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JILL(PERSONZ)

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結成30周年のPERSONZ、24年ぶりに日本武道館へ堂々の凱旋

4人とも今が一番いい状態。その姿を目と耳と体で感じてほしい

名曲「DEAR FRIENDS」などで知られ、昨年バンド結成30周年を迎えたPERSONZが、日本武道館のステージに帰ってくる。いわゆるバンドブームが全国を席巻した90年と91年にライブを行って以来、実に24年ぶりとなる夢の舞台だ。いくつもの同世代のバンドが解散・活動休止したり再結成したりする中、歩みを止めず常に走り続けてきたPERSONZ。5年ぶりとなるオリジナルアルバムの発売もアナウンスされ、新たな活動の波に乗りつつあるバンドの「今」を、ボーカル・JILLに聞いた。

PROFILE

JILL(ジル)のプロフィール画像

● JILL(ジル)
東京都出身。1984年に本田毅(ギター)、渡邉貢(ベース)、藤田勉(ドラム)と共にPERSONZを結成し、1987年にメジャーデビュー。1989年のシングル「DEAR FRIENDS」がドラマ『ママハハ・ブギ』の主題歌となり大ヒット。2011年に、結成30周年に向けて日本武道館ライブを目標に掲げたプロジェクトをスタートし、2013年には24年ぶりの渋谷公会堂ライブを成功させる。6月3日に通算20作目となるアルバム『夢の凱旋-TRIUMPH OF DREAM-』をリリース。

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 ――― きっかけは2011年7月のこと。東日本大震災の影響による振り替え公演を含むツアーの最終日に、JILLはステージで突然「30周年になったら、もう一度武道館でライブをやります!」と宣言。災害でうつむいてしまった心を未来に向ける大きなインパクトをファンに届けた。

「最終日の前日に、あるスタッフが、3年後に30周年ですねってポロッと言ったんです。武道館なんてどうですか?って笑いながら言われて、そんなバカな!って思ったんですけど、それから一夜明けて、気持ちのどこかにそれがあったんでしょうね。アンコールのMCで、つい言ってしまった。誰とも何の相談もしていなかったので大騒ぎになってしまいましたけど(笑)」

 ――― 国内外のビッグアーティストが、これまで数多くの伝説的なライブを行ってきた武道館は、ミュージシャンにとってもファンにとっても特別な“聖地”である。

「私自身、17歳でロックに出会って、初めてエアロスミスやKISSを観たのが武道館。それからずいぶん時代は変わりましたけど、私たちの世代から脈々とあるバンドの中でのステイタスはずっと変わっていないと思います。武道館の何がいいかというと、客席の一番上からでも臨場感が味わえること。そして、ライブをやっている方もすごく気持ちいい。どこを見ても“オオーーーッ!!”っていう感じで、独特の雰囲気がある場所なんです」

 ――― 90年代半ば以降は、主な活動の場をライブハウスに移したPERSONZ。その場にいる全員がライブの熱気をダイレクトに感じられるシチュエーションは、バンド活動の原点と言ってもいい。そこから再び武道館を目指す意味とは。

「もともと私たちはライブハウス出身で、そこに戻ること自体は何とも思っていません。でも、コンサートホールでのライブを経験して、武道館も2回やって、ああいう形のパフォーマンスをもっと発展させていけたとも思うんです。ライブハウスってどうしても見切れてしまうものだし、私たちの曲はすべてがビートの強いパンクな曲ばかりではないので、もう少し広いところでの見せ方や表現ができるという意味でも、武道館をもう一度やりたいという気持ちはありました。もちろん、24年ぶりにやるというのは並々ならぬことで、これが武道館ライブの最長ブランクだと聞いてびっくりしましたけどね。果たしてこれはセールスポイントなのか?って(笑)」

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 ――― さらに、武道館ライブという目標を掲げることがバンドを後押しした面もあるという。

「30年間、いいときもあれば悪いときもあって、ほとんどライブの告知もできないような状況でやっていた時期もありました。途中、本田君(ギターの本田毅。1992年に脱退し、2002年に復帰)がいない時期もあったことで一度バランスが崩れて、でも帰ってきたからといってすぐに4人のバランスが揃うというわけでもなく、また結び付いていくにはやっぱり時間がかかった。それが一番ちょうどいいときに武道館という目標ができて、それまではまだみんながなんとなく違う方向を向いてる感じだったのが、今はまた阿吽の呼吸でできるところまで近しい存在になっている。それはマジックのように感じますね」

 ――― そんな追い風の中で、満を持して制作したニューアルバムも完成。タイトルは『夢の凱旋 -TRIUMPH OF DREAM-』。「DEAR FRIENDS」のアコースティックバージョンと11曲の新曲が収められ、武道館公演に先がけて発売される。

「ファーストアルバムからかなりの年月やってもらっていたエンジニアの方ともう一度組んで、ちょっと時間を遡るような楽しさの中で作りました。とても良い仕上がりになっていると思います。その中でも一番やりたかったのは……昨年20ヶ所回ったツアーで、皆さんにとって「DEAR FRIENDS」は本当に大きな曲だと改めて思ったんですけど、その「DEAR FRIENDS」をライブでやるときは、“これで終わっちゃうの?”というくらい時間が短く感じるんです。歌詞も短いし、サビもああいう感じだし。でも、あの曲の背景にはもっと、ものすごくいろんなものがある。それを、「DEAR FRIENDS」と一緒に聴けばわかってもらえるような曲をもう1つ作りたかった。今だからこそ作れたその曲が、アルバムの柱になっています」

 ――― 「30周年にふさわしい重厚感と、デビューしたてのバンドのような疾走感」があるという新しいアルバムと共に迎える武道館公演。それはまさしく“夢の凱旋”そのものだ。

「昨年のツアーの最終日に、武道館ライブが決まったと報告したときは、お客様のコールが止みませんでした。みんな泣いてらっしゃるし。そんなふうにPERSONZの音楽を好きで支えてくれている方の力で、私たちは今ここまで来れている。バンドブームの頃から長い年月を隔てて、今回、久しぶりにPERSONZを観に来た方はきっとびっくりすると思うんです。バンドが全然退化していないどころか、進化しているから。4人とも、若くて肩肘張っていたときよりも今が一番いい状態なんじゃないかなと思うし、これならもっと観ておけばよかったって感じてもらえるようなライブになると思います。30周年のお祝いの締めくくりに、ありとあらゆる人に来ていただいて、2015年のPERSONZは今こんなことをしてるんだというのを自分の目と耳と体で感じていただけたら嬉しいです」

(取材・文・写真:西本 勲)

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