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塚原大助・山野 海

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ニシンの海に命を賭ける男達。“ヤン衆”達の物語

波濤に雄々しく響く男達の唄声と共に、物語は巡っていく

舞台や映画、テレビドラマなど様々な方面で活躍する40代の男性俳優7人が集まるゴツプロ!。気力も意欲もみなぎる男達が、その生き様をさらけ出して創り上げる独特な熱気をはらんだ舞台作品が持ち味だが、最新作は北海道・江差の漁師町を舞台に、ニシンを追いかける男達の物語。誰もが知っている「ソーラン節」はこうしたニシン漁師達の労働歌として生まれた民謡だが、それをひとつのモチーフにした竹田新の新作脚本だ。

PROFILE

塚原大助(つかはら・だいすけ)のプロフィール画像

● 塚原大助(つかはら・だいすけ)
東京都出身。2005年の44 Produce Unit『フツーの生活 長崎編』 で山野海と共演したのをきっかけに親交を深め、山野が主宰するふくふくやに劇団員として参加。その後、自ら劇団を主宰することを求めて2016年にゴツプロ!を旗揚する。ふくふくや、ゴツプロ!の作品はもちろん、外部作品にも多数参加。さらにテレビや映画にも多数参加している。

山野 海(やまの・うみ)のプロフィール画像

● 山野 海(やまの・うみ)
東京都出身。子供の頃から劇団若草に所属し、子役として活動。現在に至るまでテレビや映画など多数の作品に出演する。1999年にふくふくやを立ち上げ、看板女優として全公演に出演。さらに“竹田新”として脚本の執筆も手がける。塚原の誘いによりゴツプロ!に参加。脚本を担当するだけでなくゴツプロ!第1回公演『最高のおもてなし!』からは演出も手がけるようになる、以降すべてのゴツプロ!作品で演出を手がけている。

インタビュー写真

――― 何故、今「江差」「ニシン漁師」そして「民謡」なのか。主宰の塚原大助と演出の山野海にそこから話を聞いてみた。

山野「もともとは全く別の構想があって、台北公演を終えて塚原と話していました。今年の作品「阿波の音」は阿波踊りをモチーフにしたんですが、凄くお客さんと一体化できました」

塚原「ゴツプロ!には音楽部があるんです。「三の糸」からの付き合いになる津軽三味線の小山豊さんですね。「阿波の音」含めて彼には劇中の音楽もお願いしています。もうマブダチですね(笑)」

山野「彼らと話していて“民謡”というものが引っかかりました。かつては凄く盛り上がった時代もあったようですが、私たちの世代にとっては身近ではなくだいぶ下火で「民謡=古くさい」という印象。ところが彼らと知り合いライブなどを見聞きするうちに、格好いいなと思うようになったんです。そこには日本人の核になるなにか、聴いたことがなくても感じる郷愁みたいなものがある。そのうちに皆に民謡を歌わせてみたいと思ったんです。そして歌い手の伊藤多喜雄さんを紹介してもらいました」

――― 伊藤多喜雄と言えば民謡にロックやポップスの要素を持ち込んだことで知られる歌い手。「TAKiOのソーラン節」は誰もが一度は耳にしたことがあるはずだ。

山野「伊藤さんを取材しているうちに漁師への魅力が高まりました。うちの役者達って漁師が似合うじゃないですか(笑)。民謡は人に聴かせて稼ぐための“芸能の唄”ではなく、きつい労働を楽にしたり効率を上げるものだったと聞いた時、それを書きたいし皆に凄く合うと思ったんです」

塚原「小山さんや伊藤さんと話をしていてメンバー全員共感しましたし、いつからかは作業が機械化していって唄がなくなったという話も心に染みました。だからゴツプロ!にも合うだろうという事で」

男達を乗せてニシンを追って海に出て行く船には波声船頭(はごえせんどう)という役割があったという。これは唄声ひとつで男達を鼓舞し、時には網を引くタイミングを取り、そして漁を終えて港に帰る時にはゆったりとした唄声で男達を癒やしたという。

山野「波声船頭が俳優やったら凄いことになると思います(笑)伊藤さんのお父さんも漁師でさらに波声船頭だったと聞きました。こうした話が凄く魅力的で書きたくなったんです。そして最初に「怒ったってしょうがねえから、笑ってんだよ」というフレーズが浮かんできたんです」

――― 時代は明治27年、日清戦争直前の頃だが、話の中には戊辰戦争(1868〜1869)も出てくるという。当時のヤン衆(ニシンを追って転々とする漁師達)は色々な事情を抱えて漁場にやってくる者が多かったそうだが、おそらく戊辰の戦がきっかけで人生が変わり、漁場にたどり着いた者も少なからず居たはずだ。そんなことを竹田が物語に織り込んでいくことは想像に難くない。とはいえ、暗く沈んだ物語にもならないだろう。そこにはゴツプロ!の持ち味である“笑い”がちりばめられるはずだ。

山野「作家として人情喜劇を書いているつもりはないです。ただ笑って泣ける作品にはなります。東京で生まれ育ったせいか、泣かせるだけのシーンって照れちゃうんですよ。だからそこに笑いの要素を入れてます。人間の人格は多面体だと思うんです。例えば喧嘩をしていても別のことを考えているとかね。それら全てが人間であり人生だと思っています」

インタビュー写真

塚原「僕も笑いの力を信じています。性格かも知れませんが自分が笑っていられる、人を笑わせる、そしていろんなことを笑い飛ばしてしまうことは、僕が演劇に教わったことなんです。ふくふくやで書いている竹田の脚本にも笑いの要素が所々にちりばめられています。  笑って泣ける 笑いながら泣ける 泣きながら笑える……お客さんの感情を1つの場所に留まることをさせない。竹田はそんな特質のある脚本を書ける人だと思うので、われわれもそこを大事にしたいと思ってます」

山野「俳優が芸人さんの笑いをやろうとしても無理なんです。芸人さんはその瞬間を切り取りますが、俳優の場合はその生き様が笑いに繋がっていく。一生懸命だけどそれを外側から見るとどこか可笑しい。笑わせようとして居るわけでもないけれどそれが可笑しい。これこそが生きていることなんです」

――― もう一つ、今回の作品には“ゴツプロ!音楽部”による三味線・尺八による生演奏が入る。ゴツプロ!が作品に生楽器を取り入れるのは初めてではないが、今回は津軽三味線界をリードする小山豊と、民謡尺八から古典までを自在にこなす小湊昭尚の二人が舞台上で演奏すると言う。

山野「贅沢でしょ(笑)。この前四人で呑んだ時も小湊さんと塚原が凄く意気投合してました」

塚原「これ以上楽しいことは無いと思って、先に帰りました(笑)。小湊さんとは初対面でしたが実に格好いいですね。ちょうど彼らも今こそ民謡をやらないといけない、という気持ちを凄く持っていたところに、我々が民謡を題材に掲げたものだから共感してくれて一緒にやっていきましょうとなりました。タイミングがいいんです」

山野「ゴツプロ!には奇跡が起こるんです。この4人の出会いもそうですが、最初の作品の時に書いた台詞で「人間が生きてる意味は1つだけ、次につなげる橋になるんだ」という台詞があるんです。なんてことない台詞なんですが、それがずっと残っています。今、塚原も私もその気持ちをゴツプロ!の表現としていつも感じていたいと思ってます」

――― 民謡という民の唄がここまで作家や俳優達を動かしたというのはとても美しい話だ。もちろん塚原や山野は民謡から遥か遠くに居たはずだが、まさに寄せる波が重なるように、いつしか大きな盛り上がりになっていったという事なのだろう。

塚原「民謡は僕にとって新鮮ですね。山野から最初に話を聴いたときはよく解らなかったのですが、小山さんや伊藤さんに話を聞いてだんだん理解していった感じです」

山野「私の子供の頃はまだ少しだけ残ってました。実はずっと津軽三味線をやりたかったんですね。胸からおなかのあたりにずしんとくるでしょ」

――― そしてゴツプロ!はこの作品を持って台北公演も行うという。これも3作連続での快挙だと言うべきだろう。

塚原「凄く歓迎してくださって、最初に言った時は知り合いが2,3人しか居なかったのが、いまでは凄く沢山知り合いができました(笑)。これも続けてきたお陰だと思いますね」

――― 北国の漁師町で、二人の波声船頭を中心に巡っていく物語。唄声に乗せて綴られるどんな男達の生き様を見せつけてくれるのか、大いに期待して待ちたいものだ。

(取材・文&撮影:渡部晋也)

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公演情報

「『狭間の轍』〜怒ったってしょうがねぇから、笑ってんだよ。〜」のチラシ画像
ゴツプロ!
『狭間の轍』〜怒ったってしょうがねぇから、笑ってんだよ。〜


2020年1月24日 (金) 〜2020年2月2日 (日)
下北沢 本多劇場
HP:公演ホームページ

前売:6,000円
(全席指定・税込)

詳細はこちら
「『狭間の轍』〜怒ったってしょうがねぇから、笑ってんだよ。〜」のチラシ画像
ゴツプロ!
『狭間の轍』〜怒ったってしょうがねぇから、笑ってんだよ。〜


2020年2月6日 (木) 〜2020年2月9日 (日)
近鉄アート館
HP:公演ホームページ

前売:5,000円
(全席指定・税込)

詳細はこちら
「『狭間の轍』〜怒ったってしょうがねぇから、笑ってんだよ。〜」のチラシ画像
ゴツプロ!
『狭間の轍』〜怒ったってしょうがねぇから、笑ってんだよ。〜


2020年1月24日 (金) 〜2020年2月2日 (日)
下北沢 本多劇場
HP:公演ホームページ

20名限定!6,000円(全席指定・税込) → 【指定席引換券】4,900円さらに3700Pゲット!(1/30 20時0分更新)
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