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土田英生

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劇団結成30周年のMONO代表作を20年ぶりに再演

「プラス」にしていこうという思いをタイトルに込めた

1998年に初演した『その鉄塔に男たちはいるという』は、戦争という過酷な状況の中、鉄塔の上での男5人のクダラナイやりとりで好評だった劇団代表作だ。22年ぶりの再演にあたり、タイトルうしろに「+(プラス)」と付けて、新劇団員による短編との二本立てとして蘇った。2020年2〜3月に上演する『その鉄塔に男たちはいるという+』では、同じ場所で違う時代に起きた2つの物語が出会う。その時、この物語は完結する――脚本家、土田英生に話を聞いた。

PROFILE

土田英生(つちだ・ひでお)のプロフィール画像

● 土田英生(つちだ・ひでお)
1967年3月26日生まれ。愛知県出身。劇作家・演出家・俳優/劇団MONO代表。立命館大学在学中に演劇の世界に足を踏み入れ、89年、MONOの前身となるB級プラクティスを結成。作・演出の多くを手がける。99年、『その鉄塔に男たちはいるという』で第6回OMS戯曲賞大賞を受賞。01年、文学座に書き下ろした『崩れた石垣、のぼる鮭たち』により第56回芸術祭賞演劇部門にて優秀賞を受賞。03年には文化庁の新進芸術家留学制度で1年間ロンドンに留学した。劇作と並行してテレビドラマ『斉藤さん』、『崖っぷちホテル!』、『映画『約三十の嘘』などの脚本も多数手がけている。

インタビュー写真

初演から20年。バカバカしく、楽しく、共感できるように

――― 2019年は劇団30周年でした。そして2020年一発目の本公演はなぜ『その鉄塔に男たちはいるという』を再演しようと思ったんですか?

「30周年記念シリーズの最後に、なにかお祭りみたいなことをやりたいなと思ったんです。「あっ、これをやるんだ!」というものをやりたくて。オリジナルメンバーだけで上演できて、今の時代にも合っている作品を選びました」

――― タイトルについている『+(プラス)』というのは?

「もとの『その鉄塔に男たちはいるという』は男性の5人芝居で、今回も同じメンバーが初演時の役を演じるんです。そこに、昨年新しく入ったメンバー5人にも出演してほしかったのと、30年を迎えたのでプラスにしていこうよという意味をこめて、『その鉄塔〜』に関連した新メンバーだけが出演する短編を「+(プラス)」しました」

――― 2本だてなんですね。その2つは連動しているんですか?

「同じ場所での、2つの時代を描いています。『その鉄塔〜』はある鉄塔に芸人の男5人がいるという話なんですが、短編は、それから40年前の物語。5名のうちあるひとりの男が8歳だった時、その親達が同じ鉄塔にいて……という設定です。40年経って世代が変わっても、その鉄塔で人々が同じようにちょっと揉めたりしていることで、ぜんぶ繋がっているんだと感じてもらえるかなと思っています。たぶん、40年前も40年後も「今の時代に通じるなぁ」と思えるんじゃないかな。2作品の連作になるので、休憩をはさんで合計2時間半を越える、今までで一番長い作品になりそうです」

――― 『その鉄塔〜』の方は20年前の作品ですが、再演にあたって改訂するんですか?

「しますね。初演の時は僕たちは30歳くらいだったんですけど、今もう50歳前後ですから、そのままの台詞では無理なところもある。年齢に応じた台詞に変えたり、家族の存在を作ったりする予定です。

あと、登場人物は売れていない芸人グループなんですけど、30歳と50歳だと「売れていない芸人」のニュアンスが変わりますしね。50歳にもなるとさすがに、片鱗としてでもいいから彼らの芸をちゃんと見せないといけない。だから、ちょっとベタなギャグマイムをやるグループだという設定に変えて、マイム俳優のいいむろなおきさんに手伝っていただいていています。何度かワークショップをやっていただいているんですが、いいむろさんもビックリしているんじゃないかな。僕たちの出来なさに。壁のパントマイムをやろうとしてもみんなガタガタで……どうなるやら(笑)」

――― 土田さんの作品は登場人物がとても人間らしいので、人物設定が変わると作品の印象もまた変わるかもしれないですね。

「初演になかった部分としては、僕は今回、ちょっと苦しんでいる人達を描きたいんです。今、僕のまわりでも、社会に対して違和感を持っていたとしても、自分の意見をはっきりと表明しないせいで責められて「じゃあもう今のままでいいんじゃない」と疑問を持つことすらやめてしまう人がたくさんいる。そうしたサイレントマジョリティーの苦しみをある程度肯定的に描いてみたいと考えているんですね」

――― 物語は「戦時中」ですが、20年前と今では時代の雰囲気もだいぶ違いますよね?

「そうなんです。難しいですよ。20年前に書いた時は「日本が戦争になる」とか「自衛隊が戦場に行く」とかは、可能性はないわけじゃないけど、かなりファンタジーだったんです。それが今は状況が変わってきて、前より身近になってきました。

でも、現実とは違う世界を創ったうえで想像して見えてくるものがあるのが演劇。僕は人間の有様を描いて、「あぁ自分にもこういう所があるかもな」とか「世界ってこうかもなぁ」と想像してもらえればいいと思っています。戦時中の設定だからって政治的な作品だと思われるのは違うし、コメディでもあり、ミステリーの要素もある。登場するのも芸人達なので、「好きなことをやれた方がいいんじゃない?」ということをどういうふうに馬鹿馬鹿しく、楽しく、いろんな考えを持った人にも共感できるように描けるかなと考えています。自分の立場は作品で語るしかないですからね。」

インタビュー写真

演劇はドラえもんの「もしもボックス」だから

――― 脚本はあてがきですよね?

「そうです。僕はよく「演劇はドラえもんの「もしもボックス」なんです」と言うんですよ」

――― 「もしもボックス」って、「もしもこんなことがあったら、どんな世界になるか」を体験するひみつ道具ですよね?

「まさに僕は台本を書く時に、「この人達があそこに行ったらどうなるかな」とか「もしもこんな状況だったら、この人はこう変わっちゃうね」と考えて台本にしているんです」

――― では台本には「土田さんから見た劇団員」が色濃く出そうですね。

「良くないかなとも思うのですが、脚本には「この俳優がこういうことしゃべったら面白いかな」と思ったことや、集団の中での人間関係を書いてしまうんですよね。たとえば、僕への不満がありそうな役者には、そういう台詞を言わせたりします。そうやって「僕への不満については気づいているよ」とアピールする(笑)そういうことを30年間ずっとやってきているので、昔からのメンバーは台本を読んで「え?俺なんかヤバイ?」とか「劇団やめたいの?」と聞いてくるんですよね。しかもだいたい合っていて、その時は本当に辞めたかったんです(笑)」

――― では『その鉄塔〜』にも当時のMONOの関係性があらわれていると……

「登場する5人は、そのまま僕たちの当時の人間関係ですね。ただ、僕がそのまま座長役をやるのはさすがに気が引けて、仕方なくリーダー的役割になった人にしていますけど。ほかに、僕がリーダーとして押さえ込もうとするのに反発をする人や、「反発はわかるけどしょうがないじゃん」という人や、どっちにつくのかで揺れ動く人や、まったく我関せずの人もいて……本当に当時のMONOのままです」

――― そうなんですね(笑)。そういう相手への思いも、20年経ってまたそれぞれ変わってるでしょうね。

「今の方が仲が良いですね。20年前の初演の頃は稽古の過程でかなり揉めてギスギスしていたので、今回も険悪になる可能性はゼロじゃない……まぁ、今回は大丈夫だと思います(笑)」

――― 4人の新メンバーが出演する短編についても、それぞれへの土田さんの思いが書かれているんですか?

「僕の思いというよりも、彼らの関係性は反映しています。4人それぞれから普段聞いている話などを参考にして役を作ったり台詞を書いたりはしていますね。あまりにも生々しいことは書きませんけど、それでも演じる役者が自分を投影できるようにはしているつもりです。その方法で劇団としてずっとやってきましたから」

――― 新メンバーが加わったことで今回「+(プラス)」がうまれました。そのほか劇団になにか変化はありましたか?

「僕も劇団も、寿命が延びました! 僕にも彼らを入れた責任がありますので。みんな若いから、10年先も自分が頑張っていないといけない可能性がある。たぶんもとからいたメンバーはみんなそうですよ。なんかね、小綺麗になりましたもん。新しい人が入ってくれたことで「ちゃんとしよう」という感じかな。これからもしっかりやっていこうという雰囲気になりました」

(取材・文&撮影:河野桃子)

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公演情報

「その鉄塔に男たちはいるという+(東京公演)」のチラシ画像
MONO
その鉄塔に男たちはいるという+(東京公演)


2020年3月13日 (金) 〜2020年3月22日 (日)
吉祥寺シアター
HP:公演ホームページ

28名限定!4,200円(全席指定・税込) → 3,650円 さらに500Pゲット!(2/28 18時35分更新)
詳細はこちら
「その鉄塔に男たちはいるという+(東京公演/ペアチケット)」のチラシ画像
MONO
その鉄塔に男たちはいるという+(東京公演/ペアチケット)


2020年3月13日 (金) 〜2020年3月22日 (日)
吉祥寺シアター
HP:公演ホームページ

ペアチケット(前売):7,600円(税込)
(前売のみ/座席指定引換券/2名分の料金です)
※未就学児童入場不可

詳細はこちら
「その鉄塔に男たちはいるという+(伊丹公演)」のチラシ画像
MONO
その鉄塔に男たちはいるという+(伊丹公演)


2020年2月13日 (木) 〜2020年2月17日 (月)
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
HP:公演ホームページ

指定席(前売):4,000円
指定席(25歳以下):2,000円(前売のみ/対象25歳以下/入場時証明書を確認します)
(税込)
※未就学児童入場不可

詳細はこちら
「その鉄塔に男たちはいるという+(東京公演)」のチラシ画像
MONO
その鉄塔に男たちはいるという+(東京公演)


2020年3月13日 (金) 〜2020年3月22日 (日)
吉祥寺シアター
HP:公演ホームページ

指定席(前売):4,200円
指定席(25歳以下):2,000円(前売のみ/対象25歳以下/入場時証明書を確認します)
(税込)
※未就学児童入場不可

詳細はこちら
「その鉄塔に男たちはいるという+(伊丹公演/ペアチケット)」のチラシ画像
MONO
その鉄塔に男たちはいるという+(伊丹公演/ペアチケット)


2020年2月13日 (木) 〜2020年2月17日 (月)
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
HP:公演ホームページ

ペアチケット(前売):7,200円(税込)
(前売のみ/座席指定引換券/2名分の料金です)
※未就学児童入場不可

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