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辻 勝・小泉謙一・立石 雷

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和太鼓の新境地を開拓する辻勝、3年ぶりの自主公演

それぞれの道を歩んだ3つの個性が奏でる唯一無二のアンサンブル

太鼓芸能集団鼓童メンバーとして活躍し、2016年に独立。その後も様々なジャンルのアーティストと共演し、和太鼓が持つ可能性を探求し続ける辻が3年ぶりの自主公演をおこなう。今回は太鼓ソリストの第一人者、林英哲に師事し、国内外でソロ活動をおこなう小泉謙一と、日本伝統楽器奏者で結成された和楽器集団「東」代表として、海外民族音楽ともコラボレーションをしてきた立石雷がアンサンブルに加わる。それぞれの道を歩んできた3人がどんな音世界を披露してくれるのか?それぞれ公演への意気込みを語ってもらった。

PROFILE

辻 勝(つじ・まさる)のプロフィール画像

● 辻 勝(つじ・まさる)
北海道様似町出身。1976年生まれ。1996年から2016年まで「太鼓芸能集団 鼓童」に在籍し、国内外での公演に数多く出演する。美しく柔らかな音色と抜群の耳で、太鼓奏者としてだけでなく、その唄と踊りも高く評価された。
2016年より東京に拠点を移し、和太鼓奏者、指導者として活動を開始。2016年11月には、市川海老蔵主演「石川五右衛門」の舞台で大太鼓を演奏、以後、市川海老蔵主演の舞台5作品に出演。2019年12月にはサクソフォンと和太鼓のために書かれた楽曲「葦と皮で何ができる?」(作曲:池辺晋一郎氏)、「Jeux V」(作曲:杉山洋一氏)をサクソフォン奏者大石将紀氏と世界初演するなど、ソロ演奏者として活躍している。今までに出演した舞台は、世界24カ国、日本全都道府県で2,000回を超える。指導者としては、和太鼓スクールHIBIKUS横浜にて講師を務める傍ら、各地でワークショップも行っている。

小泉 謙一(こいずみ・けんいち)のプロフィール画像

● 小泉 謙一(こいずみ・けんいち)
10歳から太鼓をはじめ、18歳でプロ奏者として活動を開始する。1999年より太鼓ソリストの第一人者・林英哲に師事。以後「英哲風雲の会」のメンバーとなる。2003年、シドニーを拠点に活動をしている「TAIKOZ」に1年半の期間限定でメンバーとなる。TAIKOZと共に国内ツアーやオーケストラとの共演をし、またソロコンサートも開催する。 帰国後は本格的にソロ活動をし、2015年には活動20周年を記念したアルバム「証-AKASHI」を発売する。現在までソロ演奏をはじめ様々なアーティストと共演をし、国内外で活動をしている。
主な出演歴は、林英哲コンサート「光を蒔く人」「澪の蓮」「レオナールわれに羽賜べ」、上妻宏光コンサート「永遠の詩」吉田兄弟コンサート「飛翔」、シアターコクーン阿部サダヲ主演「八犬伝」等。

立石 雷(たていし・らい)のプロフィール画像

● 立石 雷(たていし・らい)
滋賀県高島市出身の篠笛、能管、和太鼓奏者。高校生時代メキシコに留学。2011年太鼓芸能集団「鼓童」に入団。篠笛を山口幹文氏に師事。2015年鼓童から独立。日本伝統楽器奏者で結成された和楽器集団「東」代表。
チベット、韓国、日本人による多民族芸能楽団「わたら」所属。アイリッシュヴァイオリン、ギター、韓国太鼓、篠笛のワールドミュージックバンド「クヌゲンチェライ」所属。 劇場公演活動の他に、教育機関での芸術鑑賞会、アメリカ、スペイン、イタリア、アルゼンチン、パラグアイなど世界中での指導、祇園篠笛教室「雷音会」主宰、高島市の山奥で行われる森の祭典「YAMAJAM」主宰と多岐に渡り活動中。

インタビュー写真

根底に流れる感覚は一緒の3人

――― 3年ぶりの自主公演となります。

辻「前回2017年の自主公演から時間が経ってしまいましたが、それから今までの演奏活動の中で積み重ねてきたものを披露できるタイミングが今回になったと言えます。元々、雷とは太鼓芸能集団鼓童で同じ舞台に立っていて、言葉がなくても感覚だけで伝わるという間柄というこ事と、小泉さんも僕よりも前に鼓童の研修所にいたという共通点と、鼓童の創設メンバーでもある林英哲さんに師事したということも、今回一緒に舞台作りをする上での面白い要素だと思っています。

独立してそれぞれの道を歩んできた3人で、そのスタイルの違いはあれども根底での感性という面では非常に共通する部分も多く、アンサンブルという形で集まったら面白いという発想から今回に至りました。僕は鼓童に20年在籍していたので、そのカラーが強いのですが、2人の異なる色味がどう加わるか非常に楽しみにしています」

単純に太鼓の響きを楽しんで欲しい

――― 和太鼓が持つ魅力とはなんでしょう? またアンサンブルによってどんなステージになりそうですか?

辻「1発の音の響きの幅がとても広い楽器で、その響き自体に心地よさがありますね。論理的では無いかたちで、何かを身体に強く訴える力があると思います。僕らがやっているような舞台芸術としての和太鼓の歴史は50年程のものなので、まだ色んな人が色んなことを試している段階です。『三の奏』としては何か新しく奇抜なことをやろうというのではなく、単純に演奏者が今まで培ってきたそれぞれの響きをお客さんに楽しく届けたいという思いがあります」

小泉「和太鼓は打楽器なので、複数人で合わせるのが実は難しいのです。実際、一般的なバンドにドラマーが2人も3人もいるバンドはなかなかないですよね。辻さんや立石君が在籍していた鼓童では毎日の様に一緒に揃って稽古を積み重ねているので、集団でもアンサンブルとして成立しますが、普段別々に活動している奏者が同じように成立するかというとなかなか難しい作業になります。それは和太鼓に限らずそうだと思います。

以前に辻さんとご一緒させてもらった時に、タイミングのズレみたいなものが不思議なほどなくて、わずかな練習時間で合わせることができたのを覚えているのですが、そういった経緯から誘って頂いたのではないかと思います。

インタビュー写真

僕の師匠はプロの和太鼓奏者のパイオニアである林英哲なのですが、林英哲はソリストとして名を馳せた唯一の存在で、僕もソリストとして育つような指導を受けてきました。一方、お二人はアンサンブルでの演奏を主とする集団での活動をされてきたので、同じ和太鼓奏者でも異なる部分はかなりあると思います。

でもその異なる部分が重なる面白さを今回出せればものすごく良いものになるのではないかと思うのです。例えば、かみ合わなくても、それぞれが持っている個性や味みたいなものがむしろ全面に出て予定調和とは全く違う表現が出来るのではないかと思っています。
今回、立石君とは初共演ですが、その辺りの事も楽しみですね」

立石「僕は鼓童を辞めて5年経ちますが、独立してからは鼓童とは違うことをやりたいと思っていました。自分にしか出来ないジャンルは何だろうと自問自答を重ねながら、韓国やチベット、アイリッシュなど、外国の民族音楽奏者の方との音楽活動を通して、誰もやっていない音楽をすることに意味を見出しました。僕自身はあまり伝統楽器奏者という意識は持っていなくて、使う楽器は伝統的な楽器ですが、お客さんには1つの音楽舞台を聞きに来るという気持ちで来てもらえたらなと思っています。今回は辻さんにお声がけを頂いて、久しぶりに和太鼓だけの編成に入らせてもらいましたが、自分なりの味を辻さんのやりたい世界観にエッセンスとして加えることが出来たら嬉しいです」

インタビュー写真

辻「今日初めて音あわせをしたのですが、音の中に二人が積み重ねてきた経験が詰まっているなと実感して僕自身も刺激を受けました。そっちがこうくるならば僕はこういこうという感じで、言葉ではなく、音を通して会話をできたら良いなと思います。決め事は最低限にして、その場その場で出てくる音の広がりを舞台にしていければ、お客さんに喜んでもらえるものができると思います。なかなか3人集まっての稽古は限られていますが、3人の技術や個性を本番の舞台の中でも極限まで高めていけたら良いなと思っています」
足りない所を埋めないのもパフォーマンス

――― 和太鼓を聴いたことがない方でも楽しみ方はありますか?

小泉「僕らもお芝居の中での音響効果として演奏をする機会もあります。和太鼓は音で情景を表すこともできる楽器です。皆さんに馴染みのあるお祭りの雰囲気とは全く違う音の世界を提供することも今回の公演の目的でもあります。またこちらが意図する世界観とは違う捉え方をしてもらえても尚、嬉しいですよね。大編成に比べて、3人という人数では足りない部分もありますが、足りない分、それをそれぞれが培ってきた技術や経験で埋める。または敢えて埋めないということも1つのパフォーマンスになるのではないかと思います」

辻「僕は和太鼓を使って、音楽的な表現をもっと高めていきたいという思いから、積極的に他ジャンルの音楽との交流を図っています。先日もサックス奏者の方と現代音楽の新曲を演奏したのですが、使う感覚が全く違う。難しさの中に面白みがあって、自然と従来の和太鼓にはない技術が身に付いてきます。それが結果として自分の技術になって、出される音色も変わってくるのではないかと思います。今回の公演では大太鼓、締め太鼓、桶胴太鼓など8台の太鼓を使用する予定で、それぞれに響き方が違うので、その違いを聴くのも楽しいと思います」

太鼓を打つ美しいフォルムも注目して欲しい

――― 最後に読者にメッセージをお願いします。

立石「太鼓は音楽的な楽しさに加えて、見た目でも楽しめる要素があると思います。体の末端で打っても音が出ないので、体全身を使う必要があります。上手な太鼓打ちは踊っているようにフォルムが美しいんですね。音楽的な側面と、見た目の美しさも見所であると思います。今回、僕は篠笛の演奏がメインとなるので、女性的な包む優しさで太鼓の音色を彩れたらと思っています」

小泉「音を出すための体の使い方に是非注目して欲しいですね。それは演出的な格好良さではなく、良い音を出すために無駄を省いていった結果、自然とそういう体勢になります。アスリートと一緒ですね。そういう動きと音が連動する瞬間を感じてもらえたらと思っています」

辻「観ている方も一緒に太鼓を打っているような感覚になるステージです。呼吸も自然と引きこまれていくと思います。音だけでなく視覚的なインパクトもあるので、皆さんと一緒に共有できたら良いなと思っています。是非会場にお越しください」

(取材・文&撮影:小笠原大介)

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公演情報

「三の奏」のチラシ画像
いななき屋
三の奏


2020年9月6日 (日)
武蔵野スイングホール
HP:公演ホームページ

全席指定(一般):4,000円
全席指定(小中高生・学生):2,500円
1,000円割引!全席指定(一般):4,000円 → カンフェティ席(一般):3,000円!
(税込)

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