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落語×舞台で問いかける今昔かわらぬ物語

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高齢者教習を通して見えてくる人の思いや尊厳。一番良い選択とは?

これは人生の交差点を行き交う人たちの物語

高齢ドライバーの運転免許証自主返納という社会問題をテーマに、人や家族、社会のあり方を問いかける意欲作。真打の噺家による高座から始まる「落語との融合」はシビアな問題に対して観客を明るく前向きに導く新しいチャレンジだ。ある自動車学校での高齢者教習にやってきた男女。 付き添いでやってきた女の娘は母親の免許更新に否定的だった。母親はボケているのか、それとも……? 主演の竹内都子、中西良太に加え、高座「死神」を披露する古今亭菊志んの3人に本作にかける意気込みを聞いた。

PROFILE

竹内都子(たけうち・みやこ)のプロフィール画像

● 竹内都子(たけうち・みやこ)
1962年生まれ 、大阪府出身。 1984年石井光三らが立ち上げた劇団七曜日に入団。コント赤信号らと共に活動。その後 1986年に同期の清水よし子と「ピンクの電話」を結成し、ツッコミ担当として人気 者に。舞台やドラマの他にバラエティー番組でリポーターとしても活躍。2005年からはアニメ『ドラえもん』にてジャイアンのママ役も務めている。

中西良太(なかにし・りょうた)のプロフィール画像

● 中西良太(なかにし・りょうた)
1953年生まれ、兵庫県出身。 1973年ミスタースリムカンパニーに所属し、数々の舞台に出演。1987年には俳優の河西 健司とともにコットンクラブプロデュースを主宰するなど精力的に活動する。強面とよく響く声が印象的で、テレビでの刑事役などのほか時代劇への出演も多い。半面、ギャップのあるとぼけた味も魅力的である。

古今亭菊志ん(ここんてい・きくしん)のプロフィール画像

● 古今亭菊志ん(ここんてい・きくしん)
1971年、広島県生まれ。 落語協会所属大学卒業後、1994年古今亭圓菊に入門。1998年二つ目昇進。2007年真打昇進。2003年NHK 新人演芸大賞を受賞するなど、その実力は早くから認められていた。小気味よいテンポやリズム感が持ち味。2007年公開の国分太一主演映画『しゃべれどもしゃべれども』では落語監修を務めた。2008 年国立花形演芸会銀賞受賞。

インタビュー写真

大好きなジムに通えなくなり肩を落とした父を見ていると……。

――― 高齢ドライバーという社会問題を芝居を通して明るく前向きに考えるという意欲作ですが、このテーマをどの様にとらえていますか?

竹内「まさに私達の世代が抱えている問題ですね。私が実家を離れてからも両親はずっと車に乗っていたので、もう危ないから免許を取り上げるという選択肢は考えにくかったですし、父親は90歳ぐらいまで元気で車でジムに通っていたので、そこにいけなくなるのが辛いと言っている父の姿を見るとなかなか免許返納を迫ることは出来ないです。家族も運動ができなくなって家に引きこもるよりはいいかなと思う一方で、万が一事故を起こしたらというリスクとのせめぎ合いでした。
 こんな感じでどこの家庭でも聞く話なので、台本を読んで物凄い実感がありました。
運転を辞めるという本人の意思決定をどの様に導いていくかというのは未だに正解が分かりませんが、高齢ドライバーの事故や、社会問題となっているあおり運転なども、決して当事者だけの問題ではなく、そうさせる要因は社会の中にあるのではないか?という視点もこの作品には込められています」

中西「私の父も90歳近くまで運転していましたが、とにかく出かけるのが楽しくてしょうがないという性分でしたので、90歳過ぎて免許返納してからは退屈そうにしていた姿が目に焼き付いています。
一方で高齢者の事故が悲劇を生んでいる事実を考えると、運転できないぐらい我慢すればいいという思いにもなりますが、山間部在住し車がライフラインになっている方々にするとそんな事も言っていられない。そういった面からも70歳を機とする高齢者教習はひとつ大きな意義を持つと思います」

――― 実際にハンドルを握る時に将来への不安を感じることはありますか?

中西「僕も実際には判断遅いなと実感する場面も既に出てきています。普通なら瞬時に判断できる状況でも見ているようで見えていなかったという事もありますね。でも時間がかかったとしても、若い頃のように速さを求めるのではなくて、遅くても安全に確実に目的地に着くという事を心掛けています」

インタビュー写真

竹内「私も基本、撮影現場までは車で移動していますが、家から遠い現場だとだんだん辛くなってきていて、片道100キロまでと決めています。絶対に無理はしない。でも人間なので年齢と共に判断能力が遅くなっているのは否めないないですよね。なので、個人的には今後の自動運転技術の進化に期待をしています。完全自動運転になってしまえばお年寄りでも安全に運転ができる。ある意味お年寄りにこそ一番必要な技術なのではないでしょうか。
 インフラが整備されて完全自動運転社会になれば、事故だけでなく、あおり運転もなくなると思うので是非整備されて欲しいです」

高座と舞台で共通する部分がある

――― 真打の落語家である古今亭菊志んさんは落語の演目「死神」を披露されます。高座が装置へと変化する仕掛けは画期的な試みです。

菊志ん「『死神』はその名の通り、人の命を題材とした演目ですが、舞台のテーマとも共通する部分があって、お芝居を観ながらも『あれ?この部分さっきの落語にあった』という感覚になるはずです。僕自身、作中では教習所の教官を演じるのですが、あまり大きな声では言えませんが、実は免許持っていないんです……。(一同爆笑)
 これを先に言って、他の落語家にオファーが行ったら困るので内緒にしていました(笑)。
落語というのは背景のない高座に座って、一人喋りの世界をお客さんに頭の中で広げて頂く演芸ですが、今回はその直後に舞台装置があって一人一役というお芝居に繋がっていくギャップというか、それぞれの特色をひとつの空間で味わって頂ける貴重な機会と思っております。この機会に落語に興味を持ってもらえたら落語家としては嬉しいことです」

家族との対話のきっかけにしてもらえたら

――― この作品を通して観る人に感じ取ってもらいたいことはありますか?

竹内「その方が置かれた状況にもよりますが、これだけ高齢ドライバーの事故が取りざたされていると、危ないから免許返納しなさいという意見が強くなっているのは仕方のないことですが、ただ取り上げておしまいというのではなくて、代わりとなる移動手段や生活方法などを家族が一緒になって考えないと、家に閉じ込めておくだけになってしまうんですね。ですので『うちではこういうようにしよう』といった感じで、ご家族の対話のひとつのきっかけになれば嬉しいです」

インタビュー写真

中西「一概に高齢者は運転ダメ!と言ってもそれぞれ個人差があるじゃないですか。そこに一律に線引きしようと思うから不満が出てくると思うんですよね。僕としてはもういいかなと自主的に車を降りることができるまでは頑張って運転してみなよというある種のエールにできたらなと思っています」

菊志ん「高齢者教習では教官として一癖、二癖もあるドライバーと向き合う役どころなのですが、無理に作るのではなく自然体の演技で演じられたらなと思っています。少ない芝居経験もこの教官のどこか頼りないキャラクターに合うのではないかと。普段は一人で高座に座って、例え失敗しても一人で反省すればいいのですが、1つの作品を多くの人達が関わって作り上げる舞台だとそういうわけにもいきません。当然難しさはありますが、最後の千秋楽のカーテンコールでの全員で分かち合う達成感は特別なものがありますね。竹内さん、中西さんお二人のパワーに張り合うのではなく、『こんな教官いるよね』とクスッと笑って頂けたら嬉しいです」

――― 最後に読者へメッセージをお願いします。

竹内「誰もが通っていく道で、いずれは自分がその立場になるかもしれない。この舞台を観て私ならどうする?と思ってもらえたら嬉しいです。このご時世ですが、難しい話ばかりではなく笑えるシーンも沢山あるエンターテインメント作品ですので、来て頂ければ思い切り笑って免疫力をつけて帰って頂けると思いますので、是非ご来場をお待ちしております」

中西「このご時世にお芝居をやることの意味を考えると、普通だったら流していた部分でも、このタイミングで板の上に立つ人間として、どうしても作品に対しての審美眼は厳しくなりますよね。中途半端なことはできないぞという気持ちを強く持っています。この特別な2020年9月という時間を大切に気持ちを込めて演じたいですね。来年、再来年にまた同じメンバーで仕事ができているかが見通せない時代になってきている中、持続していくことがどれだけ大切なことかを痛感しました。出来る限りの感染対策をして頂くので、是非皆様に良いものをご提供できればと思います」

菊志ん「過去2度ほどやってお蔵入りにした『死神』を引っ張り出してきます。10年以上経っていますので、これをご縁だと思って、十八番に出来たらと思います。演劇でもやれそうな落語なので、お芝居とも相性が良いのでは。劇場で皆様のお越しをお待ちしております」


(取材・文&撮影:小笠原大介)

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公演情報

「銀色のライセンス」のチラシ画像
噺と話 by プリエール
銀色のライセンス


2020年9月15日 (火) 〜2020年9月22日 (火・祝)
テアトルBONBON
HP:公演ホームページ

24名限定!一般4,500円 (全席自由・税込)→ 3,800円さらに300Pゲット!
詳細はこちら
「銀色のライセンス」のチラシ画像
銀色のライセンス

2020年9月15日 (火) 〜2020年9月22日 (火・祝)
テアトルBONBON
HP:公演ホームページ

全席自由(一般):4,500円
全席自由(22歳以下):3,500円
(税込)

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