home  >  WEBインタビュー一覧  >  風間トオル・とよた真帆

PICKUP
風間トオル・とよた真帆

キメ画像1

母子、夫婦、嫁姑などさまざまな形の愛情が詰まったファンタジー

笑いあり涙あり幽霊あり!?のハチャメチャ人情喜劇が、13年ぶりに待望の再演

老舗和菓子屋の若旦那にして売れっ子小説家の主人公は、18歳下の嫁と再婚して絶好調……と思っていたら、死別した先妻と母親が幽霊になって現れた! NLTプロデュースの大ヒット喜劇『嫁も姑も皆幽霊』が、新たなキャスティングで再演を果たす。2002年の初演以来10万人以上を動員している同作について、主人公を演じる風間トオルと、先妻役のとよた真帆が意気込みを語る。

PROFILE

風間トオル(かざま・とおる)のプロフィール画像

● 風間トオル(かざま・とおる)
1962年生まれ、神奈川県出身。雑誌モデルを経て、ドラマ『ハートに火をつけて!』(89年)で役者としてのキャリアをスタート。数多くのドラマや映画に出演する一方で舞台でも活躍。主な出演作は『Love Letters』(93年)、『女ひとり〜ミヤコ蝶々物語』(08年)、『菊次郎とさき』(12年・15年)、『人生は、ガタゴト列車に乗って……』(13年)、『その後のふたり』(14年)など。

とよた真帆(とよた・まほ)のプロフィール画像

● とよた真帆(とよた・まほ)
1967年生まれ、東京都出身。高校在学中にモデルの仕事を始め、86年にはアニエスbの日本人モデルとしてパリコレクションなどに出演。ドラマ『愛し合ってるかい!』(89年)で女優デビュー。さらに絵画や写真、着物のデザインなど幅広い分野で活動する。主な出演舞台に『リア王』(08年)、『コースト・オブ・ユートピア』(09年)、主演『私のなかの悪魔〜ストリンドベリ作「債鬼」より』(13年)がある。

インタビュー写真

――― 幽霊といってもホラーではなく、大騒動を通して描かれるのは家族の愛情。そんなストーリーに2人とも魅せられたと話す。

風間「全編にユーモアがふんだんに散りばめられていて、とにかく楽しそうだなと思いましたね。老舗の和菓子屋が舞台で、18歳も若い嫁さんをもらっちゃうという意外性も面白いですし。亡くなった嫁と姑が天国から降りてくるなんて、普通はすごく違和感がありそうですけど、台本を読んでいるうちにそれがだんだん普通になってきて……そこもまた面白いなと思いました」
とよた「ほんわかする中にもジーンとくるような内容で、今の時代、私だったらこういう舞台を観たいなって思う作品だったので、お話をいただいてすごく嬉しかったです。重たくならず、ファンタジーに近い要素があって、それでいて笑えて、ジンときて……っていう、いろんな要素が入っている作品なので、お客様も抵抗なく、“ああ、良い時間だったな”って思えるんじゃないかな」
風間「周りの環境はちょっと特別だけど、主人公は全然普通の人なんですよね。とてもよくできた嫁と姑がいなくなって、何もできない嫁をもらったところから歯車が狂ってしまう。たぶん、そんな彼を心配して天国から嫁と姑が降りてくるんだと思うんですけど、それは老舗のお店を守るためでもあり、僕の演じる若旦那、圭輔のことを考えてくれてるからっていう、そういう家族への想いに満ちたお話です」
とよた「愛情ベースで動いているというところが何よりの強みですね。嫁も姑も、意地悪をしに来てるわけじゃなくて、救いに来てる。そこがなんともいい作品だと思います」

――― そう話す2人は、実はキャリア初期からの付き合いでもある。

風間「僕はもう、真帆ちゃんが高校生くらいの頃から知ってるんですよね。そのときの印象のまんまです(笑)」
とよた「古い付き合いですね(笑)。まずモデルの仕事から始まり、そのあと俳優として共演して。当時は、今みたいにモデルから俳優っていうルートがあまりはっきりしていなくて、いろいろ大変でしたね。“モデル出身のあなたに何ができるの?”っていう感じで斜めに見られるところがあったから、それをはねのけるくらい努力しなきゃいけなかったし。そういう意味で、風間さんは自分に近い道筋を通ってきた人っていう感じがします」

インタビュー写真

――― ともに数多くのドラマや映画で活躍しながら舞台のキャリアも積んでいる2人に、映像作品と舞台の違いについて尋ねると、とよたが真っ先に口を開いた。

とよた「そういう垣根はまったくないですね。私は職業もいろんなことを経験していて、そこに線引きはないので。ただ、技巧的なことで言えば、たとえばお客さんが1,000人の劇場と300人の劇場では芝居を変えます。それは向こう(客席)に届かせるための表現方法の部分で、気持ちはどちらも同じ。だから私は、劇場でやるときはお客様の数が気になります」
風間「すごいな。僕はそんなに考えてないよ(笑)」
とよた「舞台って、毎回の本番をリアルに演じていくものだから、同じことをやっているようでもまったく違うんですよね。それぞれ人間だから体調もあるし、そのときのテンションの持っていき方も違う。 そこでハプニング的に起こったことも広げて大きくしちゃえるのが舞台の楽しさですね。映像で言う編集や監督の作業も、一度舞台に出てしまえば役者に一任されているから、そういう要素も持っていないといけないし。
 そう考えると、ライブ感やハプニングを楽しめないとダメですね。だから意図的に爆弾を持っていくこともありますよ(笑)。もちろん、それが許される場合はですけど」
風間「危険だなあ(笑)。きっと飽き性なんだね。いつも同じなのは嫌というか、リズムの波が欲しいんだよね?」
とよた「もともと超いたずらっ子だから、それがすっごく楽しいんです。それに、何度も来られるお客さんもいるから、違うものを見せたいし」
風間「でも、意図的にやらなくても、何度も芝居してると自然に芝居は変わってくるからね。そして僕は、稽古が大好きなんです。いろんなものが生み出せるから。普通じゃないことにもトライして、“ここから出てください”って言われても違うところから出てみたりとか、そういうのはいろいろ考えてみますね。バッサリ切られることが多いんだけど(笑)。
 あと、さっき真帆ちゃんが監督の要素って言ったけど、自分が出てるシーンでも客観的に、客席からどう見えてるかをいつも考えていますね。今自分が立っているバランスはどうなのか、お客さんから見て、自分はもうちょっとこっち側にいた方がいいんじゃないかとか。そういうところは、映像作品とはちょっと違うかもしれないと思います」

――― そんな2人に、本作の来場者へ向けてメッセージをもらった。

風間「たぶん劇中の2時間くらいは笑って過ごしていただけるんじゃないかな(笑)。やっている方も、喜劇というのは楽しくてテンションが上がりますからね。ぜひストレス解消に、観に来ていただけると嬉しいです」

とよた「今回の三越劇場というのは、日常の延長でパッと入りやすい場所だと思うんです。そこで、ちょっとファンタジーで異空間な物語の中に身を置いて、面白い体験と経験をまた日常に持ち込んでいただければ……そんな楽しい舞台です。ぜひ、お買い物のついでにいらしてください(笑)」


(取材・文&撮影:西本 勲)



キメ画像2

公演情報