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TVや映画等幅広い分野で活躍中の福田雄一が学生時代に旗揚げし座長(脚・演出)を務める劇団ブラボーカンパニー。その最新作『天晴パラダイス青信号〜ベルリンより愛をこめて』の上演が決定した。本シリーズはテレビドラマ『勇者ヨシヒコ』の原案となった冒険シリーズ。現在アラフォーのメンバーたちが身体を張り、タイムリーな時事ネタを盛り込んだ作品で記憶にしか残せない、そこでしか味わえない作風は病みつきになるとファンを増やし続けている。その作品が生み出される場所はまさに部室! 秘密の稽古場で行われた作戦会議に参加、ゆるーく意気込みを語ってくれた。
● 佐藤正和(さとう・まさかず)
1970年7月7日生まれ、福岡県出身。成城大学演劇部で現・ブラボーカンパニーの旗揚げから参加。福田雄一作演出のTVドラマ・映画・舞台へ多数出演。近年の出演作に映画『ラーメン食いてぇ!』、ドキュメンタリードラマ『蘇る太陽の塔 閉塞する日本人へのメッセージ 』などがある。劇団ゴツプロ!にも参加。
● 山本泰弘(やまもと・やすひろ)
1971年1月5日生まれ、神奈川県出身。文学座付属演劇研究所卒。佐藤、太田と共に現・ブラボーカンパニーの旗揚げから参加。福田雄一作演出のTVドラマ・映画・舞台へ多数出演。近年の出演作に映画『ラーメン食いてぇ!』、舞台『スマートモテリーマン講座』などがある。
● 太田恭輔(おおた・きょうすけ)
1971年1月10日生まれ、愛知県出身。佐藤、山本と共に、佐藤、太田と共に現・ブラボーカンパニーの旗揚げから参加。近年の出演作に、Eテレ『ふしぎがいっぱい』(小学6年理科)モジャくんレギュラー出演中、舞台『スマートモテリーマン講座』などがある。
● 金子伸哉(かねこ・しんや)
1973年1月12日生まれ、千葉県出身。東京ヴォードビルショー養成所第5期闘魂塾卒。
TVドラマ・映画・舞台ほか幅広く出演。代表作に、テレビ東京『勇者ヨシヒコ』シリーズ、舞台『スマートモテリーマン講座』などがある。
● 鎌倉太郎(かまくら・たろう)
1973年3月3日生まれ、高知県出身。大学在学中からブラボーカンパニーに参加、並行して仲代達矢主宰の無名塾にも所属し、多数の舞台・映画などで活躍中。近年の作品に、映画『斉木楠雄のΨ難』、舞台『肝っ玉おっ母と子供たち』などがある。
● 野村啓介(のむら・けいすけ)
1975年2月15日生まれ、茨城県出身。TVドラマ・映画・舞台ほか幅広く出演。ブラボーカンパニーでは宣伝などで活動を支えている。近年の出演作に、映画『銀魂』、『新宿スワン』や、演劇チーム渋谷ハチ公前『慣れの果て』などがある。
● 保坂 聡(ほさか・さとし)
1981年9月26日生まれ、東京都出身。ブラボーカンパニー最年少メンバー。TVや舞台で活動中、代表作に舞台『スマートモテリーマン講座』、テレビ東京『勇者ヨシヒコ』シリーズ、演劇ユニット「ロデオ座ヘヴン」作品などがある。
1年あけずに新作上演、これはファンには嬉しい展開
――― 前作からの手応えや感触はいかがですか?
佐藤「前回はちょうど『勇者ヨシヒコ』の後だったんですよね。それで僕らのことや福田さんのことを知ったお客様がすごく増えて、600人ぐらいだったTwitterのフォロワーが5000人以上になって状況が変わりました。そして昨年の秋に安田顕さん主演舞台『スマートモテリーマン講座』を全国でやってきた後なのでお客様がまた増えて」
山本「本当に嬉しいですよね」
金子「モテリーマンの地方公演でマメにチラシ配りをして、手応えのあるチラシ配りでした(笑)」
山本「みんな『行きます!』って声をかけてくれて」
保坂「受け取った全員が来てくれればいっぱいになる(笑)」
野村「出演者がロビーでチラシを配って、劇場でそんなことする人はあまりいないよね」
金子「一度だけ座長の福田さん自ら加わって配布しました」
山本「みんな来てくれると信じています!」
――― 先日タイトルが『天晴パラダイス青信号〜ベルリンより愛をこめて』と発表になりました。
佐藤「この『天晴パラダイス青信号』は学生の時からやっている冒険もののシリーズなのですが、副題は『007』からいつもオマージュしていまして、でも今回なかなか決まらなかったよね」
野村「俺はいつ言われていいようにスマホのメモにタイトルを全部入れて準備していました」
佐藤「色々な締め切りはもう過ぎていて、少し前まで『タイトル未決定』になっていました。昔『タイトル未定』で出したことがあって、そうしたら『タイトル未定』というタイトルの作品になっちゃった事があったから、タイトル未定で書くとちょっとややこしくて」
山本「再演になっちゃうからね」
野村「今回大阪に行くにあたって初めてのお客さんも多いもんね!」
山本「劇団28周年にして初の大阪公演! モテリーマンの大阪公演でもチラシを配った時はとてもお客様の反応が良かったんです。僕はずっとその熱量を信じてます!」
金子「僕も信じています。チラシを受け取った人が来るということを!」
野村「モテリーマンに来ていた人たちがブラボーに来て欲しいですね」
山本「大阪の楽日の時に舞台上から挨拶をさせてもらったんですよ。 シアタードラマシティだったので800人がすごく拍手をしてくれて、その人たちが全員来てくれれば完売です。これはもう大阪は安心だなと大船に乗った気持ち」
野村「安心な訳ないでしょ。安田顕さんは一緒じゃないですからね」
全員「まぁね……」
太田「誰か名前を“安田顕”に変えればいいんじゃない?」
金子「じゃ今回だけ」
佐藤「いやいや、自力で頑張ろうよ」(全員笑)
福田さんが外でやられている作品は制限があるはず。だから唯一制限がないのはここだけ
――― 家族の様に長い時間を過ごしてきた彼ら、福田氏の存在をどう思っているか改めて聞いてみた。みなさんにとって福田さんは父親的な存在ですか?
太田「歳の離れた長男?」
山本「僕はいとこの面白い兄ちゃんな感じ?」
佐藤「考えたことなかったな」
山本「基本、福田さんのいう事は絶対なので、そういった意味では昭和の親父みたいなところはあるかも」
野村「そうだね、大黒柱だよね」
佐藤「作・演出・座長だからね。学生の時は演劇部だったので、夏休みと冬休みでも長く休むことはなくてほぼ毎日何か稽古をしていたんですよ」
鎌倉「作品でいえば年に6本くらいかな」
佐藤「一緒にいる時間はものすごく長かったよね。福田さんが卒業してからは時間が少なくなりましたが、作家になるための何年間かは僕と山本とかはここに住んでいましたからね。あの時もしょっちゅう一緒にいたよね。でも最近は忙しくなってきてなかなか会えない時間も増えて、関係性は少し変わってきたのかな」
――― そうなるとみなさんのもこのカンパニーは実家のようなイメージですか?
山本「ああ、そうあって欲しい」
佐藤「僕はこの場所もそうですけど部室ですね。演劇部がずっと続いているような気がします。ほぼメンバーを変えずにずっとやってきていて、この汚さも含めこの場所が落ち着く場所」
金子「ちなみにあそこ(学校によくある学習机)が福田さんの席です。今は汚いけど(笑)あの机が一番高級。福田さんが来る時はあの机の上をきれいにするんです。僕はそうですね、家が近いので別室みたいな感じはありますね」
――― テレビも冷蔵庫もあって本当に住めますね。
山本「僕は住んでいましたから。屋上にシャワーの小屋を作って…」
ポーポーポーポー……(突然鳩が鳴き出す)
佐藤「鳩が換気扇に住んでいましてね(笑)」
鎌倉「ここ20年くらい何代も住んでて」
佐藤「大家さんに怒られたよね……あ、野村くんは」
野村「僕は仕事場ですね。近くに住まない様にしています」
太田「アーバンライフが好きなんです(笑)」
佐藤「田舎者だから都会に住みたがるんですよ」
野村「急行が止まる駅に住みたい(笑)」
鎌倉「僕は自分の家かな。でも福田さんに敬意を払っているのか、あの椅子(演出席)は座らないようにしています。何があってもあそこに座るのは福田さんというのが僕の中にはあって。PC作業の人は座るみたいだけど」
佐藤「一時ゲームだけしに来てたよね」
鎌倉「そうそう、家にゲームがあるとゲームをしてしまうのでここにゲームを置いて家でやらないようにしていたらここに来るようになってしまい居ついちゃった。まずい場所です(笑)」
山本「僕も家ですよ! 5年くらい住んでいましたから。この事務所を借りる時、部屋は人が住まないとダメになるから住んだら?と福田さんに言われて。落ち着く家ですね、ここに関しては一番把握しています」(全員笑)
太田「……なんだろう、もともとは稽古をする所ですから実験場ですかね」
保坂「なんかいい感じにしてる」
金子「はじめはダンスレッスンにも使ってましたよね、でも下からクレームが来て」
佐藤「クレームと言えば、水道事件があったよね、開けっ放しにして…」
山本「水道工事で水が出なくて、流しにお皿とかいっぱいのまま出かけたらその間に水が開通して溢れてしまい、下の階の雀荘まで水が行って電化製品などもダメにしてしまい、大事になりました。それ以来は水道に気を付けてます(苦笑)」
保坂「僕はたまり場ですね、ここに来れば誰かがいる。もともと僕は鎌倉さんの友達で鎌倉さんと2人で夜通しゲームをしていましたね(笑)」
“裏福田”みたいな感覚で、ぜひお試しにいらしてください
――― 貴重な昔のお話を頂いたところで、公演に向けて意気込みをお願いします。
佐藤「いかに振り切れるのか、というところが僕らのアイデンティティだと思っているので、それが受け入れられないとしても振り切ったものをできればいいなと、それをお見せしたいなと思います」
保坂「今回は貪欲にやりたいですね。今までいろいろ人に気を使っていましたが、それを取っ払ってわがままにやりたいなと。僕の公演だと思って挑みます」
太田「お芝居を見終わった後に、今年も良い一年だったなと思ってもらえるように、そんなお芝居にしたいと思っています」
佐藤「まだ春ですけど」
太田「秋以降は来年も良い年にしたいなと思うお芝居を…」
保坂「もう今年が終わってるよ(笑)」
山本「悔いのないようにやりたいです。お客さんが観て良かったなと思えるように、一緒に来たお友達と帰り道で会話が盛り上がるような作品にできたら」
鎌倉「声をからさないように頑張ります。去年の公演で本当に困ったんです。打ち上げの時に福田さんからダメ出しが…。今回は喉を一番気にして挑みます」
山本「この作品は冒険ものなので、主人公のセリフ量が一番多いんですよ」
鎌倉「主人公になるとフルボリュームの音楽の中で全員のツッコミを全力でしなくてはいけなかったのでね」
佐藤「『天晴パラダイス青信号』シリーズは主役をやらないと楽しいんですよ。もともとこのシリーズは山本が主役で俺が敵役、他がガヤという図式があって、ガヤが一番やっていて楽しいんです」
野村「福田さんが他でやっている舞台にちょっとでもいいから勝ってみたいなと。この部分は勝ったと思える作品にしたいですね」
金子「このシリーズは非常に自由度の高い演目なので、スベることを恐れずに思いついたことをやるということですね。常にスベることを恐れずに。そういう精神でやっていければ」
佐藤「本番には演出家がいなくなるじゃないですか。そうなるとアドリブが花開きましてですね、収拾がつかなくてひどかったですね」
金子「初日と千秋楽では15分くらい上演時間が違ったんですよ」
佐藤「そこをねぇ誰が手綱を握るんだ、と」
野村「誰かが握ろうとしても、お前には握らせないよという人しかいないから」
――― 今回大阪へ行きますが、お客さまは東京とは違う反応が返ってくると思います。
佐藤「僕らには探れないので、もう一生懸命やるしかないです」
鎌倉「唯一お客様が手綱を締めてくれるかもしれないですね」
――― 役柄によってみなさんのパワーや見せ所が変わるので早く役どころを知りたいです。ちなみにどなたが福田さんと進行をしていくのですか?
佐藤「最近はグループ LINEがあるから一対一でというのはなくて」
野村「わりとびっくりするタイミングで『本番いつだっけ?』っていうLINEが来る時がありますね」
佐藤「よくあることです。でもそれでやってきているのでいいんですよ。もちろん本当は色々早い方がいいんです、でもそれでコケたことがないので」(全員笑)
野村「それでも乗り越えられるのはこのメンバーでやっているからだよね」
太田「だからうちはあまり客演の方を呼べないんです」
野村「本番直前になると、深夜までセリフを合わせと小道具作りと神頼みと」(全員笑)
佐藤「僕らはめったに飲みに行きませんが、前作で景気づけに焼肉を食べに行ったね」
野村「長年やって来なかったから新鮮だったよね」
佐藤「今回も深大寺にはもちろんお参りに行って、焼肉行きますか」
――― では最後にメッセージをお願いします。
山本「福田作品を他で見てもらっている皆さんがこのカンパニーに来てくれたら嬉しいですね、そこで比べてもらえれば」
鎌倉「“裏福田”みたいな感覚で、ぜひお試しにいらしてください」
佐藤「今回初めて大阪に行きます。このカンパニーにとってはすごいことですが、その実感がまだ僕らにないんですよ。これから色々な事を進めるにあたって大阪に行ける劇団になったということを実感していくと思います。もっと興奮してくると思うし、その勢いが今回の公演に反映すればいいなと。皆さんはそれを楽しんでくれたらいいなと思います、お楽しみにしていてください」
(取材・文&撮影:谷中理音)