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白坂英晃・宮川英二

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はらぺこペンギン!  白坂英晃による、卓球エンターテインメント&江戸川乱歩の世界観で描くミステリー

神保町花月の人気シリーズ最新作を12月・1月で連続上演

若手芸人による芝居を多数上演する神保町花月。今年7月に迎えた11周年記念公演の脚本・演出等、同劇場を支えてきた、劇団はらぺこペンギン!主宰/脚本家・演出家の白坂英晃が、12月の『2.74のプリエール-ラブ・オール!新章 聖夜の奇跡編-』、1月の『贋作 黒蜥蜴』と、2ヶ月連続で新作を上演する。

PROFILE

白坂英晃(しらさか・ひであき)のプロフィール画像

● 白坂英晃(しらさか・ひであき)
1981年生まれ。
高校時代より演劇を始め、早大演劇倶楽部を経て、02 年劇団はらぺこペンギン!旗揚げ。主宰として全作品の脚本・演出を担当。12年演劇ユニットPeachboys 旗揚げ。神保町花月での公演ほか、外部への脚本提供も多数。NSC東京演技講師。05年日本演出者協会主催「若手演出家コンクール」優秀賞、15年「黄金のコメディフェスティバル」鈴木聡賞・日本コメディ協会賞受賞。

宮川英二(みやかわ・えいじ)のプロフィール画像

● 宮川英二(みやかわ・えいじ)
1982年生まれ。
NSC東京校13 期生。幼馴染の黒沼誠とボーイフレンドというコンビで活動している。特技はオリジナルツッコミ(現在40個)、鳥の鳴き声真似、足つぼマッサージ、オリジナルソング、即興ソング。

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――― スポ根&笑いにラブと家族愛もてんこ盛りした卓球エンターテインメント—12月公演は、大好評を博した『ラブ・オール!』シリーズ第3弾です。

白坂「元々はミュージカル『テニスの王子様』を神保町花月でやったらどうなる?っていう発想から始まった企画。神保町花月のサイズ的にテニスは無理だけど、卓球ならいけるんじゃないかと。基本は超スポ根で、そこに笑いだったり何だったりが入ってくるのが特徴で、更に今回は、クリスマスの素敵なストーリーを絡めたいなと思ってて。スポ根とラブとファミリーと、要素てんこ盛りに入れた、卓球を機に奇跡が起きる、みたいな話になります」

――― 前2作から、キャストも一新されてますね。

白坂「宮川君は前回も出てくれたけど、一段若い子たちに出てもらいます。初演から3年くらい経って、当時若手だった子たちもそれなりに芸歴重ねてきてるので、ちょうど3年前のあの子らくらいの芸暦の子たちでやってみようかなと。だからまずまず顔ぶれが変わるっていうのが、前2作から大きく変わるところかな」

――― 宮川さんは、前回は引退間近のベテラン選手という役どころでした。

宮川「チキータの使い手っていう役だったので、とにかくずっと、めちゃくちゃチキータばっかり練習しました(笑)」

白川「今回は“夢と恋人を一気に失った男”。今回、いろんな世代の主役がいるんだけど、そのひとりです」

宮川「え? 主役なんですか? 今初めて知りました(笑)」

白坂「だから今日呼ばれたんだとか、考えないの?」

宮川「あー、だからなのか!」

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白坂「宮川君は、コント師じゃなくて、ゴリゴリの漫才コンビのツッコミなのに、こんなに芝居ちゃんとやれる奴、他に知らないんで。作品のドラマ部分も担える信頼感があります」

宮川「うわー、嬉しい! 白坂さんの作品はいつも台本読むのが楽しみなんですけど、今回は更にいろんな温度のある芝居になりそうですよね。早く台本読んで、卓球の練習もしたいです」

無いはずの球が見える!? 臨場感溢れる試合のシーン

――― その卓球シーンがかなりの躍動感、迫力だと聞きましたが。

宮川「いやもう、前回すげー大変でした! ラケットと台だけで、大事な球はないエアー卓球なんで。ダブルスの試合の時とか、自分が打つ時と打たない時があって……」

白坂「ちゃんと11点取るまで試合全部やるから、手数覚えるだけでも大変。音や照明と合わなかったら情けないことになるし」

宮川「勢いよく試合してる途中、急にスローモーションになるところがあったりして、とにかくむずい! 初めて体験するお芝居でした。だから前回は稽古後に皆残って練習したりして、ほぼ部活でしたね」

白坂「今回も、動けそうだなって子を入れてみたりしてます。でも、ただただスポ根をやるんじゃなくて、面白くしたいっていうのもあるんですよ。卓球やってるのにそんな魔球使う?とか、球が2つに割れるとか。雷が出て全部の風向きが変わって、みたいな、少年ジャンプ的なシーンもたくさんあるので」

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宮川「確かに、そこはエアーだからこその面白さですね。あと、僕らは芝居してると本当に試合をやってる感覚になるんで、ちょっと感情的になったりしましたね。芝居上ではこっちのチームが負ける設定なんですけど、勝つんじゃないかって気持ちで一旦やるんです。自然と『勝とうな?』って口から出るくらい本気。でももちろん負けるんですけど、何かそれぐらいやんないと嘘になるなと思って。で、負けるとめちゃくちゃ悔しいんですよ」

白坂「毎回負けて、泣いてる奴いましたからね。今日くらいは勝てるんじゃないかと思ったけど勝てなかったって(笑)」

宮川「お客さんも多分、無いはずの球が見えると思うので、それを見に来て欲しいですね」

白川「久々に熱い稽古になると思います。この卓球芝居、熱量もすごいけど、卓球やりながら遊ぶためには瞬発力が相当必要なので、役者がやるより芸人の方が合うというか、面白いんですよ。そういう意味でも可能性を感じているので、神保町花月でしか見られないっていうブランドにしていけたらいいなと思ってます」

江戸川乱歩『黒蜥蜴』をベースにした、妖しく淫靡なミステリー

――― 一方、1月公演では、江古川乱歩の小説をベースにした『贋作 黒蜥蜴』を上演します。

白坂「江戸川乱歩のミステリーを原作にしたオリジナルストーリーは、去年『D坂の殺人事件』をやって、今回が第2弾。去年やってる時から、できたらシリーズ化したいっていう気持ちでやってはいたんですね。神保町花月ではあまりない、妖しいエロさがあって、謎解きがあって、明智小五郎先生が戦う殺陣もあって。江戸川乱歩特有のジェットコースターみたいな、しかも大正・昭和の匂いがする世界、淫靡な世界を正月早々やります」

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――― 江戸川乱歩の『黒蜥蜴』をそのままやるわけではない?

白坂「小説通りに忠実に進むところもあります。ただそこに違う世界観が入ってきたりもするし、乱歩先生の別の作品の要素が入ってきたりもする。『D坂の殺人事件』の時も3冊ぐらいの本を元にしてオリジナルストーリーにしたので、今回も『黒蜥蜴』がメインなんですけど、違う作品のあのキャラクターが出てくるとか、そんなことしながら作っていきます。明智小五郎・小林少年・浪越警部の3人凸凹トリオに、また違った新しい事件を解決してもらいます」


――― 笑いの要素もあるんですか?

白坂「たくさんあります。明智小五郎もめちゃくちゃ女好きって設定で、色々遊びながら解決していく感じになってるので、そのへんの面白さはあると思いますね。犯人側も、ただ真面目な犯人って言うよりは、ちょっと癖のある奴が居たりするので。江戸川乱歩をエンタメに昇華するとこうなるよっていう見せ方なので、あくまで原作っていう形で、タイトルにも贋作ってつけさせてもらってます。結構エンタメに寄せてるけど、乱歩好きな人にも楽しんでもらえると思いますし、これはこれで神保町じゃないと見れない芝居なんじゃないかと思います」

――― まったく方向性が違う2作品ですね。

白坂「そうですね。ただ、全く違うベクトルですけど、どっちの作品も熱量は同じくらい多いし、笑えるシーンもたくさんあります。神保町花月ならではのエンターテインメント、ぜひ両方楽しんで欲しいです」


(取材・文:土屋美緒 撮影:友澤綾乃)

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