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HIDEBOH・中野郁海・赤堀二英

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一流エンターティナーによる勇壮なタップダンスは必見!

乱世を駆け抜けた戦国最強の騎馬隊を「馬」の目線で描く

劇団SETの赤堀二英率いる全身総タイツユニット「タイツマンズ」の番外公演として2009年に上演され、そのシュールな衣装とは裏腹に骨太な脚本と勇壮なTAPダンスで大好評を博した本作が9年ぶりに帰ってくる。戦国最強と謳われた武田騎馬隊を「馬」の目線で描く発想は継承し、演出・キャストを一新。初演で振付を担当した、『座頭市』でお馴染み、TAP界のレジェンド“HIDEBOH”がキャストとして加わるほか、『滝沢歌舞伎2018』で見事なTAPを披露した長谷川純、AKB48でダンスの評価が高い中野郁海や、“踊るメタボリーマン”芋洗坂係長など、一流のエンターティナーが集結した。戦国乱世を武将と共に駆け抜けた馬達の揺れ動く心情や、合戦場に響く蹄の音などを見事なまでに表現したTAPダンスは必見。より磨きをかけた本公演はメジャー化への大きな1歩となりそうだ。

PROFILE

赤堀二英(あかほり・つぎひで)のプロフィール画像

● 赤堀二英(あかほり・つぎひで)
1967年3月30日生まれ、静岡県出身。
バイプレイヤー俳優として様々なTV・CM・映画・舞台に出演するほか、SETの全身タイツユニット「タイツマンズ」を始め、ミュージカルなどの外部作品の作・演出を手がける。 主な作品に映画「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001年)、CX「世にも奇妙な物語」、EX「スカイハイ2」(2004)、CX「コードブルー〜The Second Season〜」(2010)、NHK木曜時代劇「柳生十兵衛七番勝負」(2004)、熱海五郎一座「プリティーウーマンの勝手にボディガード」('15.6 新橋演舞場)等多数。

HIDEBOH(ひでぼう)のプロフィール画像

● HIDEBOH(ひでぼう)
1967年10月7日生まれ、東京都出身。
北野武監督作品「座頭市」のハイライト、農民のタップ&ストンプシーンに出演、振り付けから総合演出までを手掛け、タップダンスを日本に広めた第一人者。音楽性の高いリズムタップを基調とし、パフォーミング性を高めたオリジナルスタイル「Funk-a-Step」を考案。ダンサー・アクター・シンガー・コレオグラファーとして、TV・CMなど多方面で活躍中。代表作に水谷豊監督作品「TAP THE LAST SHOW」(2017年)※出演・振付・監修/北野武監督作品 「座頭市」 (2003 年)/「TAKESHIS’」 (2005)※出演・振付・指導/2016年The New Entertainment Show「shoes On!」博品館劇場(10/8〜10/23)/2015年 北野武原案「海に響く軍靴」博品館劇場(10/30~11/15)等。

中野郁海(なかの・いくみ)のプロフィール画像

● 中野郁海(なかの・いくみ)
2000年8月20日生まれ、鳥取県出身。
2014年、AKBチーム8のメンバーとしてお披露目。同年8月、チーム81st Stage「PARTYが始まるよ」公演で劇場公演デビュー。10月、高知×鳥取まんが王国会議にて「とっとりふるさと大使」に任命。11月、38thシングル「希望的リフレイン」でシングル表題曲選抜メンバーに初選出。2015年3月より、チームKを兼任。テレビドラマでは、2015年『劇場霊からの招待状』第6話、2016年『AKBホラーナイトアドレナリンの夜』第36話に出演。

インタビュー写真

観客アンケートに『不覚にも全身タイツで泣いてしまった』

――― この作品が生まれた経緯を教えていただけますか?

赤堀「元々タイツマンズでタップを取り入れていたので、いつかスピンオフとして、タップ中心のネタを書きたいと思っていました。歴史物が好きな事もあって、武田の騎馬隊の話を読んだ時に、馬でタップをするのも面白いかなと思いついて、2004年頃に20分ぐらいの短編ネタで武田の騎馬隊の話を書いたら、評判も良かったんです。さらに長編に出来ないかと資料を読み漁っていたら、騎馬隊の史実がすごかった。その当時、最強と呼ばれた武田の騎馬隊が織田・徳川の鉄砲隊の前に散る「長篠の戦い」をラストに描くのですが、かつて最強を誇った騎馬隊が最新鋭の鉄砲隊に敗れるという、軍備の進歩による歴史の転換点が非常に興味深かったです。一方で、当時の戦国時代、同盟を組んだり裏切られたりという泥臭い人間模様を馬の視点で描いたら面白いなと。

2009年の初演ではあくまでもタイツマンズのスピンオフなので、全身タイツにたてがみと尻尾をつけただけという衣装で演じたのですが、観客アンケートで『不覚にも全身タイツの馬達に号泣してしまいました』という反応があって。元々タイツマンズは笑い中心なのですが、この作品は少し異色の感動作で、いつの日か再演をしたいという思いがありました」

この舞台をメジャー展開に

――― 再演では脚本と演出、キャストも一新されますよね?

赤堀「一昨年HIDEBOHさんの舞台で共演した時に、「いつの日か本を書いてくれませんか」と頼まれたことがあって。ならばその前に『TAKEDA』やりませんか?と持ちかけたら「いいですね」と話が進みました。でもHIDEBOHさんがキラキラのスパンコールの衣装を纏いながら「……全身タイツですか?」と言われたんですよ(笑)。それで思わず「いえ。違います。カッコいい衣装でやります」と答えるしかなくて。

確かにHIDEBOHさんに全身タイツを着させる訳にはいかないし、もうタイツを着て出てくれる方も少なくなってきましたからね。それにこの舞台をメジャー展開していきたい思いもあって、この際、新衣装で行こうと決めました。そのお陰でHIDEBOHさんの色々人脈も生かしてもらって、今回素晴らしいキャストの方々が出演してくれることになりました」

インタビュー写真

馬の蹄を想起させるタップの音色

――― HIDEBOHさんは初演で振付を、中野さんは初出演になります。

HIDEBOH「馬の蹄は英語で“hoof”と書くことから、昔タップダンサーは“Hoofer”と呼ばれていました。非常に馬の蹄とタップの音色が似ているんですね。2009年の初演では振付を担当させてもらいました。馬の目線で主人である人間の生き様、死に様をどう捉えて、どう動くかという非常に面白い切り口でした。僕もタイツマンズさんやお笑いが大好きだし、SETさんとのお付き合いが深い中で、この作品だけ際立って異色で、とても真面目に書いてあるんですね。ずっと赤堀さんに『これは違う形にして一生物にしていきましょう』と言ってきたので、今回の再演はとても嬉しいです。自分も振付だけでなく、出演するのでかなり気合が入っています」

中野「この話を頂いた時は本当に有難いなと思いましたが、タップダンス自体が人生初なのですごく不安です。あと馬の話なので、正直、面食らってしまいました。コスプレみたいに、馬の被り物でもするのかな?とか、全然想像がつかなくて、もしかして全身タイツも!?と思ってしまいました(笑)。この間初めて、タップのレッスンを受けましたが、思った以上に難しかったですね。その一言に尽きます。リズム感が大事。覚えることが沢山あって。足だけ使うのはこれだけ大変なんだなと。まずは慣れることだと思っています。」

赤堀「中野さんは『うつけ』と言われる役を演じます。一見、おバカさんと思いきや、時には天才的な事を言ったり、未来を予測できたり、摩訶不思議なピュアな役どころです。現代風に言えば、“ファンタジスタ”でしょうか。演じる方は大変だと思いますが」

HIDEBOH「僕も中野さんとお会いしてみて、このほんわかさも相まって適役だと思いました。『うつけ』はすごくキーマンなんですね。ドキッとするような存在。タイプ的にはシャキッとしている人より、このほんわかさがある中野さんが合っていると思います」

中野さん「なおさら頑張らないと! 台本を読んだ時に一体どういう馬なんだろうと全然つかめなかったです。かなりふり幅が大きくて、要所で核心を突く台詞もあったりして、難しい役どころですが、歴史背景を調べたりしながら、自分の中に取り込んでうつけになれたらと思います」

馬の心情を表すソロパートに注目

――― 前作よりパワーアップした公演になりそうですね。見所はどこになりますか?

赤堀「今回は新しい試みでHIDEBOHさんのソロパートを入れてあります。武田の騎馬隊としてどうあるべきかという馬の心情をタップで表す場面です。
また戦いに向けて馬が訓練をしているシーンを、無音のアカペラタップで表現するというプロの皆さんにしか表現できないというか、僕らが簡単に入っていけない重厚な場面があります。そこからHIDEBOHさんのソロが入る。ここは今から楽しみですね」

インタビュー写真

HIDEBOH「確かにソロパートは馬の気持ちになって表現する完全な見せ所ですね。戦に向かう準備をするシーンでは、リズムアンサンブルで、足並みを揃えて、さあいくぞ!と見えなければいけない。ただダンスを見せただけではお客さんには残らない。そこがハードルになりますね。『座頭市』の時と違って、今回は4本足の馬なので、上半身も足と見立てて色んな表現が出来ますが、大事なのは馬の“喜怒哀楽”をどうやってタップで表現するか。そこは僕らにとっても挑戦です」

タップハイになれば成功!でも体は……

――― これから稽古も本格化していきますよね?

赤堀「前作以上にタップ要素が強いので、SETのメンバーがすっかりびびっています。本当についていけるかが心配です。僕は9年前の公演の時、接骨院で30本ぐらい置き針をしていたのですが、今年は何本入れればいいんだろう(笑)。でも最後はランナーズハイじゃないけど、タップハイみたいに高まって気持ちよくなるのですが、終わったあとに下半身に怒られるんですよ。歳考えろ!みたいに。でもHIDEBOHさんたちは涼しい顔してやっているもんだから、さすがですよね。僕は打ち上げでは間違いなくずっと座っていると思います(笑)」

HIDEBOH「結構アスリート的というか、まるで和太鼓を足でやっている感じで、徐々にリズムハイになって飛んで行ってしまうんですね。役者がその世界に没頭してしまう事はお芝居としては大成功ですが、でも体はね(笑)」

中野「私もそれを聞いてすっかりビビッてしまっています。技術もそうですが、体力が果たしてついていけるか……」

赤堀・HIDEBOH「いや、若いからそこは大丈夫でしょ! オジさん達がぜいぜい言いながら、頑張っているんだから(笑)」

“身体の楽器”はきっと新しく聞こえるはず

――― 最後に再演への意気込みと読者へのメッセージをお願いします。

中野「AKB48以外で舞台に出るのは今回初めてで、右も左も分からず不安ですが、すごい方々とご一緒させて頂くので、沢山の事を教えてもらいながら、私もハイになれるような演技をしたいです。演技は見るのもするのも大好きですし、私が舞台に立つことを楽しみに待っていてくれるファンも多いので、今回、この貴重な機会を頂いて、さらに成長させてもらえたらと思っています。舞台での私の衣装にも注目して欲しいです!」

HIDEBOH「オリジナリティがすごく、きっとチラシを見て想像した事と、実際に観たものでは全く違うものになると思います。自分もタップは40年近くやっていますが、未だに初めてタップを観たと言われるように、生でタップを見る機会はそれほど多くはないはずです。でも“身体の楽器”として、人間の感情をリズムで打ち鳴らす行為はきっと新しく見えるはず。舞台上でしか体感できない事なので、是非会場に足を運んで頂けたら嬉しいです」

赤堀「作家としては前作を超えたと思っています。あとは肉体との勝負です! HIDEBOHさんが「座頭市でおなじみの」と言われるように、私も「舞台TAKEDAでおなじみの〜」と言われるような普及活動をしていきたいです。笑いあり涙あり、メッセージ性もある一大娯楽作です。生のタップの凄さを是非目の前で体感して欲しいですね」


(取材・文&撮影:小笠原大介)

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