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吉田誠・泉志谷忠和

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日本初のゲーム音楽専門プロオーケストラによる、待望の交響楽公演!

ゲーム音楽を音楽史に残し、生演奏の素晴らしさを伝えていきたい

丁寧に作り込まれた世界観のもと、物語の登場人物になった気分で楽しめるロールプレイングゲーム(RPG)。その多くは、スケールの大きな音楽も魅力の1つで、サウンドトラックCDが発売されたり、ゲーム音楽を生で演奏するコンサートが行われたりもしている。そんな中、ゲーム音楽を主体に演奏する日本初のプロオーケストラとして2014年に誕生したのがJAGMO(ジャパンゲームミュージックオーケストラ)。これまでに小編成による4回の室内楽公演を成功させ、2月には遂にフルオーケストラ編成のコンサート『伝説の交響楽団』を行う。そこで指揮とクラリネットを担当する吉田誠と、公演をプロデュースする泉志谷忠和に、JAGMOへの思いなどを聞いた。(取材・文:西本 勲 撮影:佐藤雄哉)

PROFILE

吉田誠(よしだ・まこと)のプロフィール画像

● 吉田誠(よしだ・まこと)
1987年生まれ。兵庫県出身。5歳よりピアノを、15歳からクラリネットを、22歳から指揮を始める。東京藝術大学、フランス地方国立リュエル・マルメゾン音楽院、パリ国立高等音楽院、ジュネーブ国立高等音楽院で学ぶ。国内外の著名オーケストラと共演を重ね、受賞歴も多数。2014年にはアルバム『くらりずむ』を発表。くらしき作陽大学指揮科非常勤講師。京都おもてなし音絵巻プロデューサー。

泉志谷忠和(みしや・ただかず)のプロフィール画像

● 泉志谷忠和(みしや・ただかず)
中学卒業後アメリカに遊学し、LAとラスベガスでショービジネスを学ぶ。帰国後は慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに入学。卒業後は、音楽プロデューサーのもとに弟子入り。独立後、大手外資系企業勤務を経て現職に至る。JAGMOでは選曲から企画コンセプト、会場デザイン、プロモーションなど、公演に関わる一連のプロデュースを担当。 http://jagmo.jp/

――― JAGMOが目指すのは、ゲーム音楽を音楽史に残すこと。そして、ゲーム音楽を通じて生演奏の素晴らしさを伝えること。

インタビュー写真

泉志谷「僕自身、一番最初に買ったCDがファイナルファンタジーで、(ドラゴンクエストシリーズの作曲者である)すぎやまこういちさんの作品も片っ端から集めていました。世代としては完全に電子音の世代ですけど、そういうところからクラシックの良さも知って、いろいろ聴くようになったんです。そこで、ゲーム音楽の中には純粋に音楽として素晴らしいものがたくさんあって、それを音楽の歴史にしっかり残していきたいという気持ちが芽生えました。そしてもう1つ、吉田君のような僕と同世代の音楽家や演奏家と交流する中で、今の日本では彼らが活躍できる場がすごく少ないと感じるようになって、ゲーム音楽のオーケストラを通じてその状況を変えていきたいと考えたんです」

吉田「そんな彼の意思にすごく共感して、ぜひとも一緒にやっていきたいと思いました。僕はゲームに関してはまったく何も知らなくて、声をかけてもらったときは心配もしたんですけど、逆に言えば、ゲームを知らないぶん、生の音楽を届けるということに特化できるなと。もちろんゲームのストーリーとかはある程度知っている必要があるので勉強しますけど、僕は純粋に音楽からアプローチして、彼はプロデューサーとして構成などを考えるというように、バランスの良い関係ができています」

――― JAGMOの主なレパートリーは1980年代後半から2000年代のゲーム音楽。『伝説の交響楽団』では、ポケットモンスターやファイナルファンタジー、クロノ・クロス、キングダムハーツなどの人気タイトルが並ぶ。

泉志谷「自分たち自身がすごく自由に遊べた時代のゲームで、演奏家たちもリアルタイムで遊んでいた人が多く、すごく情感のこもった演奏になるんです。お客さんも20代〜30代の方がメインで、いわゆるクラシックのコンサートとはずいぶん客層は違いますね。それこそ、普段は生の音楽のコンサートをあまり聴きに行かないような方々です。でも目をつぶって聴いたり、涙を流していたりと、演奏にすごく深く入り込んでいる人が多い。その様子を見ると、JAGMOの可能性の大きさを感じます」

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吉田「この楽団が面白いのは、元の音楽をそのままやるんじゃなくて、どうアレンジしていくかというところ。元のテーマを崩さないように、作曲家・編曲家・演奏家が何度も話し合ってゼロから練り上げていきます。それは普段やっているクラシックのコンサートと何ら変わりません。新しいジャンルということでワクワクしていますけど、別にゲーム音楽だからとか、クラシックだからというふうに分けて考えてはいないんです。これで初めて生演奏に触れるお客さんも多いと思うので、本当に音と音楽の勝負だと思っています」

――― 音楽的なクオリティを妥協なく追求することで、ゲームへの思い入れに関係なく、幅広い音楽ファンが楽しめるコンサートが出来上がる。そこから、生演奏の場に足を運ぶ音楽ファンを増やしていくことがJAGMOの目標。

吉田「2月の公演は、世界中で活躍している若くて一流のクラシックアーティストばかりが集まる、言わばスーパーオーケストラ状態のコンサート。それでゲーム音楽をやるというのは、今までにないコンセプトで、とても意義があることだと思っています」

泉志谷「ゲーム音楽にはいろんなジャンルの要素があるし、編曲家のバックグラウンドも本当にさまざまで、クラシックだけをやってきた人もいれば、ポップス界で活躍しているアレンジャーもいます。そういう人たちが1つの公演を作る面白さがありますね。これを単なる流行りもので終わらせるのではなく、ずっと続く、未来に残っていく楽団にしていきたいです」

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公演情報

THE REGEND OF RPG COLLECTION 最終章 ‐伝説の交響楽団‐

※販売準備中