお呼びしました」

――― さまざまな面でパワーアップした続編、まさに見逃し厳禁!な舞台と言っていいだろう。

吉久「前回はおとぎの話がメインで、ちょっと懐かしい気持ちになる舞台だったと思いますが、今回はちょっとSF的な内容で、アクションシーンはものすごく増えます。テーマも少し変わる予定ですが、登場人物はあくまでも藤田先生の作ったキャラクターなので、男も女もみんな真っ直ぐで、曲がったことに対しては逆らって戦い続ける。そういうところを、観ている人が気持ち良く感じてもらえるように作っていきたいと思います」

清水「原作の漫画を読むと、エンゲキブには元気なところだけじゃなくて、そうじゃない陰の部分も持っています。そこは私も人間として理解できるので、舞台でもしっかり表現したいです。アクションは……どちらかというとちょっと不器用なところがあるので(笑)、頑張ります!」

松元「もともと気が強くて頑張っている女の子だった工藤伽耶が、今回はさらに1人の女のとしての強さを見せていきます。これを舞台でどう表現するんだろう?っていうシーンもいっぱいあるので、楽しみにしていてください!」

青木「手前味噌になりますが、3DCGなどの表現を舞台に昇華して、映画ともアニメとも違う見せ方をしているカプセル兵団の芝居はとても面白いと思います。僕は藤田先生の『月光条例』がほんとに好きで、好きなコマや台詞がたくさんあるので、吉久さんの演出との兼ね合いの中で、できる限りそれを再現したいなって思ってます。特に今回は、天道のかなりヤバいシーンがあって……ここではちょっと言えませんが、すげえやりたいです!
 あと、僕は小道具も作っていまして、月光が持っている舌切り雀のハサミとか、鉢かづき姫が被っている鉢とか、その辺はだいたい僕が作っています。よろしければそのあたりにも注目していただければ幸いです」


(取材・文&撮影:西本 勲)

キメ画像2

公演情報