> WEBインタビュー一覧 > 岡ちひろ・村瀬文宣・佐藤 颯
ぱすてるからっと旗揚げ以来、最大規模の劇場に挑む本作は、仮想の街“ロンドン”を舞台に女探偵シャーロック・ホームズと彼女に振り回される相棒ワトソンの活躍を描く、レトロとファンタジーを融合させた新作。ダンスや歌といったいつも通りのエンタメ要素はそのままに、演劇性も高めた2.8次元舞台を創り上げるという。主役のホームズには劇団を牽引する女優・岡ちひろ。そしてワトソンに30-DELUXでスピード感溢れる殺陣をみせて活躍する村瀬文宣を迎え、先進のプロジェクションマッピングも取り入れた新感覚の舞台になるという。
● 佐藤 颯(さとう・そう)
東京都出身。演出・脚本家として劇団ぱすてるからっとを旗揚げ。以降現在までに、舞台公演・朗読劇の脚本・演出、ダンスイベントの企画・演出を多数手がける。演出家として活動する傍ら、自身も俳優としてテレビドラマ・映画・舞台への出演もしている。主な出演作にNHK『八重の桜』、テレビ朝日『お天気お姉さん』、舞台『LIFE』他、テレビドラマ・映画・舞台・CM・声優で出演中。
● 岡ちひろ(おか・ちひろ)
福岡県出身。双葉社「ミス・アクション2016」ファイナリスト。劇団の中心メンバーとして旗揚げから参加。さらに外部公演にも多数出演している。また作品でのダンス指導や振付も手がける。さらにその一方でソロアイドルとしての活動も展開。2017年には自身初のワンマンライブを開催するなど、ライブ活動にも励んでいる。
● 村瀬文宣(むらせ ふみのり)
兵庫県出身。
30-DELUXのメンバーとして『のべつまくなし』『スクアッド』『シェイクス』等多くの作品で主演や主要な役を演じ、スピード感溢れる華やかな殺陣でも観客を魅了。『舞台版 誰が為のアルケミスト』〜聖ガ剣、十ノ戒〜のバシーニ役、『ワンピース音宴〜イーストブルー編〜』シャンクス役 他に出演している。
――― 8月に『その錆びた冷たい鉄』を池袋のBIG TREE THEATERで上演してから、それほど間が空いてませんし、あの時の宣伝コピーが「シアターグリーン劇場最大劇場……」だったのですが、今回は新宿村LIVEに進出。「劇団ぱすてるからっと最大規模舞台公演」になっています。
佐藤「初挑戦の新宿村になります。劇場が大きくなるにつれて皆さんの期待度は上がっていきますし、注目していただいているので、それに応えたいです。前回公演は再演だったのですが、今回は全くの新作です。そしておそらく今年最後の公演になるでしょう」
――― 前回のインタビューでも規模が徐々に大きくなっていることに触れましたが、またサイズアップですね。いつ紀伊國屋に行くんですか?(笑)。
佐藤「そうですねえ、2年後くらいに?(笑)」
岡「私はシブゲキ!!に出たいです。立地が良くてキレイなところが好きなんです」
――― その意気や良し、といったところですが、今回の舞台はロンドン。シャーロック・ホームズとワトソンの活躍がみられるそうですね。
佐藤「僕がロンドンやホームズの世界観が好きで、その題材で書きたいと思っていました。さらにホームズはファンが沢山いるので、是非そこも取り込みたいです。もちろんウチの劇団のカラーも全面に出した作品になりますが。、この題材だときっと冒険劇になるで、大きな劇場でやりたいと思っていました。今回新宿村というある程度大きな劇場で公演を打てることになったので、それならと思って決めました」
――― 以前『イモーラル・ディレクティブ』(2019)の舞台も大正時代の東京でしたが、佐藤さんは“少し闇を抱えた時代の都会”が好きですよね。
佐藤「そうですね。今回は第2次アフガン戦争(1878〜1881年)のあたり、イギリスが戦いに明け暮れていた時代を意識しています。この時代は機械が急速に発展してきた時代でもあります」
――― そこで活躍するホームズは、女探偵というユニークな設定です。
佐藤「主役のホームズは岡さんともう一人のダブルキャストで。、ワトソンは村瀬さんだけのシングルの予定です」
岡「8月に主演をしていたので、連続はないだろうと思ってましたが、新宿村LIVEに出ることは私の目標でもあったので、そこで主演だというので、内容も聞かずにオッケーしました(笑)。舞台になるロンドンの雰囲気は私も好きなんで。
でもホームズについてよく知っていたわけではなくて、ホームズやモリアーティ教授については『名探偵コナン』と『大逆転裁判』に触れてなかったらわからなかったですから(笑)」
――― そしてワトソン役の村瀬さん。どんなきっかけで知り合われて、オファーすることになったのでしょう。
佐藤「村瀬さんとは初めてのお付き合いですからね。最初は岡さんの紹介で、Twitterに上がっている動画を見ると殺陣がもう凄くて。しかもこちらの公演も観ていただきましたし。僕達としてはなかなかのビッグオファーだったので、受けてもらえて嬉しいですね」
村瀬「前回の公演を拝見して、若い人達の熱気を感じました」
岡「友達を介して知り合ったんですが、すごい殺陣の動画を観て、すぐに佐藤さんに連絡したんです」
村瀬「普段僕が参加している30-DELUXは、作品に必ず殺陣が入るんです。それで劇団内でも外部でも殺陣をやってきましたし、自分でも作ってきました。今回でも殺陣ができることを楽しみにしています。僕は今回の座組だと結構年上になりますが、皆さんと一緒に熱いものを作りたいなぁと思いまして」
岡「年上ねぇ。私も同じことを感じることが最近多いんです。ぱすてる高齢化現象(笑)」
佐藤「まだどんなキャラクターになるかはわかりませんが、村瀬さんはひょろりとした印象があるので、原作にあるきっちりした感じのワトソンからは離れ、岡さんのホームズに引っ張り回されるキャラクターにしようかと思ってます」
村瀬「今まであんまりそういった感じの役をやったことはないので、それも楽しみですね」
――― 今作は更に「2.8次元舞台」を謳ってます。いわゆる2.5次元にプラスされるコンマ3はどのあたりになりますか。
佐藤「ストレートな舞台を3次元として、そこと2.5次元との中間あたりを狙いたいなと思ったんです。リアル過ぎず、といってアニメ的過ぎず。僕の好きなエンターテインメント部分はしっかり残しますが、セリフ重視のシーンも増えるかと思います」
――― プロジェクションマッピングも取り入れるそうですね。それにもちろんぱすてるならではの歌やダンスもありますよね。
佐藤「坂内友樹さんという、すでにいくつもの舞台を手がけている方に参加していただいています。映像の効果で色々な表現が実現できますからね。もちろん歌やダンス、殺陣もちゃんとあります」
岡「主題歌は私が歌います。いつもオリジナルの曲を作曲家さんがいるんですが、丸投げ状態の佐藤さんのオーダーにいまだに悩んでいるようです(笑)」
――― 色々な部分で期待はアップするばかりですね。最後に皆さんそれぞれの抱負を伺いましょう。
岡「自分で言うのは恥ずかしいですが、私は自分を主演向きだとは思っていません。だからこそ私自身が必死に食らいついて、お客さんにこの人が主演でいいなと思ってもらえるような役者に成長したいです。こんな時期ではありますが、楽しむことは必要ですし」
村瀬「若いメンバーの中で、自分も若者だとおもって精一杯やりたいです(笑)。それに新しいことに挑戦する公演に参加できるのは嬉しいですし、殺陣については皆さんの力になることができればと思っています。僕自身、皆さんに普段とは違う一面を見せたいと思います」
佐藤「ともかく今回は大きなステージなので、エンターテインメント性を打ち出したいですし、やはりいつかはトライしたかったプロジェクションマッピングは目玉になります。そういったところにご注目いただけたらと思います」
(取材・文&撮影:渡部晋也)