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若宮 亮・下平慶祐・伊藤寧々

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人生に疲れた作家の夢想が行き着く果ては、無人島に作り上げた自分だけのユートピア……

乱歩作品に込められた普遍的テーマを、エンタメ要素も加えて“今”に向けて放つ

劇団エムキチビートに所属し俳優として活動する一方で、舞台のプロデュースも精力的に行っている若宮亮が、自身で立ち上げた合同会社E-Stage Topiaの企画による提携プロデュース公演の第1弾『カルパノーラマ』を上演する。本作は江戸川乱歩『パノラマ島奇譚』をベースに、さまざまな乱歩作品の要素をミックスしたオリジナル作品。「若い世代の仲間たちと一緒に演劇界を盛り上げていきたい」と意気込む若宮に、演出を手がける下平慶祐と、ヒロインを演じる伊藤寧々を交えて、この新しい船出について話を聞いた。

PROFILE

若宮 亮(わかみや・りょう)のプロフィール画像

● 若宮 亮(わかみや・りょう)
10月2日生まれ、東京都出身。
劇団エムキチビートのメンバーとして活動しながら、蜂寅企画やアートカンパニーピエロ、PUBLIC∴GARDEN!などの作品にも多数参加。体感型演劇『R』企画の主宰でもある。1月30日〜2月3日に上演される三栄町LIVE+黒薔薇少女地獄特別公演『緋色、凍レル刻ノ世界、永遠』(作・演出:太田守信)にもプロデュース/出演で関わる。

下平慶祐(しもひら・けいすけ)のプロフィール画像

● 下平慶祐(しもひら・けいすけ)
1993年9月27日生まれ、ニューヨーク出身。
大学の英語劇サークルで演劇と関わり始め、2013年に四大学英語劇大会でGrand PrizeとStage Effect Prizeを大会史上最年少演出家として受賞したのを機に、演出助手としての活動を始める。2014年、自身の劇団「もぴプロジェクト」を立ち上げ、全作品の演出と脚本を担当。2018年、末原拓馬らと演劇ユニット「Z℃」を旗揚げ。もぴプロジェクト『マークドイエロー』(2017年)にて佐藤佐吉賞優秀脚本賞受賞。

伊藤寧々(いとう・ねね)のプロフィール画像

● 伊藤寧々(いとう・ねね)
1995年12月12日生まれ、岐阜県出身。
2011年、乃木坂46第1期生オーディションに合格し、2014年まで活動。これまでの主な出演作に、映画『杉沢村伝説 劇場版』(主演/2014年)、劇団マツモトカズミ『読モの掟! 2016』(2016年)、劇団た組。『まゆをひそめて、僕を笑って』(2017年)、TEAM-ODAC『小さな結婚式〜いつか、いい風は吹く〜』(平牧仁とW主演/2017年)、SOLID STARプロデュース『明るいお葬式〜るんるんは2度死ぬ』(2018年)がある。

インタビュー写真

役者もプロデューサーも全力でやりたい

――― 昨年12月にはエムキチビートの『世界の終わりに君を乞う。』と並行して若宮さんプロデュースの『宇宙の片隅で、僕は君に話しかけたかった。』が上演され、この1月には『カルパノーラマ』の他にもう1本プロデュース公演があるという、ものすごい状況です。

若宮「もう、やったことのないことをやろうと思っているんです。プロデューサーと役者の両方をやっている方というのは、たぶんそんなに多くないですよね。でも、役者として頑張ればプロデュース業でたくさんの方々をお呼びできる機会が増えますし、プロデュースを頑張ることは役者としてもプラスになる。元吉君(エムキチビート主宰・元吉庸泰)も、“どうせやるならどちらも全力でやった方がいいよ”って言ってくれているので、エムキチビートはエムキチビートで頑張りつつ、ある種のパイオニアのようになれたらいいなと」

――― 今回の『カルパノーラマ』は、そんな若宮さんが昨年立ち上げたE-Stage Topiaが2つの制作会社と提携して行う外部公演の第1弾ということですが。

伊藤「そんな一発目に出られることになって、嬉しいです」

下平「責任重大ですよね(笑)」

若宮「僕がプロデュースするときは、いつも自分の仲間と一緒に質の良い作品を世の中に提供したいというコンセプトがあるんですけど、今回は新しい会社の一発目の公演として、ちょっと大きめの規模で、身近な人間と作っていけたらいいなと。それで脚本もエムキチビートの太田君(太田守信)に書いてもらって、演出は昔エムキチビートで演出助手をしていただいていた下平君にお願いしました。まだ25歳なんですけど、彼はイギリスとかアメリカの演劇に触れてから入ってきていて、大学時代には英語劇大会の賞を最年少で受賞していたりと、これからいろいろ面白そうな人間なんです。僕が言うのもおこがましいですけど、そういう人にどんどん機会を与えて、一緒に良いものを作っていけたらいいなと思って、今回お願いすることにしました」

下平「初めてお会いしたのは5年くらい前です。僕はもともと演劇というものを全然知らずに育ってきた人間なんですけど、大学時代に演劇に関わることになったとき、プロの作り方を勉強しようと思っていろんな劇団のワークショップの告知を調べて、一番面白そうだったのがエムキチビートでした。それから元吉さんにずっと教わることになって、もう最初の印象からずっとカッコいい先輩たちです」

――― もともと無縁だった演劇にここまで入り込むようになったのは?

下平「僕は出身がニューヨークで、ブロードウェイの舞台は小さい頃に何回か観たことがあるんですけど、それはたまに家族で楽しむ娯楽というくらいのものでした。演劇というと、シェイクスピアだの何だのって難しい言葉ばかりで、この人たち何言ってるんだろうって思ってたんですけど、大学時代にある作品を観て“ヤバい”と思ってしまって。演劇ってこんなにも人の心を動かす力があるものなのかと驚いたんです」

若宮「それは何だったの?」

インタビュー写真

下平「ケラリーノ・サンドロヴィッチさん(ナイロン100℃)の『わが闇』(再演)です。それを観たとき、プロとして演劇をやりたいという気持ちが一気に加速しました。人様のために、自分の人生をかけてやりたいと。僕はアメリカ演劇もイギリス演劇も勉強していて、今は演出をやっているわけですけど、たぶんそういう人間ってけっこう稀有な存在だと思うんです。なので、若宮さんが求めているものに対して、これまでの恩返しにもつながるかなと思って今回もやらせていただきます。それが、ひいてはお客様のためにもなるんじゃないかと思っています」

伊藤寧々だから演じられるヒロイン像がある

――― 江戸川乱歩の『パノラマ島奇譚』をベースにしたオリジナル作品を作ることにしたのは?

若宮「まず、江戸川乱歩をやろうというのが一番最初にありました。その中で、人生に疲れてしまった主人公の小説家が妄想を広げていく面白さが『パノラマ島奇譚』にはあって、そこに他のいろんな有名作品を織り交ぜることによって、その面白さをさらに広げていけるだろうと」

下平「僕がやっている劇団でも、文学をベースにすることが多いんです。というのは、例えば100年前の文学が今でも読まれているのは、現代にも通じるテーマがあるから。最初に亮さんから江戸川乱歩をやりたいんだって言われたとき、そこにすごく共感できたことのもこの仕事を受けたいと思った理由の1つです。さらに、あくまでも今の人たちに通ずる形をと考えたとき、いろんな作品を織り交ぜることで、どの角度からもお客さんが共感できるものになるんじゃないかとも思いました」

――― ヒロインに伊藤寧々さんを起用したのは?

若宮「『パノラマ島奇譚』の千代子を演じていただくんですけど、役者としてはかなり大変な役なんです。僕は今までもアイドル出身の方たちを真ん中に置いて、けっこうしんどい役をやってもらうのが好きで(笑)。芝居で悩んでほしいし、葛藤してほしいし、戦ってほしい。それで一皮むけた姿で板の上に立ってほしいと思っているんです。あくまでも感覚的なものが大きいですが、伊藤さんにもそういうことを感じてオファーさせていただきました」

伊藤「文学作品が基になっている舞台をやるのは初めてなので、今までより少し身構えてしまうというか、作品の真意を伝えられるかどうか不安はあります。でも周りの皆さんを頼りにしながら、ヒロインとして作品を支えられるように頑張っていこうと思っています」

――― 伊藤さんは2014年にグループを卒業してから、舞台には何本も出演されていますね。いろいろな仕事がある中で、舞台は続けていきたいものの1つですか?

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伊藤「そうですね。でも、最初は舞台にものすごく苦手意識があったんです。乃木坂46在籍中も舞台は経験させていただいたんですけど、なかなか自信を持てるところまで辿り着けませんでした。でも、卒業して次のステージに進むときに、また舞台の仕事から始まったんです。それで“やっていけるかな……”という不安の中でやってみたら、そこでお芝居の楽しさを学ぶことができて。1つの役をちゃんと自分が全うするということを通して、そこからはどんどん舞台をやってみたいと思えるようになりました」

下平「元アイドルグループというキャリアを考えたとき、それまで大きなところにいた人間がこれからの自分の人生をどうするか、という迷いはきっとあったと思うんです。それは、主人公の男にこのまま近づいていいのか、それとも離れた方がいいのかという千代子の姿に重なるし、そういう彼女にしか演じられない千代子像があるんじゃないかなと思います」

一番見せたいのは心の振れ幅>

――― 伊藤さんは、江戸川乱歩の作品を読んだことはありますか?

伊藤「もともと本を読むのは好きですが、推理小説はなんだか難しそうな印象があって。『パノラマ島奇譚』はオファーをいただいてから初めて読んだんですけど、とても読みやすくて、人間的だなと思いました。感情表現も多く含まれていて、引き込まれました。この作品で舞台をやるとなると、どういう表現になるんだろうと思う場面がたくさんあったので、稽古が始まるのがとても楽しみです」

――― そんな『パノラマ島奇譚』の独特の世界を、『カルパノーラマ』ではどんなふうに見せていくのでしょうか?

若宮「今回はビジュアルデザインも含めていろいろ関わっているんですけど、ネガティブなものとポジティブなものをごちゃ混ぜにした、本当におもちゃ箱をひっくり返したようなものをイメージしています。ショーアップされた要素もありますし、いろんな人がいろんな登場人物に感情移入してもらえる作品になればいいなと」

下平「四畳半の小さな世界にいた主人公がどんどん妄想の世界を広げていった結果、その世界は果たして本当に広かったんだろうか……そんなところに最も重きを置いた演出にしようと思っています。江戸川乱歩の作品世界を伝えるというよりは、そこに内包されたテーマを伝えることが大事。一番見せたいのは心の振れ幅で、相当な爆発力を秘めた舞台になるんじゃないかと思います」

伊藤「頑張ります」

若宮「身体表現に関しても、僕の信頼している振付師に入ってもらって、体も心も全力で動く舞台になると思います」

伊藤「私、アクロバットが特技で、体を動かすのは自信があります」

下平「すげえ! 教えてほしいな(笑)」

若宮「踊りもいけるよね」

伊藤「久しく踊ってないですけど、たぶん大丈夫です(笑)」

――― 伊藤さんのファンにも、新しい姿を見せられそうですね。

伊藤「そう思います。作品自体も、あまり見たことがないようなテーマだと思うので、新鮮な感じで楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。芸術ってこういうことなんだな、っていうのを感じてもらえるかもしれません」

若宮「今回はE-Stage Topiaとしての一発目ですけど、エムキチビートで育った僕がやっていくので、そういう感じの要素は含めつつ、エムキチビートにはない部分もどんどん出していきたいと思っています。まずはこの作品を1人でも多くの方にご覧いただけたら嬉しいです」

(取材・文&撮影:西本 勲)

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公演情報

「カルパノーラマ」のチラシ画像
Yプロジェクト×Zero Project×E-Stage Topia提携プロデュース公演
カルパノーラマ


2019年1月23日 (水) 〜2019年1月27日 (日)
渋谷区立文化総合センター大和田 伝承ホール
HP:公演ホームページ

公開ゲネプロ:5,000円(1月23日(水) 14:00の回)
前売:6,000円
(全席指定・税込)

※一般販売はキャスト別特典は付きません
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舞台人による1000のエールプロジェクト