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太田基裕
2021年4月から放送され、音楽朗読劇からの初のTVアニメとして話題を呼んでいる「MARS RED」(原作:藤沢文翁)。コミカライズ、アプリゲーム化されている人気作が満を持しての舞台化となる。
● 太田基裕(おおた・もとひろ)
1987年1月19日生まれ、東京都出身。ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ・千子村正役、舞台『囚われのパルマ−失われた記憶−』主演・ハルト役など2.5次元舞台作品で活躍の他、その歌唱力には定評があり、ミュージカル『ローマの休日』アーヴィング役なども務める。2021年秋に公演予定の演劇調異譚『xxxHOLiC』で壱原侑子役を演じることでも話題に。
――― 脚本・演出を担当するのは、AND ENDLESS主宰としても知られる西田大輔。その西田と主演・栗栖秀太郎を演じる太田基裕は、意外にも初タッグとなるという。
「(初タッグなのは)意外ですか(笑)? そうなんですよ。色々な方から言われますが、本当に初めましてなので、新しい出会いの1つとして“どういう方なんだろう?”って、ワクワクしています」
―――稽古はこれから始まるとのことだが、すでに期待に胸をふくらませている様子の太田。この作品の見どころについて聞くと……
「アニメの内容がギュッと1本の舞台になっているので、盛り沢山のストーリーですが、その中で1人1人のキャラクターのバックボーンをそれぞれの役者がどう深堀りして見せていくかが肝になるかと思います」
―――自身が演じる栗栖秀太郎は、図らずもヴァンパイアの力を手に入れてしまう運命をたどるキャラクターだ。そんな栗栖を演じるにあたっては、今の時世も鑑みながらこう話した。
「ヴァンパイアという架空の存在を演じるわけですが、そこにリアリティをもたせたい、お客様に感情移入してほしくて。特にこの『MARS RED』という作品は、関東大震災などで混沌としている時代背景が描かれている物語で、そういう意味では今の僕らがおかれている状況に近しいものもあると思うんです。
何が本当で、何が嘘か分からない……大正時代となると今ほどインフラも整っていないから、それこそもっと色々なデマも飛び交っていたかもしれません。信じられるものは自分の心しかない、信じるものは自分で決めなきゃというキャラクターたちの置かれた状況に、お客様が共感できる部分があるのではないかと思います。僕自身も栗栖を通して、自分を見つめ直したいですね」
―――また“ロック”ミュージカルと謳われている本作の音楽面について、太田自身も楽しみに想いを巡らせているようだ。
「生バンドでの公演になります! 確かにロックとの親和性が高い作品だと思いますが、稽古がこれからなのでどこまで“ロック”になるのかは僕も楽しみですね……ギュンギュンにエレキギターが入ったりするのかな(笑)!? 1曲1曲、例えばちょっと楽器編成が違うだけで全然雰囲気が変わってくると思いますので、楽曲が物語をどう盛り上げていくのかもぜひお楽しみに!」
―――緊急事態宣言の期間が延び続ける情勢の中、一つひとつの言葉を慎重に選びながら語る姿が印象的だった太田。最後は笑顔で締めてくれた。
「こういう情勢ですが、“観劇する”という選択肢を選んでくださったお客様のために、この『MARS RED』に限らずですが、その作品のテーマ、伝えたいことを役者として豊かに届けたいと思っています。作品のメッセージを受け取ってもらえたら嬉しいです」
(取材・文:通崎千穂 撮影:安藤史紘)