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進戯団 夢命クラシックス

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退屈させない仕掛けはいっぱい!? 今夏のsmcはひと味違う!!

主宰・伊藤マサミの原点でもあるアングラを取り入れたダーク・エンターテイメントとは?

スピード感のある展開にアクションと爆音、強めの照明など派手なエンターテインメントステージを提供し多くのファンを虜にしている進戯団 夢命クラシックス、通称smc。来年設立15周年をむかえる本劇団が新たな展開を迎えようとしている。

PROFILE

伊藤マサミ(いとう・まさみ)のプロフィール画像

● 伊藤マサミ(いとう・まさみ)
7月3日生まれ、山形県出身。脚本、演出、俳優、アクションディレクターを務め、主宰の進戯団 夢命クラシックス、bpmに所属しステージを中心に幅広く活躍中。『あんさんぶるスターズ』では声優として出演している。

かおりかりん(かおり・かりん)のプロフィール画像

● かおりかりん(かおり・かりん)
5月25日生まれ、千葉県出身。進戯団 夢命クラシックスではマスコットキャラクター的存在。プロデュース団体「華凛」を立ち上げイベントプロデュースなど幅広く活動中。劇団ではセンスを生かし衣裳も担当、こだわりの世界をデザインしている。代表作は華凜episode1『忘却論』at八幡山ワーサルシアター。

舞原 鈴(まいはら・すず)のプロフィール画像

● 舞原 鈴(まいはら・すず)
2月8日生まれ、東京都出身。進戯団 夢命クラシックスでは制作・キャスティングプロデューサー、女優を務め、さらに声優など幅広く活躍している。本作では主演・姫路を演じる。代表作は進戯団 夢命クラシックス×07th Expansion『ROSE GUNS DAYS』シリーズ。

インタビュー写真

クラシックスでは異質な作品になると思います

――― 真夏のクラシックス公演は珍しいとのこと、この時期にやろうと思ったきっかけは?

伊藤「夏場にみんなで公演をすることはスケジュール的に難しくなっていた所、ちょうどみんなのタイミングが合い、折角なのでクラシックスで本公演をすることになりました。
 そして以前から期間が長い公演をやってみたいと思っていたんです。ふだんは数日で終わってしまう公演が多く、劇場も長く取れる所も少なくて、チームがノッてきたなって思った時に公演が終ってしまうのはとてももったいない。長く公演ができる機会を設けたくて、色んな歯車が噛み合ってやることになりました」

――― 完全新作、ホラーなイメージを受けましたが、どんな作品なのでしょうか?

伊藤「ふだんクラシックスは活劇と呼ばれるアクションがあり、照明も派手に音楽もバンバンかかるような作品をやっていますが、白塗りのピエロがいる昔よくあったサーカス小屋、テント一つでやってくる見世物小屋のような。そういう独創的な世界観が好きなんです。
 そもそも僕が演劇の世界に触れた時に一番初めに学んだのがアングラだったんです。僕にとっては原点に立ち返るタイミング、演劇ってこういうことだったんだ、もっと自分を磨かなきゃと思っていたあの頃の感覚を思い出しながら一つ作品を作ってみたいなと。クラシックスでは異質な作品になると思います」

――― ではいつものアクション多め、スピード感がある作品ではないと?

伊藤「エンターテイメント性はあると思います。今回歌劇を作りたくて、でも歌劇だからといって必ずしも歌う訳ではなく、音楽が鳴ってそこにセリフが乗る。サーカスもそうですが、1曲の中に色んなドラマがあって気が付くと演目が終わっている、1曲の中でも色んな展開があっていろんな人間がひしめき合い一つの作品が出来上がる。大きな作品の中に小さな作品がいっぱいあるみたいな、そういうものが歌劇ではないかと思っていて、アクションは少ないかもしれませんが、体表現と奇抜な見た目、音楽と照明も面白いことに挑戦したいなと思っています。原点回帰をしつつ新しいことをバンバン取り入れ、自分が今までやりたくてもやれなかったことを目一杯入れ込んだ舞台にできたらと思っています」


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クラシックス初のアングラな世界観を是非体感してもらいたい

――― どんなお話になるのでしょうか?

伊藤「姫路という女性が道に迷ってしまい森の中をさまよっていると明かりを見つけ、ある洋館のホテルに辿り着きます。そのホテルにいる従業員は奇妙で奇抜でへんてこ。何かがおかしい、でもそれは自分の目線がおかしいのか、奇妙な従業員からすれば姫路の方がおかしいのか。迷い込んだ段階で現実と空想の狭間でどっちが本当なのか分からなくなってしまう、ということをメインテーマに描きます。
ホテル名は「コギト・エルゴ・スム」。心理学デカルトの定義なんですが、“我思う、ゆえに我あり”と訳されます。20年くらい前にこの言葉が好きな友人の影響で僕も感化されました。
自分が今見えている世界はもしかしたら全部嘘かもしれない、もしかしたら僕は狂っていて、この世界は嘘かもしれない、でもそう思っている自分は存在する。本当の現実は誰にも分からない。
その曖昧な世界そのものがホテルになっていて、ひとたび迷い込んだら何が現実で何を信じたらいいかわからない、そういう従業員とのやり取りをしながら姫路が自分を探して行くお話になります。クラシックス版ダーク・アリス・イン・ワンダーランドでしょうか」

――― ホテル「コギト・エルゴ・スム」で働く怪物たちは奇妙だが色鮮やで美しくもある。死人のドアマンに人形師のコンシェルジュ。眩しいビジュアルにワクワクが止まらない。

伊藤「私は人造人間・フランケンシュタインの支配人を演じます。ちょっと言っていることがおかしい支配人です」

かおり「魔女で経理のアルカサルを演じます。支配人とは夫婦で息子がドアマン、娘が受付嬢をやっています。実は家族経営のホテルです。アルカサルは常に唄を読むポエマーで絵画の魔女です。
私は劇団で衣裳も担当して11年になりますが、初めてデザインから関わらせてもらいました。アルカサルは魔女なので帽子とドレスは必須。 実は魔女が大好きで一番最初に取り組み色々な想いを込めました。衣装も含めて注目してもらえたら嬉しいです」

伊藤「もう気付いている人もいると思いますが、役名は全部お城の名前なんです。他の役名も探してみてください」

舞原「私が演じる姫路はひとりだけ人間でホテルに迷い込みますが、迷い込んだことに理由がある、そんな役どころです。実は劇団員が主演をやる公演は何年もなかったことで責任重大ですが、劇団メンバーが中心でやる公演は最近珍しいので劇団ファンの方は楽しんでもらえると思います。
大きなテーマがあるのですが、それに姫路が関わっていまして、それをしょってこの物語をめぐっていくので、お客さまもそのテーマが何か探しながら観てもらえたら。お客さま視点で動くキャラクターなので一緒にびっくりして貰いたいですね」

伊藤「白塗りをして役によっては顔が隠れていたり、奇妙な人物たちが大量に出てくる作品を作ることは始めてです。まずはビジュアルで世界観を魅せることをやりたかったので衣裳は見どころになると思います。 音楽にもこだわっていて、クラシックス初のアングラな世界観を是非体感してもらいたいです」

舞原「会場の入り口からそうで、劇場が洞窟みたいな作りになっていまして、お客さまもきっと迷い込んだ感じを味わってもらえるんじゃないかな」

伊藤「クラシックスのお客様は、僕の書く言葉の裏やシーンの裏をよく考えてくださるんです。今回もそういった意味ではちゃんと深読みできるように終わった後も退屈させない仕掛けはいっぱい作ります。姫路が迷い込んできてから、どの順番で誰と出会って、どういう会話をして至るのか、実は計算がされています。一度観ただけではちょっとわからないかもしれません。もしリピートしていただけるのであれば、言葉の裏とか順序に着目してください。実は順序が大事です」

――― まるでアトラクションを楽しむような作品になりそうですね!

伊藤「謎解きではありませんが、深読みしてたどり着ける人がいたら嬉しいです」


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白塗りで個性を消して一つの作品として提示するやり方は、クラシックスにとって新しい試み

――― 衣裳デザインや製作、こだわりについて教えてください。

かおり「衣裳はイメージだけ伝えてもらって調べてデザインしました。実は色にこだわっていて、最初お城を検索したら姫路城に桜が咲いている画像が出てきて、他は海外のお城なので桜は咲いていないんですよ。 姫路に薄いピンクは絶対使いたくて、他のキャラクターには使わないようにこだわりました。マサミさんの役について最初のイメージは黒でしたがお城を見たら白くて、真っ黒にせずシルバーや白を入れました。紫禁は中国の紫禁城から来ているので中国の皇帝を意識したり、キョンシーには怖い中にも可愛さを含めたり、自分の中のイメージとお城のイメージを合わせてデザインし色を配置しました」

――― 撮影では皆さんのテンションが上がったのでは?

かおり「撮影はみんな白塗りで戸惑っていましたね(笑)」

舞原「今回ビジュアルにはとてもこだわって、いつもと違う雰囲気のスタジオでイメージを決めて撮影しました。写真だけで作品になるような、写真集ができるくらいのクオリティにこだわりましたね、パンフレットも楽しみにしていてほしいです」

伊藤「白塗りで個性をあえて消して一つの作品として提示するやり方は、クラシックスにとっては新しい試みですね」

かおり「今回はたくさんの挑戦があります」

伊藤「空間使いも是非楽しみにしていてください、としか言えないくらいただの舞台セットではないです!」

舞原「お客様も座る位置が違うだけで楽しみ方も変わると思います」

伊藤「入った瞬間から楽しめる仕掛けをしてお待ちしております」

かおり「15周年を前に今まで培ってきたものを全て出す空間になると思っています。懐かしい部分もありつつ新しいクラシックスも魅せていきたいです。DVDにはならないので、是非劇場へ来て姫路と一緒に冒険してもらえたら」

舞原「15周年にむけての前年祭、お祭り騒ぎの公演をやりたいと思っています。今までのお客様も初めてクラシックスに触れるお客様もビックリしてもらえるような作品になるように全員で頑張って行きます。ぜひ観にいらしてください」

伊藤「演劇は生で体感するものだと思います。僕の原点も演劇を生で観たことなので、そこで体感したものが今形になっているのかな。これから10年20年と残していけるようなアトラクションを作っていきたいですね。是非この世界を体感しに来てください。お待ちしております」


(取材・文&撮影:谷中理音)

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