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『ハイスクール奇面組』や『ギャグマンガ日和』『コジコジ』など、数多くの有名人気漫画の舞台化を手掛け、2.5次元作品でも高い評価を得ている脚本・演出家なるせゆうせいが「食育」をテーマに描く完全オリジナル舞台作品『明日、君を食べるよ』。2014年初演時に杉並演劇祭にて優秀賞を受賞、2016年再演された傑作が、11月満を持して3度目の上演の幕を開ける。都会っ子でへそまがりな少年が、母親の再婚を機に田舎へ引越し、1頭の牛の世話をすることになったことから、次第に心を通わせていった牛が「食育用」だった事実を知り、そこから少年が「いただきます」の本当の意味を知るという、一人の少年と一頭の牛が織りなす命の物語だ。そんな作品のW主演として、少年サナギ役を演じるM友菜(AKB 48チーム8)と寺本莉緒、サナギの母親ヨツバ役を演じるあまりかなりが集い、公演への思いを語り合ってくれた。
● M 咲友菜(はま・さゆな)
8月20日生まれ、滋賀県出身。
AKB48チーム8およびチーム4のメンバー。AKS所属。2014年チーム8のメンバーとして、SKE48劇場出張公演で劇場公演デビュー。ニックネームは「はまちゃん」。バラエティー番組等で人気急上昇中。
● 寺本莉緒(てらもと・りお)
11月5日生まれ、広島県出身。
タレント、グラビアアイドルとして活躍する傍ら、女優としても舞台や映像作品に出演。主な出演作品に『ローファーズハイ!! Vol.1』、日生劇場『屋根の上のヴァイオリン弾き』、倉本美津留presents『百演』などがある。
● あまりかなり
11月11日生まれ、東京都出身。
高校、専門学校でオペラ、ミュージカルを学び現在に至る。主な舞台出演作に『ハイスクール奇面組2』、『けものフレンズ2』、『ギャグマンガ日和』、『pet』等、多種多様なキャラクターを演じ分ける事に定評がある。渋谷クロスFMで自身の冠番組『おもてなしぶるーす♪』のメインパーソナリティーも務めている。
老若男女を問わず楽しんで頂ける作品
――― まず、あまりさんからなるせゆうせい作品の魅力を改めてお話頂けますか?
あまり「人気漫画の舞台化作品の印象が強いかと思うのですが、社会派の作品も手掛けてきていて、どの役者さんに伺っても「脚本が良くできている」と口を揃えておっしゃいます。それくらい本当に脚本に力があるので、本の通りに演じれば、きちんとしたものにできあがるという信頼感があります。しかもどんな作品にも必ず笑いの要素が盛り込まれていて、この『明日、君を食べるよ』もそうなのですが、一見馬鹿馬鹿しいような笑いのシーンで、お客様との一体感を作りつつ、最後にはグッと感情移入できるものが入れ込まれていますので、お客様の心を掴める力があるのが魅力ですね。」
――― その『明日、君を食べるよ』に主演されるお二人ですが、作品についてはどんな印象を?
M「私が今までやってきた舞台はAKB48のファンの方々向けのものがほとんどだったのですが、今回初めて、観てくださる方に考えてもらう事柄の多い作品に出させて頂きます。しかも主演をさせて頂くので、私のファンの方達にも『可愛かったね』だけではなく、何かを心に残して頂けるような舞台を皆様と創っていたけたら良いなと思っています。」
寺本「まず台本をもらって、自分の役の感情になって読み進めてみたら涙が止まらなかったんです。色々な役柄があるし、お客様が感情移入されるポイントも様々だと思いますが、どの角度からご覧になっても感動して頂ける作品だなと感じています。」
あまり「食育をテーマにしていて、初演から好評を頂き杉並演劇祭でも優秀賞を頂けた作品で、老若男女問わずどの世代の方が観ても楽しんで頂けると思っています。ですからお子さんにも勿論ですが、お子さんを持つ親御さんにも是非観て頂きたいですし、キャパ70席という本当にお客様も作品の中に入り込んで頂ける空間になると思うので、テーマが伝わるように創っていきたいです。」
M「70席の小劇場というのは本当に初めての経験で、お客様お一人お一人の顔が見える距離ならではの難しさもたくさんあると思いますので、頑張ります!」
寺本「距離が近いからこそより伝わることもあるんじゃないかな?と思いますし」
あまり「一挙手一投足がすべてお客様の視野に入るので、台詞を話していない時の居方が特に大切になってきますが、逆にそれを楽しめたら良いですね。」
新たな挑戦から生まれる意外な一面を
――― その中で、演じる役柄についてはいかがですか?
M「男の子の役は今まで一度もやったことがなくて!」
寺本「私もです!」
M「私は声が特徴的なので、男の子役ってできるのかな?と心配なのですが、小さい頃から活発で男の子とよく遊んでいて、自分の中に男の子的な要素はたくさんあるので、そこは役柄に生かせたら良いなと思っています。」
寺本「私も男の子役と聞いた時にできるのかな?というのがまず不安でした。特に私は兄が二人いて、一人だけの女の子の立場ですごく可愛がってもらって育った方なので。でもサナギ役を純粋に考えると結構強がりだったりして、それは私自身と凄く共通していましたから、男女の隔たりなく誰もが同じような感情を持っているというところから創っていきたいと思います。」
あまり「二人共とても可愛いですけれども、ボーイッシュな魅力もたくさんあると思うので、そこを出してお客様にも意外な一面として楽しんで頂けたら良いですね。私は初めてのお母さん役で!」
M「そうですよね!私達のお母さんなんですよね」
あまり「しかもシングルマザーというところからスタートする役ですから、子供を持つ親の気持ちというものを如何に感じていけるか、今回は本当に勉強させて頂く!という気持ちでいますので、よろしくお願いします。」
寺本「こちらこそ、よろしくお願いします!」
――― なるせさんの演出は役者さんからの発信を拾ってくださる方ですか?
あまり「むしろほぼ役者発信ですね。役作りや芝居に関してはもちろん段取りは決めて下さいますが、芝居をつけることはほとんどなさいません。役者が考えてきたことを見て『うん、それいいね』と採用していくじゃないですけど、役者の発信を待つ方なので、役者としては日々の稽古が常に考えていかないといけないし、挑戦の連続という感じです。」
M「あ、一番苦手です(苦笑)」
寺本「それを伺って稽古がちょっと怖くなりました!」
あまり「大丈夫、大丈夫! ヒントはちゃんと下さるから、そんなに怖い感じではない(笑)」
――― そういう意味でもWキャストは自分の役を客観的に見る時間がありますから、良いですよね?
あまり「そうですね、お互い盗み合えるというか『こうするのか、じゃあこうしてみようかな』という発想もどんどん生まれるし、それぞれの個性をちゃんと大切にしてくれるから」
M「ポジティブに考えれば良いんですね!」
寺本「お互いが刺激的な存在になれるようにしていきたいです!」
『いただきます、ごちそうさま、をちゃんと言おう』が伝わる作品に
――― 食がテーマの作品ですが、「食べる」ことに対してのこだわりはありますか?
M「食べることは大好きで、ラーメンを4杯とアイスとポテチを食べちゃったこともあるんですが」
あまり「この細い身体で!?」
M「筋肉質なんでまだ消費カロリーは良い方かな?と思うんですが(笑)、でもアイドルは皆細いので気をつけないといけない!というくらい食べることが好きです。もうラーメンが大好き!」
寺本「私もラーメンが大好きなんです!」
M「一緒だね!」
寺本「一日一食はラーメンを食べないと身体がうずうずしてしまって、頑張りたい!と思う日にはラーメンなので、今朝もラーメンを食べて来ました!」
あまり「朝からラーメンでも平気なの?」
寺本「大丈夫です! だから稽古場や劇場の周りでも美味しいラーメンのお店を探したいです!」
M「あぁ、行きたいね! あとはお肉も好きです!」
あまり「私もここぞという時はお肉! じゃあ皆で稽古終わりにラーメンや焼き肉にも行きましょう! これまで親からは野菜を食べなさい、良いものを選んで食べなさいと再三言われていたのですが、なんとなく聞き流してしまっていて。でも友人たちが結婚したり、子供を持ったりする年代に差し掛かってきて、やっぱり大切なんだなと自分でも感じるようになってきています。この作品を通じて『いただきます』も大きな声で言うようになりましたね。そういう食がテーマの作品の座長である二人が食べることに関心があって良かった!」
M「食べることは生き甲斐です!」
――― 食べる=生きることですから、本当に大切なことですよね。そういうテーマを伝えている作品に出演する皆さんから、改めて意気込みとメッセージをお願いします。
M「私はとても人見知りなのですが、今回初主演という場を頂いたので人見知りを克服して、皆さんと良いコミュニケーションを取りながら、皆様に頼りながら頑張っていきたいです。実力はまだまだですが演技をしたい!という気持ちは誰よりも強いという自信があるので、その気持ちを持って、キャストもスタッフもそして、会場に来てくださる皆さんも全員で一緒に良い舞台を創っていけるようにしていきたいです。私のファンの方には新たな私を観て頂きたいですし、この作品がお好きな方達にも主演として受け入れてもらえるように頑張りますので、70席という小さな劇場ですが、何度でも観にいらして下さい!お待ちしています!」
寺本「初主演ということでとてもドキドキしているのですが、観ている方に少しでも何か伝わるものがあれば良いなと思いますし、それを通して例えば『いただきます、ごちそうさま、をちゃんと言おう』ですとか、何か変化になることがあるように頑張っていきたいと思います。」
あまり「こんなに素晴らしいコメントのあとでもう語ることがないのですが(笑)この作品ではじめて演劇に触れる方もいらっしゃると思うので、そうした方に『芝居って面白いな、他の作品も観てみたいな』と思って頂けるような、ひとつの架け橋になる作品にしていけたらと思っています。特に今回豊島区の劇場で上演させて頂くので、食育がテーマの作品を是非地域のお子さんにも多く観て頂けるように働きかけをしていきたいです。皆様の声が力になりますので、応援よろしくお願い致します!」
(取材・文&撮影:橘 涼香)