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岩城滉太・成美・鈴木千尋

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15年前のテロ事件で人生を狂わされた男の物語

事件の真実とは!? 止まっていた時間が動き出す

パフォーマンスカンパニー・JADE FORCEの舞台『Salvage〜最期の贈り物〜』は、濃密な空間で重厚なヒューマンドラマを描く。男は“最後の希望”といわれる青年と出会えるのか!? 岩城滉太と鈴木千尋の共演、元AKB48 板野友美の妹・成美の舞台デビューとしても注目が集まる。

PROFILE

岩城滉太(いわき・こうた)のプロフィール画像

● 岩城滉太(いわき・こうた)
1992年9月9日生まれ、静岡県出身。
舞台やCM、TV、モデルなど幅広く活躍中。代表作に『テイルズ オブ』シリーズ主演、舞台『真田十勇士』などがある。

成美(なるみ)のプロフィール画像

● 成美(なるみ)
1995年8月21日生まれ、神奈川県出身。
TV、映画、ドラマやイベントなどで活躍中。近年の作品に、映画『 ピンクとグレー』、TBSドラマ『ナポレオンの村』などがある。

鈴木千尋(すずき・ちひろ)のプロフィール画像

● 鈴木千尋(すずき・ちひろ)
1977年2月17日生まれ、山形県出身。
声優として有名作品での主演作多数。舞台、ドラマや映画、ナレーションほか幅広く活躍中。アニメ『サンリオ男子』レギュラー出演中。

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15年前に起きたテロ事件により、人生を狂わされた男・劉雷生

  劉雷生(川本喬介)は香港にある世界的に有名な京劇の劇場『九龍華劇』で、花形として舞台に立っていたが、“あの日”にかけがえのない人を失い苦しみ続けていた。ところがある日、謎の人物から「最後の瞬間を知っている人物がいる」と告げられる。犠牲となった453人の遺族の止まっていた時間が動き出し……

――― 劉稽古の手応えはいかがですか?

岩城「今まで経験したことがないくらい、全シーンで深い心情表現が要求されるお芝居なので、作り込んでいくのがとても大変で難しく、決して簡単ではないですね。今までの自分の人生を全て思い出して使えるものは全て使って引っ張り出しています。今後の役者人生を支えてくれる役だと思っています」

成美「私は初めての舞台出演になるので、2ヶ月間自分の役と向き合っていける事がとても楽しいです。これから本番までどう役と共に自分も成長していけるか頑張っているところです」

鈴木「重いお話ですが、僕の役は陰と陽で言ったら陽の役。その雰囲気の状態で何を考えているか分からないような、ひょうひょうとした表現を頑張って作りこんでいます。全容がわからない役どころになると思います」

――― 脚本を読んだ印象は?

岩城「ハンマーで殴られたような衝撃でした。いつも台本を一度読んで考えますが、今回は一度読んでまた読んで結局朝まで眠れないくらいの衝撃を受け、体の中から熱いものがこみ上げてくるような感覚がありました」

成美「どのキャラクターもとても魅力的で読んでいて感情移入してしまう台本でした」

鈴木「脚本・演出の高槻さんとは長年の親交がありますので、どんな台本を書かれる方かは知っていたんですね。実は今回の作品の元になった作品があったのでどういうお話かは知っていたんですが、商業での初上演ということで、主演に岩城くんを迎えてSalvageという世界観がより分かりやすく、初めての人が感情移入しやすい、とても素敵な作品になっていると思います」

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――― テロ爆破事件の犯人は未成年だったためにすべての情報が保護されて非公開になった。大人数が犠牲になったにも関わらず、遺族たちは本当の理由が何なのか一切明かされないまま時は流れる。しかし真実を知ったからといって本当に幸せになれるのか? 大切な人を突然奪われた時、人は前に進めない。前に進むことがどれだけ難しいか。どう生きて行けるか? を描いていく。

鈴木「このタイトル“Salvage”は海難救助と訳されますが、色々な意味が込められています」

――― 高槻さんは役について演じる役者にあて書きをするそうですが、役作りとしては入り込みやすかったですか? 発見はありましたか?

岩城「はじめて脚本を読んだ時に、自分はこう見えているんだという驚きがありました。この高天原海樹役は、人間味を前面に出す役ではないんですね。自分の中の今まで閉じていたブラックボックスみたいなものを高槻さんによって開けられて、それを役に投影しているという感じがあります。僕は社会人を経験していますが、自分の心に一つ壁を置いて闘っていました。高槻さんの前では気持ちは裸でいようと。こうしたら悪く思われるんじゃないか、言わない方がいいかなというのも全部取っ払って、本当の自分をブレーキかけずにまっすぐに伝えていく事を大事にしています」

鈴木「岩城くんはもともとダイビングをやっているので、海の中の描写が繊細に出てくるこの作品に、すごくあっていると思います。役名にも海が入っていて、海はキーワードになってきますね」

岩城「先日も撮影でダイビングをしまして、とても深いところに1時間ぐらい潜りながら撮影をして、その中でイメージを掴めるようにしていました。海の中は雑音が聞こえない水の音だけの世界です。僕がダイビングをやっているからこそ取り入れられるものを全面に使って五感を研ぎ澄まして挑んでいます」

成美「岩城さんは初めて稽古をした時から海樹の雰囲気を漂わせていて空気感を感じました。私が演じる菜摘ちゃんは遺族側の妹ですが、日常では明るい女の子なのでその面と、事件で亡くした兄を想い複雑な寂しい面の両方を表現できたらと思っています。彼女の中で兄はとても憧れで、私も姉がいるのでそういうところでは共感しやすいかなと思っています」


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明るいだけが岩城滉太じゃないところをお見せしたい

――― 見どころを教えてください。

鈴木「僕は高槻さんの別の作品からのスピンオフ的なキャラクターです。前の舞台を見てくださった方はあの役だとわかると思います。香港に昔存在した九龍城に詳しい謎の人物を演じます。お楽しみに!」

岩城「僕の代表作『テイルズ オブ ザ ステージ』ではとても明るい役でしたが、今作の海樹は真逆の役。明るいだけが岩城滉太じゃないところを、初めて“陰”の人間的な部分もお見せしたいです」

成美「遺族側の女の子なので観ている人がストーリーに感情移入させられたらいいなと。菜摘ちゃんがお兄ちゃんへの想いを吐き出すシーンがあります。自分の中では熱が入るシーンなので、そこが見所になると思います」

鈴木「成美ちゃんが初の舞台出演なのに威風堂々とっても自然な感じでお芝居をしていて、びっくりして稽古場でざわっとしましたよね」

岩城「とても落ち着いていて凄いと思います」

――― 稽古場はどんな雰囲気ですが?

岩城「千尋さんが盛り上げてくださいます」

鈴木「シリアスな芝居なので休憩の時は雑談したり余計なことばかり言ってます(笑)」

成美「この間、稽古の後にみんなをご飯に連れて行ってくださって。私は緊張していましたが、そこで皆さんとコミュニケーション取れたのがとても大きかったです。カレー美味しかったです!」

岩城「千尋さんは一番辛くてスパイシーなカレーを食べるんです。声のお仕事なのに心配しますよね!」

鈴木「23年やっておりますが大丈夫です!」


この役が役者をしていく上でいいヒントになって役者の糧に

――― 岩城さんの印象は?

鈴木「別の作品ですが一つの役を僕が声、彼が舞台をやったという所で通じるものがありました。最初に会った時は腹筋を役作りでバキバキに割っていて、すごくストイックな人だなぁと思って好感を持ちました。
今作では感情表現がなかなか難しい役。それは生涯かけて掘り下げていくものだと思いますが、この役が役者をしていく上でいいヒントになって、役者として糧になるのではないかと思っています。肉体もそうですが精神的な部分でストイックさのベクトルが変わると面白いのではないかと期待してます」

――― 最後にメッセージをお願いします。

鈴木「記憶に残る作品になると思ってますので、ぜひ大切な方と観に来て欲しいです」

友美「とても感動できる物語です。どの世代の人でも考えさせられる事がある作品だと思うので、たくさんの人に届けたいです」

岩城「僕は“希望”の存在としてこの物語で生きていきます。意味の深い重いセリフがたくさんあるので、何かを持ち帰ってもらえる作品にしたいです。劇場でお待ちしております」


(取材・文&撮影:谷中理音)

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