> WEBインタビュー一覧 > さいねい龍二・下門 晋(プロデューサー)
ホテルの一室で繰り広げられる男と女の恋愛模様。「一線を越えさせない女」「恋愛マスター風の童貞男」「男をハシゴする女」など、思い通りにいかない恋愛 に悩む様々な女子の姿を描き、結末は観客が決めるという新感覚の作品が『恋とか愛とか(仮)』。2016年に東京と広島の2箇所で舞台公演実施し好評を博した舞台の2作目が2018年に上演される。さいねい龍二と、プロデューサーの下門晋に意気込みを聞いた。
● さいねい龍二(さいねい・りゅうじ)
1981年10月8日生まれ。広島県出身。月刊ファッション誌『BOON』の専属モデルとしてデビュー。2002年から俳優活動を開始。2004年『特捜戦隊デカレンジャー』の主役、赤座伴番/デカレッド役を演じる。2015年からは広島での活動を開始。現在、『恋とか愛とか(仮)』(広島ホームテレビ)ほか、多数のレギュラーを持つ。
● 下門晋(しもかど・すすむ)
広島ホームテレビのプロデューサーとして、『ひろしま深掘りライブ フロントドア』や『恋とか愛とか(仮)』などを手掛ける。
――― 『恋とか愛とか(仮)』は、テレビの企画からスタートしていますが、舞台にしようと思ったのはなぜなんですか?
下門「うちの監督が舞台を好きだというのもあります。また、恋愛をテーマにしてるのも舞台向きだし、選択のシステムが売りになっているので、それを舞台の生の感じでやれたらいいよねということで、スタートしました」
――― 一回目の公演は、2016年9月からでしたが、実際に舞台に立ってみていかがでしたか?
さいねい「この舞台は、途中でAとBの選択肢が出てきて、お客さんの拍手で結末が変わるようになっているんですが、もう想像以上に大変でした。ある程度想像してたけど、それ以上にばたばたするんです。できるだけ早く選択の結果を知って心の準備をしたいので、拍手の音を必死で聞いてましたね。舞台上でストップモーションで選択の結果を待ってるときもあるんですけど、そのときは何もしていないのに汗がだららだ出てきて…」
――― さいねいさんは久々の東京での舞台だったんですよね。
さいねい「2015年に広島に拠点を移して、それ以来初めての東京のお芝居でした。広島でも舞台には出ていたけど、物理的に来れない人もいたので、久々に見にきてくださる方もいっぱいいました。僕はヒーローものに出ていたんで、そのころ見てくれてた幼い女の子たちが、完全に女子に成長していて。けっこう恋愛のつっこんだ内容の舞台なのに、楽しめましたって言われて、複雑な気分になっちゃいました(笑)」
――― 今回はどのようなエピソードがありますか?
下門「今回は舞台がホテルの一室で、そこで男と女がやりとりや駆け引きをしていく様子をオムニバス方式で描きます。最後に結婚というゴールに向かって、どう進むのかが見どころになってますね。いろんな男女が出てくるんですけど、それぞれテーマがあって、一線を越えさせない女とか、いろんな設定のキャラクターが登場します」
さいねい「今回、場所がホテルなので、より大人のつっこんだ話になるのかなと。でも、できるだけ綺麗に演じたいなと思います(笑)」
――― 前回とかわってホテルが舞台で大人の話になるっていうのは、番組をやってるうちに、そういう方向性が見えてきたのでしょうか。
さいねい「視聴者さん、そっちのほうが好きなんですよね」
下門「慣れてくると、視聴者の皆さん、より過激なほうを選ばれるんですよ。さいねい君なんて、ドラマの中で泥棒役とかやってますからね(笑)」
さいねい「そうですね、あとは詐欺師とかね…。視聴者の方は、綺麗な物語は東京で作ったドラマで見ればいいので、そうじゃない部分を見たいって思ってるんじゃないですかね」
下門「たぶん、身近に感じる話になってるんですよ。恋愛ってそんな綺麗なもんじゃないので。実際に視聴者から送られたエピソードに脚色して、片方は視聴者のストーリー、片方は空想のストーリーになっています。その種明かしはしてないですね。あまりにもえげつない話だと、種明かしして、スタジオで見ている犬山紙子さんや、ラフレクランの西村くんが『えーっ』てなるという。けっこうえげつない話が多いのは、広島だからなのかな(笑)。でも見てるのも、話題にしてくれるのも、読者からのエピソードを投稿してくれるのも、圧倒的に女子が多いですね」
――― 女子の皆さん、どういう気持ちで見てるんでしょうね。
下門「共感じゃないですかね。前向きになれるのかな。あたしだけじゃないんだと思えるとか」
さいねい「あーすっきりした!っていうのもありそうですね。観劇した後、女同士で飲みにいったら、すごい会話がはずむと思います。それと、広島で見てる人のことで考えると、自分たちの地元の知った場所がドラマになってるというのも珍しいし、そういう興味もあって見てるというのもあるかもしれないですね」
――― 町の紹介番組的な。
さいねい「ほんとそうですよ。料理屋さんにデートに行くシーンで、ちゃんとお店の料理を物撮りするんですよ。愛がありますよね」
下門「ロケしたお店のことはTwitterでも紹介するようにしていますね。言われてみれば、ほかでそういうのないかもね。一眼レフで撮影してるんで、すごく綺麗な画になってるんですよね」
――― 毎週出ているさいねいさんは、地元ではどんな評判を受けてますか?
さいねい「すごい好感度低いですよ(笑)。クズの役ばかりなので、ほかの番組で好感度を上げて中和しているところです」
下門「最近特にひどい役多いよね」
さいねい「二股はデフォルトなんです。なぜかっていうと、僕が二股しないと、物語が始まらないから。以前、人を殺す役でも犯人でも、どんな酷い役でも好きにならないといけないと言われたことがあったんですけど、その作業ができないくらいの役が多いです(笑)」
――― 男性の反応はいかがですか?
さいねい「男性は、深夜番組として無茶な企画に挑んでいる感覚で面白いって感じてるみたいです」
下門「俺は独り言が多くなるけどね。何回も見てストーリーは知ってるのに、酷いシーンを見たら『それはないわないわー』ってつぶやいてますね。あと、男性の楽しみとしては、主演女優は変わるので、そこを楽しみにしてるのはありますね。いつも、女優さんではなくモデルさんとか」
さいねい「その辺のカフェでバイトしてる人とかが出ているんです」
――― その中で女優を続ける人とかもいるんですか?
さいねい「続けたほうがいいくらい才能がある人はいますね。一般企業でOLさんしてる方なんですけど」
――― 経験のない女優さんにアドバイスしたりもするんですか?
さいねい「これはもうパワープレイでいっぱい撮るって感じですかね(笑)」
下門「でも、そこを売りにしてるよね。私でも出られるんじゃないかって。それがローカルのよさだと思うんで」
――― 最近は広島以外でも、放送が拡大してますよね。
下門「今は、広島ホームテレビのほかに、TOKYO MX、静岡朝日テレビ、メ〜テレ、山口朝日放送、愛媛朝日テレビで放送しています。放送日が、広島と二日しかずれてないので、どこで見てる人でも、選択ができるようになってるんですよ。そこが売りになっています」
――― 前回、舞台をやっての手ごたえはいかがですか?
さいねい「普段は、冷静で処理能力の高いプロデューサーさんってことで有名な下門Pなんですけど、舞台の終わった後でむせび泣くていう……」
下門「会社入って後にも先にもないくらい号泣したんですよね。それは、“コイカリ”を知らない東京の俳優さんが一生懸命演じてくれて、お客さんをいっぱい呼んでくれたってことに感動して、こみあげて泣いてしまいましたね」
さいねい「東京は冷たいってよく言われるけど、そんなことないっていうね」
下門「東京で放送したいという野望があったんで、舞台公演を見てもらったことで、うまい具合に春からいろんなところで放送されることになったんで」
さいねい「敏腕プロデューサーなので、全部回収しますからね!」
――― でも下門さん、俳優さんみたいな雰囲気ですよね。とうか、戸次重幸さんみたいですね。
さいねい「やっぱりそう思いますよね」
下門「実はよく言われることがあって、年齢も一緒なので、会ってみたい人なんですよ」
――― あと、下門さんも、ドラマや舞台に出てもいいのではって。
さいねい「でもたまに出られるんですよ。配信番組でMCとかもやってるんですよ」
下門「不倫上司役とかを演じましたね。PRのためならなんでもやります」
――― 最後に、東京と広島の公演に向けての意気込みをお願いします。
さいねい「なかなかないタイプの舞台だと思います。いろんなスタイルがあるけど、今までみたことのない舞台が見られるんじゃないかと思います」
下門「今回は、オムニバスの4つのお話が、最後にひとつのゴールに向かっていくというところが前回と違うところですね。TOKYO MXなどでの放送を見てもらうと、より雰囲気がわかると思いますので、ぜひ気になっている人には見てもらいたいです。でも、番組を見てなくても楽しめる設定になってるし、そもそも番組自体が、寝っころがって見られるくらいの気楽さだし、舞台にもそんなフランクなところがあるので、気負わずに、恋愛のエピソードを見に来てほしいですね」
(取材・文&撮影:西森路代)