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田谷野 亮・中村静香

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セリフと役者の肉体だけで勝負するつか作品。誰もが知る名作中の名作をどう見せるか

ヒロイン・小夏の適役に出会い、ずっとやりたかった『蒲田』に満を持して挑む

元アメフト選手というユニークな経歴を持つ俳優・田谷野 亮のプロデュースで2016年にスタートし、つかこうへいの代表作をこぐれ修の演出で上演してきた、たやのりょう一座。その第3回公演は、満を持して挑む名作中の名作『蒲田行進曲』。銀四郎を演じる田谷野が「やっと見つけた」と絶賛する中村静香を小夏役に迎え、最高の『蒲田行進曲』を見せたいと意気込む今回の公演について、田谷野と中村に聞いた。

PROFILE

田谷野 亮(たやの・りょう)のプロフィール画像

● 田谷野 亮(たやの・りょう)
1986年9月18日生まれ、大阪府出身。
11歳でアメフトを始め、社会人Xリーグで日本一を経験するも怪我で引退。2012年、『仮面ライダーウィザード』で俳優デビュー。2016年、“好きな仲間と好きな作品を好きな場所で”をモットーに、自身のプロデュース企画たやのりょう一座を立ち上げ。劇団☆新感線の旗揚げメンバーであるこぐれ修とタッグを組み、つかこうへい作『いつも心に太陽を』『ストリッパー物語』を上演した。

中村静香(なかむら・しずか)のプロフィール画像

● 中村静香(なかむら・しずか)
1988年9月9日生まれ、京都府出身。
2002年から芸能活動を始め、翌2003年に第9回全日本国民的美少女コンテストの決勝に進出。ドラマや映画、CM、バラエティ番組、グラビアなど幅広く活動。2016年には地元である宇治市の観光大使に就任。舞台歴は、2012年の『一騎当千』(脚本・演出・振付:西田大輔)で初出演にして主役の孫策伯符を演じたほか、2014年に劇団マツモトカズミ『読モの掟!』に出演している。

インタビュー写真

お前につか作品は無理だと言われて、絶対やってやろうと

――― 田谷野さんが芝居を志したいきさつを教えてください

田谷野「小学校5年生の頃からやっていたアメフトを、24歳のときに怪我で断念したんです。そこで、例えば何万人もの観客の前で日本一になる瞬間のような、アスリートとしての承認欲求みたいなものを忘れることができなかったというのが、たぶん芝居への入り口だったのだと思います。もともと興味があったわけではないんですけど、大観衆の前に立てるものが欲しかったんです。そこで、アスリートの次は役者で頑張ってみようと思いました」

――― 大勢の人の前に立つために、それほど興味がなかった役者を選んだのはなぜですか?

田谷野「とても安易なんですけど……映画の舞台挨拶ってあるじゃないですか。役者さんが“すごくいい映画ができたので見てください”って。たまに泣いている人もいたりして。ああいうのを見て、この人たちも同じようなことをしてきているんだなと、スポーツをやっているときから潜在的に思っていたんです。アスリートの道を断念したとき、一度就職活動もしたのですが、やっぱり馴染めなくて。そのとき、ずっと潜在的に心の中にあった世界に飛び込んでみようと。でも、そんなに深い意味はないです」

――― 実際に芝居をやってみて、いかがでしたか?

田谷野「恥ずかしいし、全然できないし。初めての仕事が『仮面ライダーウィザード』で、東映の撮影所にポンと放り込まれたとき、僕ファーストカットでセリフを言いながらカメラから外れてしまって、カメラマンさんにめちゃめちゃ怒鳴りつけられたんです。でも、そのとき“あ、面白いな”ってちょっと思いました。ここで頑張ってみようって。東映のスタッフさんには1年間怒られ続けて、“お前は基礎がないから舞台もやれ”って言われたのが、演劇をやらなきゃと思ったきっかけです」

――― たやのりょう一座を立ち上げたのはなぜですか?

田谷野「しばらく演劇をやっているうちに、古田新太さんと生瀬勝久さんと池田成志さんが3人でユニットを組んだりしているのを見て、自分もこの先出会っていく人間と面白いことを作っていく場があってもいいなと思いました」

――― つかこうへいさんの作品が続いていますね。

田谷野「演劇の世界に飛び込んで最初に立ったのが、こぐれ修さんの舞台だったんです。こぐれさんと飲みに行くと、いつもつかさんの話をするので、僕が“つかさんって誰ですか”って聞くと、“そんなことも知らないで演劇やってるのか”って。それで調べていくうちに、つかさんの本がすごく面白くて、こぐれさんに“これをやりたい”って言ったら、“お前には絶対無理だ”と言われて、だったら絶対やってやろうと」

――― 怒られたり、無理だと言われたりすると燃えるんですね。

田谷野「スポーツマンなんですよね。こぐれさんと出会って舞台が楽しくなりました。それも上辺の楽しさじゃなくて、演劇というものを教えていただきました」

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中村さんの明るさや気持ちの強さは「小夏だ」と

――― 中村さんは舞台のご経験は?

中村「片手で数えられるくらいです。初めての舞台がいきなり主演だったんですけど、とにかく何も知らないし、たぶんいろいろ考えてもわからないので、とにかく自分の役を全うしようと、怖いもの知らずでぶつかっていきました。キャストさんやスタッフさんも良い方たちに巡り会えて、なんとか千秋楽を迎えられたときは嬉しかったです」

――― 生で演じる芝居ならではの面白さを感じたことは?

中村「そのときそのときでいろいろありました。役者さんも人間で生き物だから、その日によってコンディションが違うし、お客さんも温かい日とそうじゃない日もあったりして、ほんとに舞台は生ものだなって思いながら駆け抜けた印象があります。とにかく鍛えていただいた、教えていただいたという感じです」

――― 今回は『蒲田行進曲』という名作に抜擢されたわけですが、ご覧になったことは?

中村「映画は見たことがありましたし、今回お話をいただいて見直したりもしました。やっぱり熱量がすごいなって思いますね。演じる役者さんの熱量もそうだし、出てくるセリフもとんでもないことを言ってるんですけど、言い切っちゃってるから変な気持ち良さもあったりして。あと、自分の親の世代にも届く作品だと思うので、その舞台に立てるという嬉しさはとても大きいです」

――― そんな中村さんを小夏役に起用した狙いはなんですか?

田谷野「率直に、小夏ができると思いました。いろんなバラエティ番組に出演されている姿を主に見させていただいたんですけど、まず第一に、お客さんに絶対好かれるだろうなっていう、演劇ですごく大事な要素をお持ちになっている。あとは、明るさや、時おり見せる気持ちの強さ、独特の空気感、これがあれば小夏はできるなと、勘で思いました。実は、たやのりょう一座の第1回で『蒲田行進曲』をやりたかったんですけど、小夏がずっと見つからなくて、何年も探していたんです」

――― 中村さんとの出会いが決め手になったんですね。

インタビュー写真

田谷野「つかさんの芝居はとにかくしんどいし、セットもないし、セリフと役者の肉体でしか勝負ができない。そういう意味で、中村さんが舞台に立ったとき、お客さん必ず小夏として見てくれるだろうという思いがありました。 BSの番組でフルマラソンに挑戦されているのも見ましたよ」

中村「ありがとうございます。銀ちゃんがスターでいられるのは小夏が支えている部分が大きいと思うので、女性らしさと、芯の強さも垣間見えるようなキャラクターを作り上げていきたいです。小夏として迎え入れてもらったぶん、そこはしっかりやっていきたい思いもあるんですけど、そこまで小夏を求めていらっしゃったんだなというのを今初めて知ったので(笑)、頑張らなきゃいけないなって……でも、気負わずにやりたいです」

田谷野「絶対大丈夫。この作品の太陽なので」

中村「そうおっしゃってくださるなら、大丈夫なんだろうなって思います。1つ1つ丁寧に積み上げていかなきゃいけないなって」

これをやり遂げたら、きっといい景色が見られる

――― 田谷野さんは銀ちゃん=銀四郎を演じます。これも責任重大ですね。

田谷野「そもそも有名な作品ですし、銀四郎はみんな知っているキャラクターなので、中途半端な演技をしてしまうとお客さんには認めてもらえない。そういうところのプレッシャーはあります。こぐれさんは昔つかさんとも一緒に芝居をやってらっしゃって、役や役者の本質にすごくシビアな方なので、僕が銀四郎にハマるかどうかは、こぐれさんにほぼお任せしています。なので、いけると言われたなら一生懸命やります。委ねながらも、食らいついていくという感じですね」

――― そして、ヤスを演じるのは小谷けいさん。銀四郎とヤスの関係も絶妙なバランスが求められますね。

田谷野「彼とはもう何度もタッグを組んでるので、そこは心配していません。委ね合って、一緒に板の上にいられる奴なので、信頼しています」

中村「出会ってどれくらいなんですか?」

田谷野「5年くらいかな。つかさんの芝居を4回くらい一緒にやって、支え合ってきたという感覚があります」

中村「素敵ですね」

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――― スポーツ選手の言葉のように聞こえますね。

田谷野「はい、ほぼ一緒ですね。特にチームスポーツでは信頼が一番ですから。役者が板の上でどれだけ信頼し合って、どれだけ上にいけるか。そこをやらないとお客さんはすぐ寝てしまうので、やっぱりシビアになりますね。ですから、役者同士は稽古以外のときもコミュニケーションをとって、お互い信頼し合うことを重要に考えています」

――― そういう気持ちをぶつけられるのが、つか作品ということでしょうか?

田谷野「今ずっと話してきた信頼や熱量が集約されているのがつかさんの芝居で、それらがうまくハマった瞬間の客席の熱気はすごいものがあります。セリフの威力を役者の肉体が超えていった瞬間に、お客さんに初めて意味が伝わるというか。そこがつかさんの面白いところですね」

――― 最後に、公演を楽しみにしている皆さんに向けて一言ずつお願いします。

中村「『蒲田行進曲』という名作をやらせてもらえる喜びと同じくらい怖さもあるんですけど、そこは皆さんに引っ張っていってもらうような形で、私はとにかく一生懸命お客さんに届けられるように、そこだけを忘れずに頑張らせていただきます」

田谷野「急に『蒲田行進曲』って言われて、びっくりしませんでした?」

中村「びっくりしましたね(笑)。石で頭を殴られたみたいな衝撃はありました。とにかくセリフの量が多い大変さはありますけど、親世代の方々にどう映るのかなって、見終わった後に感想を聞いてみたい気持ちもあります。これもまた、さっき田谷野さんがおっしゃってくださったマラソンの番組をやったときも、何も未来予想図が描けなくてただただ怖さしかなかったんですけど、今はやってよかったって思いますし、あの世に行くときに持っていける経験になったかなって思うんです。今回も、そんなふうに一生懸命頑張った先に何かあるかなと思って、とにかく頑張ります」

田谷野「満を持してようやく『蒲田』をやれることになって、キャストにも恵まれて幸せを噛み締めています。でもそれは今だけにして、中村さんと同じように、何が待ってるんだろうというところへみんなと一緒に飛び込んでいきたいですね。やり遂げた後には、きっといい景色が見られるんじゃないかと思っています」

(取材・文&撮影:西本 勲)

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公演情報

蒲田行進曲

日:2019年3月27日(水)〜31日(日)
場:浅草木馬亭
HP:公式HP

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