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T1project

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T1project最新作はミュージカルに決定!

マイクを使わない生声演出で“力強さ”と“感動を

 数々の人気ドラマや有名舞台作品の脚本・演出を手掛けてきた友澤晃一が主宰するT1project。ミュージカル第2弾となる最新作は、 “様々な形の愛”をテーマに生歌が持つ力強さと感動を届ける。
 物語はあるミュージカルの公演初日。大女優・真行寺レイナ(松岡美桔)の付き人・春野未来(木村涼香)はいつか自分もステージに立つことを夢見ていた。そんな時、偶然にも小学校の同級生・三上蓮(吉村新一)と再会。しかし楽屋ではレイナが降板すると騒ぎに。ざわつくバックステージ。果たして舞台の幕は無事に上がるのか? 未来と蓮の心の距離は?

PROFILE

木村涼香(きむら・すずか)のプロフィール画像

● 木村涼香(きむら・すずか)
1997年7月10日生まれ、東京都出身。18歳まで新体操選手として国体の優勝経験も持つ。「小学館ミスビジュアル ウェブ S」初代グランプリ。映画「カーラヌン」 (主演 GACKT)のヒロインに700人の中から選ばれるなど、女優やモデルほか幅広く活躍中。

吉村新一(よしむら・しんいち)のプロフィール画像

● 吉村新一(よしむら・しんいち)
1997年10月28日生まれ、埼玉県出身。舞台やテレビなどで活躍し始めた新人。主な出演作に、連続ドラマ『こえ恋』、『出没!アド街ック天国 三鷹編』、舞台『缶詰工場の秘密』などがある。

児玉奈々子(こだま・ななこ)のプロフィール画像

● 児玉奈々子(こだま・ななこ)
1971年7月7日生まれ、千葉県出身。有名ミュージカル作品ほか舞台を中心に活動中。代表作にミュージカル『レ・ミゼラブル』(オリジナル版、新演出版共)、『喝采』、『MAMA Loves MAMBO』シリーズなどがある。

松岡美桔(まつおか・みき)のプロフィール画像

● 松岡美桔(まつおか・みき)
9月29日生まれ、兵庫県出身。1989年、劇団「音楽座」入団、1996年に劇団解散後も舞台を中心に幅広く活躍中。主な出演作に、ミュージカル『レ・ミゼラブル』、『Annie』、『トゥーラン・ドット』、ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』など。

松本俊行(まつもと・としゆき)のプロフィール画像

● 松本俊行(まつもと・としゆき)
1965年4月3日生まれ、千葉県出身。作・編曲家・キーボーディスト。ミュージカル、ダンス、ストレートプレイなど舞台公演の音楽を数多く手がける。主な舞台作品に『ドラマティック古事記〜 神々の愛物語』、ミュージカル『コードギアス〜反逆のルルーシュ 魔人に捧げる プレリュード 』、DIAMOND☆DOGS『マスカレード』など。またNHK ETV音楽番組等に楽曲やアレンジを多数提供。昭和歌謡曲とプログレを融合させたユニット「千のアカシ」メンバーとしても活動中。

友澤晃一(ともざわ・こういち)のプロフィール画像

● 友澤晃一(ともざわ・こういち)
1961年4月19日生まれ、東京都出身。脚本家、演出家、演技講師。T1project主宰。ミュージカルの脚本・演出からストレートプレイ、ドラマまで幅広く手がける。代表作にT2projectミュージカル『LETTER』『BROKEN HEART』、『サタデーナイトフィーバー』、Dream主演『ID』、『缶詰工場の秘密』『ダイニングトーク』、ドラマ『長い長い殺人』、『浅見光彦〜最終章』、『アリよさらば』、『将太の寿司』など多数。著書に独自の演技論を展開した『演技核心論』、『演じる心、見抜く目』がある。

● T1project
人間を表現できる俳優、究めることができる脚本家・演出家を輩出するために生まれたエンターテイメント・クリエイト・カンパニー。多くの俳優が所属し、年に数回舞台を製作。新人俳優の発掘、脚本・演出家の育成を行う。現在、300名ほどのメンバーが関わっている。

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稽古場でのリアルな感動をお客さんに届けられたら

――― 友澤さんと松本さん2人のタッグによる新作ミュージカル作品、しかもマイクを使わない演出は、前作のミュージカル『素敵な世界』があったからこそ生まれた作品ですか?

友澤「そうですね、彼は非常に物語性の強い音楽をしっかりと作ってくれるので、T1にはぴったりだなと。松本さんとはずっと一緒にやっていきたいと思っています。マイクに関しては、稽古場で生の歌を聴いていて“いいなぁ”と思っていても、劇場に入ってスピーカーを通すと、その良さのすべてを届けることができなくなってしまうことが多いんですね。この感動をどうやって伝えたらいいんだろう……稽古場でのリアルな感動をお客さんに届けられたら……という想いがきっかけです」

松本「僕はマイクを使う現場が多いので、それほど気にしていませんでしたが、やはり生の声の方が説得力があるのは確かです。本番ではオケを流して、そこに生歌を乗せます。心配な事もありますが楽しみですね」

友澤「目の前で歌うわけですから、臨場感という部分でより小劇場っぽいよね」

松本「そうですね。かなりチャレンジですが、歌える人が集まっているので期待しています」

友澤「日本のミュージカルは、歌は歌、お芝居はお芝居というスタイルが多い。物語の流れの中でセリフを伝えるように自然に歌えるのが一番いいなとずっと思っていたので、そこに挑戦したいですね」

――― そしてとてもインパクトがあるタイトルです。

友澤「僕は基本的に何も考えずに物語を書き始めます。気分の良い日にピアノを弾くように、僕は即興で台本を書いていきます。そんな執筆作業の中で、今回は殺し屋が出てきて、どうしよう……?と悩んだと同時に、殺し屋って普通歌わないよなーって思って(笑)じゃ、殺し屋が歌っていたらどうなんだろう……と思いながら、そこから物語を膨らませていきました」


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楽譜でもらっていたものが歌うことで形になっていく過程を見て、すごく楽しみになりました

――― 木村さんは今回で舞台2作目、初の主演となります。演じる“春野未来”は大女優の付き人役とのことですが。
 
木村「去年のミュージカル『素敵な世界』で初めて舞台に立たせて頂いてから2本目の舞台なので不安しかなくて、最初はどうしたらいいんだろう……という気持ちでした。でも稽古が始まり、楽譜でもらっていたものが実際に皆さんの歌になっていく過程を見て、とても楽しみになりました。今はポジティブに頑張りたいと思っています」

友澤「涼香の歌は声がとても綺麗で、技術的にも、前作に出てからこの一年でだいぶ上達してきたと思います」

松本「声質は圧倒的に魅力的だと思います。歌の技量はまだまだ研鑽中ですけれど、ぐっと伸びてきています」

友澤「前作の『素敵な世界』を観た方が、彼女の声を聴いているのは気持ちいいと言うんです。この意見がとても多かったので、彼女には歌が合うかな、と漠然と思っていました」

松本「うん、声質は大事ですよね。そればかりは天性のものだから、そこから技術が上がってくれば無敵!」

木村「初めて聞きました! 頑張ります! 私が演じる春野未来は、劇中で気持ちが落ちているシーンでも、絶対にどこか前向きな部分があると思っているので、愛情を忘れずに前向きに演じていきたいと思います」


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――― 吉村さん演じる三上蓮役は、久しぶりに再会する未来の同級生。クールで何かを背負った雰囲気のある役どころだそうですね。

吉村「僕とは全く違う方向性で生きてきた役。彼を演じる上で、これからももっと作り込んで行かなければいけないと思っています。実は最初に自分で作っていった役作りは思いっきりダメ出しをくらいまして(苦笑)。修正を加えて良い作品になるように努力していくつもりです」

友澤「この役はオーディションをしましたが、役のイメージに合う人がいなくて、だったらウチに、ガテン系のCMに出ないかと名指しされたぐらいピッタリな男が一人いるなと。ちょうど2人とも二十歳なので、良いバランスになりました」

松本「でも、彼はガテン系に見えて実は元聖歌隊!」

――― 声がとても素敵ですよね!

吉村「ありがとうございます。僕は役柄的に歌わない可能性があるようなんですが、歌えるシーンがあったら嬉しいです。この役に真摯に向き合っていきます」

松本「台本を読んでいると確かに難しい役かもしれない、挑戦だね」

――― 児玉さんは数々の大作ミュージカルに出演されていますが、T1projectには初参加ですよね。役どころは劇場のおそうじ係で、キーマンらしいキャラクターだと伺いました。

児玉「どこか悟った様なところがある役です。みんながワチャワチャしているのに一人だけ実は全部わかっているわよ……みたいな。当たり前のことを当たり前にやっている、自然に生きている人物を演じます」

友澤「芸能界って嫌な部分もあるじゃないですか、そういう事もすっと流してくれるような人物だったらいいなと思っています」

――― そしてT1project初参加の松岡さんが大女優・レイナ役を演じられます。主人公たちを振りまわす人物ということですが。

松岡「気持ちよく自然に演じられる部分もありますが、とにかく自然体を目指したいですね。お決まりの大女優的にみんなを怒りまくるシーンがあるのですが、友澤さんから『人に嫌われるような怒り方ではなく、愛されるように怒って』と言われまして、それがとても印象的でした。これからどこへ行ってもそうしようと思いました。(全員笑) 最初からとても心打たれましたね。愛に生きます!」

友澤「憎しみを持って誰かに怒ると、お客さんはやはり気持ちが悪いんですよね。でも好きな人に怒っている姿は、愛情を感じるので、そういう人物を創りたいなと。とにかく松岡さんと児玉さんには歌の方でも支えてもらいます」

松本「他にもゲストの方はいらっしゃいますが、やはり層が厚くなりますよね、ちょっと歌うだけで深みが違います」

友澤「とても面白くなりそうだよね。ウチのメンバーは3年ぐらい前から養成していてまだ若いので、ベテランの二人に入ってもらえるとすごくしまって、とても良い刺激になると思います」


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メロディアスで頭に残るように、日本語がちゃんと聞こえてくる楽曲に

――― 松本俊行の音楽は全員で歌う美しいハーモニーが魅力だ。今作は芸能界の物語、どんなジャンルの楽曲が聞けるのだろうか。

松本「はじめはソウル系とかスタイリッシュな方向性で作ったらけっこうNG が来て」(全員笑)

友澤「え! いま反撃!?」

松本「(笑)。台本を読み返して、素朴で力強い方向性に落ち着きましたが、シンプルなコード進行で陳腐でない曲にする所に苦労しましたね。もうひとつ、海外のミュージカル作品には名曲がゴロゴロあるけど、それを日本語詞にすると日本語としては実は結構ギクシャクしてしまう。でも曲がかっこいいから観客はみんなあれが好き。そこがすごく悔しいと思っていて。日本語のイントネーションをなるべく崩さないように、そのせめぎ合いがとても難しいです。いずれにせよ、なるべくメロディアスに持っていって頭に残るように考えていますが、日本語がちゃんと聞こえてくる楽曲にしていきたいですね」

友澤「僕はシンプルで奥が深い作品を目指しているから、そういう注文になってしまうのかもしれない(笑)。そんな作品の中で、演じる俳優さんの良いところが出るようにしたいと、いつも努めています」


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――― では、ソロ曲など見せどころもあるのでしょうか?

松本「あります!」

木村「今、楽曲ができる過程を初めて聞きました。どのナンバーも私にとっては難しい歌ですが、曲としては難しいものではありません。デモテープで聴いているだけで、温かさを感じたり、音以外のものを感じるメロディーが素敵で、ぜんぶ大好きです。ソロで歌う曲は本当に大変ですが、私自身と歌が溶け合っていけたらいいなと思っています」

吉村「皆さんの歌を聴いて影響されすぎないように気をつけていますが、大切なものを吸収して自分の役どころに活かしていけたらとも思っています。一曲強烈な曲がありまして、僕は歌われる側なんですが一生の思い出になりそうです」(全員笑)

児玉「譜面を頂いた時、日本語のイントネーションに合わせて不自然なことをしていないので、とても信頼できて心強い安心感がありました。本読みをした時にまだ楽曲がないので(歌の部分を)セリフで読みますが、その時に友澤さんがこの会話のテンポ感が出せたらいいなって思うんだよね、とその場で松本さんに説明してくれて。実際に役者の演技してる声を現場で聴いて、曲が作られていく。それはとても嬉しくもあり贅沢なことだと思いました。本番まで楽しみです」

松岡「私は自分のソロ曲のデモを聞きましたが、メロディが印象に残るというよりも、歌詞をより伝えられる曲だなあと思いました。長年歌ってきて、歌詞を大事にすることを信念に生きてきました。それを今作で勝負できるのが嬉しいですね」

松本「重要ではない歌はありませんが、松岡さんの曲はとりわけ核になる楽曲で、個人的には今のところ一番気に入っている楽曲です!」

全員「おおおお」

松岡「どうしよう! 楽しみですね! 頑張ります!」

友澤「28歳からドラマの台本は250本ぐらい書いていて、舞台は60本目ぐらいで今57歳になり、大人になりすぎちゃっているから、30歳ぐらいの時の世の中を見る目、人を見る目に戻れないかなと思って、自分を30歳の時の感性に戻して書いてみた作品です。そういうところで愛を捉えているから、テーマも含めて理屈っぽくは書いていないつもりです。昔は技術がなくて、想いとか感覚で脚本を書いていたんですけど、とにかくその頃に戻ってみようと思って書きました。それも今回の挑戦のひとつです」


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お客さまが幸せになれる作品をとにかく作りたいと挑戦しているところ

木村「それぞれの事情とそれぞれの愛の形が、物語の中にあると思いますが、それを言葉とか形で示しているのではなくて、観終わった後に自然と心があったかくなるような、愛ってこういうところが素敵なんだなあとか、そういうことを感じてもらえる作品だと思います。まだ愛について語れるような年齢ではありませんが、それでも感じることはできると思っているので、ぜひ同世代の人にも観ていただきたいと思います」

吉村「友澤さんの作品に3本出演いたしましたが、今回は、今までとは比べ物にならないくらい大きな役を頂きました。僕という人間からも伝えなければいけないことがたくさんある作品なので、取りこぼすことなく自分の役目をしっかり果たして、自分という存在を感じてもらえたらと思っています」

児玉「今回の劇場でミュージカルを上演することはとても挑戦だと思います。この空間だからこその作品になると思うので、それに向かって全力で頑張ります。ぜひ見届けていただけたら嬉しいです」

松岡「この作品はサスペンスなのかコメディか、ラブロマンス、ホームドラマ、バックステージものなど全部の要素が入っています。こんな盛り沢山な感じが『愛』という言葉につながっているんですね。最近私も芝居をより深めたいと勉強中なんです。台本を読み込みすぎず、その場で起きることをその場で感じていきたいなと思っています。何が起きるかまだ自分でもわかりませんが、それが楽しみでもあり、お客様もその場で何が起きるかを楽しみに観ていただけたらと思います」

松本「登場人物はそれぞれ何かを抱えています。色々あっても最終的には頑張っていこう、生きていこうとする力強さみたいなものを感じてもらえたら、また生きていることが素晴らしいとは簡単には言いにくいかもしれませんが、そこに持っていければ……いいんじゃないかなあ」

友澤「作品作りの大前提として、関わったスタッフ・キャスト・ゲストのみんなが幸せになれるものを目指しています。僕はいつもゲストを嫌な気持ちにはさせたくないと思っていて、観終わってから人生っていいな、生きるっていいな、と思ってもらえたら最高だなと考えています。今回は新たなものを書きたいと思ったから、30代の頃に感性を戻しました。演出も今までにない新しいものを常に追い求めているので、今回も挑戦します。ミュージカルの概念を壊したミュージカル、オンリーワンをどう作っていけばいいかと考え、僕にしか創れないものを創りたい、みんなが幸せになれる作品をとにかく創りたい!と挑戦しているところです。ぜひ楽しみにしていてください!」

――― 今回、本カンパニーで最も人気のあるストレートプレイ『シーチキンサンライズ』も同時上演が決定している。T1projectを堪能できる絶好の機会になりそうだ。


(取材・文&撮影:谷中理音)

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