> WEBインタビュー一覧 > 渚 あき・片山陽加
ミュージカルという表現手法で舞台創造を目指し、2005年に結成された「ミュージカル・ギルドq.」。第13回公演はオリジナル ・ミュージカル『ファミ☆レス〜幸福のレシピを求めて〜』を上演する。本作は2008年に初演されこの度大幅にリライト、ほぼ新作として復活する。主演・湧井幸子役の渚あき、謎の女性・田島美和役の片山陽加に話を聞いた。
● 渚 あき(なぎさ ・あき)
1969年1月28日生まれ、兵庫県出身。
1988年、宝塚歌劇団に入団。2001年、星組トップ娘役に就任。2003年の退団以降、舞台を中心にドラマ・コンサート等幅広い分野で活躍中。主な出演作品に『レ・ミゼラブル』、『夜想曲集』、『グレート・ギャツビー』、『1789〜バスティーユの恋人たち〜』等がある。
● 片山陽加(かたやま・はるか)
1990年5月10日生まれ、愛知県出身。
AKB48チームAの元メンバーで、2014年の卒業以後は数多くの舞台で活躍中。主な出演作に、ミュージカル『ピーターパン』、喜劇『有頂天団地』、舞台『PTA』などがある。
ファミレスは憩いの場所
――― 全国に様々なファミリーレストランがありますが、ファミレスにまつわる思い出はありますか?
渚「私は宝塚歌劇団にいたので街自体が緑に囲まれてネオン街でなく、お稽古が終って遅くなると開いているお店がなくて、でも国道沿いのファミレスは必ず開いていて(笑)、ファミレスには助けていただきました。みんなで食べながらその日のお話をする憩いの場所でした」
片山「私は小さい頃から某ファミレスの朝食を食べに行っていました。コーンスープをひたすら飲んでいたことを思い出します。高校生の時もみんなでどこかに行こうとなるとファミレスでしたね。ずっと喋ったり宿題をしたり、私にとっても憩いの場ですね」
渚「気軽に行けるしテーブルも割と広めでゆとりがあったりしてね」
――― 店員さんもいい具合に放置してくれますしね!
片山「そうなんです! それが一番です(笑)」
ベアーズの居心地の良さを感じてもらえたら
物語はファミレス「ベアーズ」を舞台に従業員と個性豊かな客たちが巻き起こす大騒動をコメディタッチで描く。ある日、ベアーズに抜き打ちで本社から査察が入ると情報が。そこへ謎の女・田島美和が現れ波乱が巻き起こる。果たして店は抜打ち査察を無事切りぬけることがでるのか!
そしてこの店に集う人たちは、ファミリーのいないファミレスで家族の絆をとりもどせるのか?
――― 本作の舞台となるファミレス「ベアーズ」はどんなお店ですか?
渚「ベアーズはちょいちょい色んなことが起こります。割と謎めいた人々が出てきますが、そこには必ずあたたかいエピソードが詰まっています。日常に起こる出来事としてお客様に身近に感じていただけるように、ナチュラルに届けばいいなって思っています」
片山「実はある1日のお話で、後半ではずっと嵐、嵐。こんなにトラブルが起きるものなの?というくらいドタバタ感が台本を読んでいてテンポの良さを感じました。みんな個性的で色々やらかすけれどどこか憎めない愛されるキャラクターばかり。ベアーズの居心地の良さを感じてもらえたら嬉しいです。年齢関係なく楽しめる物語だと思います」
――― 主演のベテランウエイトレス湧井幸子を演じるのは渚あき。店長や店員から頼られる働く主婦役だ。
渚「結婚・子育てをして、また働き出す女性は年齢的にも様々な経験を積み、良い意味での強い部分が出てくると思うので、そんな部分を持ちつつ周りの人への配慮もできる幸子。こんなおばさん居るねって、おばさん度を弾けさせられたら良いなと思います。次から次へと問題が起き、みんなに背中を押され責任を擦り付けられる立場ですが、うまく采配していく感じをテンポ良くやっていけたら。一つずつ起こる出来事が流れて終わるのではなく、キャラクターが浮き立つように粒立てばいいな。個々に物語があるのでそこも見所になると思います。誰を掴んで見てもその人の物語が見えるので楽しんで頂けると思います」
――― 謎の女・田島美和役には片山陽加。物語をかき回すキーパーソンになりそうだ。
片山「私の登場シーンについて台本のト書きに“ピンスポットで抜く、美女登場”って書いてあって、どうしようと(笑)。そんなト書きは初めてだったので心配してしまいました。それに加えて今まで体験した事がないシーンがあったり、それはみんなの中の妄想を再現するシーンなのですが役とはかけ離れたもので、みんなを巻き込むというよりは騒然とさせるものになると思うので、楽しみにしていてください。そんなキャラクターですが、実は純粋な心を持つ役どころなのでうまく演じていけたらと思っています」
新たに生まれ変わった作品としてその良さを存分に味わって
――― 歌って踊る作品ですが、楽曲も楽しみですね!
渚「いま台本を読みながらイメージしている所ですが、元気になれる楽曲ばかりだそうですよ」
片山「どんな楽曲になるのか楽しみですね。ポップでシーンによってはラテン調とか、ロックっぽい楽曲もあるそうです」
渚「私たち2人で掛け合うところもお楽しみにしていてください」
――― ファミレスといえば、お店によってこだわりの制服がありますね。
渚「はい、今回キャラクターに合わせた制服を作って頂いていまして、ちゃんと小道具も持って撮影しました。撮影でもアットホームな感じでやらせていただけて、制服はなかなか着ることがなかったので楽しかったです」
片山「私の役の衣裳は……遊びがあったりするのでお楽しみにしていてください。あといつもファミレスにいるママ友3人組が出てきますが、その歌がとても楽しそうで! 個人的にはそのシーンが気になりますね。みんな歌になるとはっちゃけそうで」
――― 座長として心掛けていること、楽しみにしていることは?
渚「舞台は総合芸術なので、無理にこうしようと気負いすぎず、真摯に自分のやるべきことを頑張ってやっていれば、皆の力になれるのではないかと。あとはみんなの雰囲気がよければいいなって」
片山「みんなでファミレス行きたいですよね!」
渚「そういうコミュニケーションも取れたらいいなぁ。今回宝塚出身では3人、アーティストさんもいらして幅広いジャンルの方が揃っていておもちゃ箱のよう。宝塚のメンバーは面識がありますが、他のみなさんは初めましてなんです。新しいメンバーに会えるという事も楽しみです。
今回の題材が身近にある内容の作品なので、お客様もファミレスの中に入って見ているみたいな雰囲気になってもらえたらいいなと思っていて、一緒にみんなで創り上げることを楽しみたいです」
片山「コメディなので皆さんと早く距離を縮めたいです。コメディって座組の仲の良さがとても出る所があるんです。とにかく皆さんとたわいもないことでゲラゲラ笑えるぐらい仲良くなって、チームワークもコメディとともに出していけたら」
渚「作・演出の田中広喜さんが書く作品は、必ず登場人物があったかいです。そういうキャスティングになっていると思うので私自身が期待しています」
――― 最後にメッセージをお願いします。
渚「この作品は10年前に1度上演されていますが一部がリライトされていて、初演と今回続投する方はひとりだけと聞いていますから、ほぼ新作です。新たに生まれ変わった作品としてその良さを存分に味わっていただけるように、関わる全ての方と力を合わせて精一杯頑張って、全員で弾けたいと思います。是非いらしてください」
(取材・文:谷中理音 撮影:友澤綾乃)