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ナイスコンプレックス

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溢れんばかりの歌や踊りに乗せ物語は客席を巻き込む――それが“フリーカル”

帰りたい、けれど帰れない。そんな皆を待つ沢山の気持ちが祭りを起こす。

劇作家・演出家のキムラ真が主宰する劇団、ナイスコンプレックス。その作品のタイトルには【フリーカル】というちょっと聞き慣れない言葉が付いていることがある。キムラ「【フリーカル】というのは表現のジャンルだと思ってもらえれば。歌や踊りを取り入れた舞台だけどミュージカルではない。客席も巻き込んで劇場を「祭り」の場所にする。舞台と客席の垣根をなくして誰でも参加できる、それがフリーカルだ。その先には【一般の人の認識を、「映画よりも高い演劇」ではなく、「ディズニーランドより安い演劇」にする事】という目標がある。「“祭り”は誰でも参加できるもの。全国の劇場がそんな状態になったらもっと楽しいことになると思っています」そんなナイスコンプレックス。この夏の公演はフリーカル『YAhHoo!!!!』。昨年も上演され好評を得た舞台の再演だ。舞台となるのは福島県の浪江町。8年前の東日本大震災とそれに起因する津波の被害を受け、さらに引き続き起こった原発事故で全住民に町外への避難指示が出た場所だ。現在は一部で避難指示解除が出ているとはいえ、なかなか住民の帰還は進んではいない。

PROFILE

柏木佑介(かしわぎ・ゆうすけ)のプロフィール画像

● 柏木佑介(かしわぎ・ゆうすけ)
神奈川県生まれ。子役から舞台に立ち、ストレートプレイはもとより、得意のアクロバットを活かしてミュージカルや2.5次元など数々の作品に参加。昨年に引き続き犬の妖怪、ヤンスケを演じる。

浅倉一男(あさくら・かずお)のプロフィール画像

● 浅倉一男(あさくら・かずお)
埼玉県出身。子供の頃から歌やダンスを活かし多方面で活躍。舞台俳優としても、多くの作品に出演している。



富田麻帆(とみた・まほ)のプロフィール画像

● 富田麻帆(とみた・まほ)
東京都出身。子役としてミュージカル「アニー」のモリー役で舞台デビュー。その後も「スクルージ」「王様と私」「ライオンキング」などのミュージカルをはじめ、様々な舞台に参加。さらにアイドルとしても人気を博している。

キムラ真(きむら・まこと)のプロフィール画像

● キムラ真(きむら・まこと)
宮城県出身。劇作家・演出家としてだけでなく俳優としても活躍。2007年にナイスコンプレックスを旗揚げ。以降、ほぼ全作品の脚本・演出を担当。俳優として出演することもある。その他演出家として多くの外部、舞台・映像・空間演出などジャンル関係なく活躍している。

インタビュー写真

――― 主人公の一人、犬の妖怪ヤンスケは、もともと浪江町に暮らす高校生、優治の飼い犬。震災の時に命果て妖怪となり、優治たちの帰還を待つという設定だ。そのヤンスケを昨年に引き続いて柏木祐介が務める。

キムラ「この作品はもともと柏木くんの「やりたい!」という意思があってできたので、ヤンスケは柏木くんにあて書きしているんです。初演の反響が凄く、『近い将来、浪江で実際に公演をやる』という奇跡が望めると感じたことが再演のきっかけですね。この舞台は最後の方にあるお祭りのシーンで、舞台と客席の壁をぶち壊して劇場全体が舞台となり、お客さんが舞台に上がれる状況になります。でもそれはこちらから手を引いて上げてしまうと意味がなくて、あくまでもお客さんが自分で上がってくれることを待っています。昨年の初日は誰も上がりませんでした。それが中日になって3人、自分の意思で上がってきてくれました。それは嬉しかったですね。そして千秋楽には80人くらいが上がってきてくれて」

――― 客席が舞台に上がり、祭りに参加する。それは理想とする浪江町の姿に重なるという。

柏木「ヤンスケとして舞台にいて、お客さんがステージに上がってきたときは、みんなが勇気を出して浪江に帰ってきてくれたんだと思い、素直に嬉しかったです。お客さんの手を引いてしまうことは帰還を強いること。だからそれはできない。「おいで」と呼びかけて動いた最初のお客さんは勇気を振り絞ったと思う。だからその瞬間が一番嬉しかったです。

――― ヤンスケの飼い主である優治は浅倉一男。その婚約者・木蔦(キヅタ)を富田真帆。柏木も含めて若木ベテランが演じる。

浅倉「原発事故が話の軸にありますが、この問題は関わる人それぞれ違う考えを持っていて、それが交錯している。正解がないんだと思います。ただああいった非常事態が起こるとエンタテインメントが一番最初に除外されてしまう。でも復興するときには、逆にエンタテインメントがエンタメが一番先に心に届くとおもいます。まだ地元に戻れない帰還できない場所のある浪江、そして福島の皆さんが前に一歩踏み出すきっかけになればいいですね」

インタビュー写真

富田「私の祖父母が以前石巻の近くに住んでいて、震災の後東京に住んでいるんですが、その時の事を思い出して故郷に帰りたがらないんです。だからこの作品を祖父母が観たときに、もう一度故郷に行ってみようという勇気を与えられれば良いなと思います」

キムラ「僕の実家は仙台でやはり被災しました。その後に東京では震災を採り上げた芝居がいくつもできたけれど、体験していないのに何を語っているんだと当時は感じていて、自分自身はずっと手をつけませんでした。あれからもう8年経ちました。今は、いつまで【被災者】扱いなのかと思います。ただ「かわいそう」と対するのではなく、どうしたら先に進めるのか?を考えたいですね。福島=原発、東北=震災というイメージを変えるためには、悲しいことではなく、楽しいことが必要なんです」

――― 確かに震災・原発事故・全域避難というキーワードが並ぶと、重苦しいと思いがちだ。しかしキムラも柏木もそこは否定する。

キムラ「スタジオジブリの「平成狸合戦ポンポコ」も、企画書でみれば「人間の開発で森が壊され、行き場を失った狸が……」と重い話になるのでしょうが、実際にあのアニメを観るとそんなことはない。奥にメッセージが仕込まれてますよね。この作品も同じで、子供が観ても凄く楽しめるんです」

柏木「ゲネプロでは未就学児も観られるようにしているんですが、怖いシーンでは泣くし、楽しいシーンでは笑うんです。誰よりも子供は感じ取るんですね。公演の冒頭に、キムラさんが前説をするんですが、それがお客さんを福島の地に誘うんです」

――― 初日の直前に行うゲネプロは、演出家が最終チェックの為に行う作業だが、それを公開するだけでなく、子供や親子にも魅せているという。ユニークなのは場所によって子供の入場料が「葉っぱ3枚」「将来の夢を言う」事だったりすること。

インタビュー写真

キムラ「僕が関係者の方のみが構えてみているゲネプロが苦手で。それなら泣きわめいてもいいから「普段は観たくても観る事の出来ない」子供達やお母さんに観て欲しいと思ってこの様なゲネプロをやってるんですが、逆に僕達が何かをもらってます。葉っぱも沢山貯まってますよ(笑)」

浅倉「子供達が居るゲネプロなんて人生初でしょうね(笑)。ワクワクもあるけど怖さもありますよ。だって中途半端な気持ちでは立てないですからね」

富田「私は子役から舞台に立っているのですが、その頃同年代の子達が稽古場などで騒いでいるのにイラッときたりしたこともありました(笑)。でも今ではそんなこともなく子供たちの反応に嬉しくなる自分が居るし、ゲネプロを見てもらえることにドキドキします」

――― なかなか戻ってこない町民達を待ち続け、いろいろな気持ちを巡らせる妖怪(元々は町で暮らしていた動物たち)。戻りたい気持ちを持ちながら、一歩が踏み出せない人間達。そうした登場人物のドキドキした気持ちはそのまま俳優達の気持ちに繋がっている。さらにそれは観客にもつながり、誰もが参加する祭りに向かって高まっていく。まさに虚構のはずの演劇が、リアルな体験へとリンクするわけだ。最後にそんな舞台への招待をメッセージとしてもらってみた。

インタビュー写真

柏木「気軽に見に来て欲しいですね。慣れている方はともかく、まだ舞台や演劇に触れていない方にも楽しめますし、泣き笑いできるけれど最後にはメッセージと温かい気持ちを持ち帰れる作品ですから。国民的漫画の○○えもんと一緒ですね(笑)」

浅倉「エンタテイメントという一番伝えやすいものを観てもって、そこで一歩踏み出す方もいれば、そこでいろいろな思いをかみしめる方もいらっしゃる。そんないろいろな気持ちが交わる夏にしたいですね」

富田「【フリーカル】というナイスコンプレックスさんが新しく立ち上げたスタイルには楽しくてポップな歌が沢山あります。(ヤンスケを演じる)柏木くんが100%の笑顔で歌っている姿からはエネルギーをもらえると思います。なので題材が重そうだからとご覧になるのを躊躇している方がいらっしゃったらぜひ勇気を出してご来場していただいて、更に勇気を出して舞台にも上がっていただけたら役者冥利に尽きると思います」

キムラ「子供が沢山観る舞台を手がけたこともあって、その時不思議に思うのですが「演劇」というとなかなか人が来ないのに「ショー」は子供と観に行ったりするんですよね。子供を連れてくる親は、子供たちの笑顔に反応して笑顔になり、それを見て子供はもっと笑顔になるんです。それが最高だと思います。だから「ショー」だと思って来て欲しいです。でも、これ大事です。「もしもまだ、「震災」や「地震」という言葉が凄い痛く感じる方は、無理しなくていいと思うんです。無理しなくていいと思うんです。まだ。エンタメは無理して観るものではありません。ただ、救われる事もあるかもしれません。それを信じて僕らは舞台でお待ちしております」

(取材・文&撮影:渡部晋也)

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公演情報

「フリーカル『YAhHoo!!!!』【東京公演】」のチラシ画像
ナイスコンプレックス カンフェティ演劇祭参加作品
フリーカル『YAhHoo!!!!』【東京公演】


2019年9月12日 (木) 〜2019年9月16日 (月・祝)
新宿村LIVE
HP:公演ホームページ

プレミアム席(前方指定席/特典お土産付き) 9,000円
一般席(後方指定席) 6,500円
(税込)

詳細はこちら
「フリーカル『YAhHoo!!!!』【東京公演】」のチラシ画像
ナイスコンプレックス
フリーカル『YAhHoo!!!!』【東京公演】


2019年9月12日 (木) 〜2019年9月16日 (月・祝)
新宿村LIVE
HP:公演ホームページ

18名限定!一般席(後方指定席) 6,500円 → 5,400円 さらに1,000Pゲット!(9/13 19時00分更新)
詳細はこちら
「フリーカル『YAhHoo!!!!』【いわき公演】」のチラシ画像
ナイスコンプレックス
フリーカル『YAhHoo!!!!』【いわき公演】


2019年9月7日 (土) 〜2019年9月8日 (日)
チームスマイル・いわきPIT
HP:公演ホームページ

特別指定席(前方指定席/いわき特別特典+舞台で仲間集合記念写真付き) 6,500円
一般席 (後方自由席)  4,000円
(税込)

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