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鳳 恵弥・渡辺裕之・木村ひさし

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主演の鳳恵弥がいよいよ脚本にも挑戦。成長していく人気の物語

昭和から平成へ。バブル崩壊、そして大震災を乗り越えた寿司屋家族の物語

東京の、いや日本の食を支えている街、築地。豊洲新市場への移転という大転換点を迎えて大きく揺れたこの街だが、最高の食文化を支えるために今も昔も沢山の人々が日夜動き続ける“働く街”として活気を示し続けている。そんな築地に店を構える寿司屋を守り続けた伝説の女主人“こと”さんを主人公に、築地の街を描いた作品が「こと〜築地寿司物語」だ。初演から4年目を迎え、ことが守り続けてきた寿司屋の物語もいよいよ現在に近づいてくるわけだが、主演でもある鳳恵弥が脚本にもかかわる4作目となる今作は、前作に引き続き暖簾を受け継いだ3代目を演じる渡辺裕之を筆頭に実力派の俳優たちが集う顔ぶれとなった。さらに「屍人荘の殺人」などでメガホンを取った木村ひさしが総合演出を手がけるという、今までとはまたひと味違った舞台が期待できそうだ。

PROFILE

鳳 恵弥(おおとり・えみ)のプロフィール画像

● 鳳 恵弥(おおとり・えみ)
東京都出身。2002年のミス・インターナショナルにおいて、準ミスとして日本代表に選ばれる。その後、舞台への出演やモデルとしてTV、CMへの出演を経て、つかこうへい劇団に入団(13期)。以降は女優としてドラマや映画、舞台と本格的に活動を続けるほか、プロデュース、キャスター、執筆活動、演技やダイエットなど様々な指導などマルチに活躍し、2019年には演劇ユニットACTOR'S TRIBE ZIPANGを旗揚げ、演出、脚本も手がけるようになる。2017年に本作品に主演として参加し、今回で4回目の主演となる。

渡辺裕之(わたなべ・ひろゆき)のプロフィール画像

● 渡辺裕之(わたなべ・ひろゆき)
茨城県出身。テレビCMで一躍人気となり、映画「オン・ザ・ロード」の白バイ警官役で俳優デビュー。テレビドラマ「愛の嵐」で女性人気が爆発し、以降「嵐シリーズ」はじめ数多くのドラマ、映画等に出演。シリアスからコメディまで幅広い作品に欠かせない俳優として活躍する。またジャズ・ドラマーとしても評価が高く、ミュージシャンとしてジャズクラブなどで演奏活動も展開している。本作品への参加は3回目。

木村ひさし(きむら・ひさし)のプロフィール画像

● 木村ひさし(きむら・ひさし)
東京都出身。演出家、映画監督。堤幸彦作品に助監督として参加し、さらに幾つもの作品では演出にもかかわる。「民王」で数々の賞を受賞。「99.9刑事専門弁護士SEASON2」では2018年民放年間平均視聴率No1も獲得。近年の監督作品として「任侠学園」「屍人荘の殺人」などを、2020年3月には「仮面病棟」が公開予定。

インタビュー写真

――― この作品にますます深く関わっていく鳳さんに、まずは意気込みをうかがいます。

鳳「脚本にも関わる事になりましたからね。昨年から自身の演劇ユニットを旗揚げしましたが、映像の現場で先輩たちの凄い芝居を拝見して、それを舞台に乗せたいという気持ちが根底にありました。そこでの経験も活かした強力な布陣で挑みます。でもまだまだ自分自身は勉強不足なので、そこは木村監督からのご指導もいただきたいです。また今年はオリンピックイヤーでもありますから、そのあたりの熱気も盛り込んだ作品にしたいです」

――― 渡辺さんは前作に続いて三代目ですね。

渡辺「前回で主人公の家族になったわけですが、この役が続くとは思っていませんでした(笑)。僕は今まで舞台をそれほどやってこなくて映像の世界でずっときました。一部は舞台にも通じるものはあっても、やはりお互いに異質なものを持っているんです。例えば映像だとレンズに向かって演技をしますが、レンズの向こうはあんまり想像しません。ほとんどの役者は監督の意向を察して動きます。でも、舞台は直接お客さんに向かうわけです。稽古も違います。映像の世界は現場に入ってテストして直して本番ですから。

僕はこの作品に加わるようになって稽古もものすごく新鮮で、自分が培ってきた芝居がどこまで通用するかが挑戦だと思ってやってました。2作目では余裕が出てきて、みんなと話し合いながら役を作りましたね。ともかくこの作品はずっと続くものになると思っています」

――― 普段は映画界で活躍される木村さんですが、今回は舞台演出です。

木村「第一作は劇場で拝見しましたが、その時はまさか自分が参加することになるとは思っていなかったです。もう作品の世界観はできあがっていると思うので、そこに僕が参加することで何ができるかを考えてやりたいと思っています。きっかけは鳳さんと別の舞台(「女医レイカ」)でご一緒していることですね」

――― 以前の記者会見で連続ドラマとか映像化も視野に入れたことを鳳さんはおっしゃっていますが、木村さんの起用はその布石でしょうか。

鳳「確かに映像化を意識している作品ですから、私が結構しつこく声をかけていました(笑)」

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――― 今回は「昭和平成激闘編」とありますが、現代に近い時代が舞台ですね。昭和のひとつの象徴でもある前回の東京オリンピック。そして時代の転換ともなったバブル景気とその終焉、そういった激しい時代が舞台でしょうか。

鳳「モデルになった築地玉寿司さん自身、バブルには翻弄されまして、渡邉さん演ずる3代目はその渦中にいたんですね。だからその部分と、平成の終わりにおきた大災害、東日本大震災を乗り越える話になるでしょう。2代目だったことさんから店を受け継いだ3代目、そしてさらに引き継いだ4代目は常々「俺たちは焼け野原から立ち直ったんだ」と社員に話していますが、そういった心意気の伝承が物語の軸になるかと思います。

ことさんは戦後日本の復興にようやく先が見えた時期で開催された前回のオリンピックを見て、1人1人の生活は私たち街の人間が助け合っていける、国っていうのはもっと大きな事に投資して、みんなが明るい将来に希望を持って進めるようなことをこれからもしていって欲しいと喜んだと聞きます。それは現在にも繋がっていると思います」

――― 渡辺さんは前回の東京大会を体験されてますよね。

渡辺「小学生高学年でしたね。ボーイスカウトやっていたので聖火の警備とかボランティアにいきました」

――― さて、築地市場も豊洲に移りましたが、作品に移転の影響はありますか?

鳳「この作品の企画段階から関わっていますが、最初の頃は傍観者の立場だった気がします。一人の役者として演じているだけ、そんな感じでした。でも続けていく度にそれではいけないと気づかされ、どんどん関係性が密になっていき、築地の皆さんに感情移入していきましたし、ことさんを演じているうちに、まるで築地が自分の故郷のような、そんな望郷の念も生まれるようになりました。現実の移転が行われる時期に公演を行ってきたわけですが、場所も大切ですがそこに息づく人々の息吹も大切だと思うようにもなりました。豊洲も活気が上がっていることはいいことですし、こうして市場というひとつの文化が継承されていくのは良いことだと思います」

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渡辺「稽古中や本番中も結構皆で築地に繰り出したりしてたんです。実はこの作品の前後にも寿司関係の作品に関わってきていたこともあって、それで築地の内側を初めて知りました。だからその時点でただの観光客からは脱しました(笑)。もちろん豊洲にも行きました。全然雰囲気が違うから少し寂しい反面、変わらない熱気も感じました。それに残った築地もますます盛り上がっているのがいいです。さらこの作品を上演する劇場(築地本願寺ブディストホール)が築地にあるのもいいんです。「築地でやっている築地の話」ですからね。唯一無二の価値があります。」

――― 4年続けてきて、鳳さんの中の“こと”さんに変化は出ていますか?

鳳「あるかも知れません。役者としてだけでなく脚本や演出に関わるようになり初めて体験する気づきもあり、そうして作品の内側から愛情を持って育てていくようになっていると思います。だからまた違ったことさんの一面が表現できると思います」

――― 色々な成長を経て新たな作品ともいえそうですね。それに挑む皆さんのメッセージをお願いします。

木村「実在のモデルがいらっしゃる話を手がけるのは多分初めてなんですが、モデルとなった皆さんが築地という場所で頑張っていることを多くの皆さんに知ってもらえるような作品にできれば良いと思います」

渡辺「この作品に携わって食や築地の文化や歴史。そして築地玉寿司の歴史などを改めて知ったんです。その喜びを皆さんにも伝えたいですね。ただ芝居を観るのではなく、知的な欲求も満たされるのが他の作品とは違うところですから。お土産を持たせたいですね」

鳳「日本は世界一老舗が多い国だとも言われますが、玉寿司さんはそのひとつであり、時代時代で幾つもの波を越えてきました。そのように越えてきた時代を伝えたいです。どうも昭和後半から平成生まれの皆さんはとても冷静で、情熱や熱狂を忘れている気がするんですね。

私もこの物語でことさんを通して自分の人生をシッカリ歩むこと、一生懸命生きることを学びましたから、そういった部分も渡辺さんや木村監督という最強メンバーとともに伝えたいと思います。いらっしゃる皆さんもただの傍観者ではなく、客席もまた玉寿司の歴史の旅に同乗する座席にいるのだと思ってもらえるよう。美味しく召し上がっていただける作品にしたいと思います」

(取材・文&撮影:渡部晋也)

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公演情報

こと 〜築地寿司物語〜 昭和平成激闘編

【こと〜築地寿司物語〜昭和平成激闘編】は公演延期となります。

日:2020年4月30日(木)〜5月3日(日・祝)
場:築地本願寺 ブディストホール