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高木心平・高木万平

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すべての謎が明らかに。老舗旅館を舞台に綴られる人と人との“絆”の物語。

この作品に出会えて良かった。双子俳優・高木兄弟が本気で惚れ込む人情コメディ完結編!

現代人が忘れつつある温かな“人情”を描き、人気を集めるバッキャローシリーズ。「岡田酒造編」「まごころ食堂編」に続く第3弾「大倉旅館編」もいよいよ完結編。最終章『空のバッキャロー!!』を前に、キーマンを演じる高木心平・高木万平兄弟も「台本を読むのが楽しみ」と目を輝かせる。劇場を笑いと涙で沸かせた人情喜劇は、はたしてどんな結末を見せてくれるのだろうか。

PROFILE

高木 心平(たかぎ・しんぺい)のプロフィール画像

● 高木 心平(たかぎ・しんぺい)
1985年10月22日生まれ。愛知県出身。06年、ミュージカル『テニスの王子様』に出演、一躍注目を集める。ドラマ『メイちゃんの執事』や『桜蘭高校ホスト部』などで兄・万平と共演、双子俳優として話題に。映像・舞台の垣根をこえて幅広く活躍し、演劇では『コードギアス 反逆のルルーシュ』主演、『アルジャーノンに花束を』などに出演。昨年から新たに声優として『遊☆戯☆王ARC-V』にも出演中。

高木 万平(たかぎ・まんぺい)のプロフィール画像

● 高木 万平(たかぎ・まんぺい)
1985年10月22日生まれ。愛知県出身。07年、ドラマ『獣拳戦隊ゲキレンジャー』に出演、認知度を高める。ドラマ『メイちゃんの執事』や『桜蘭高校ホスト部』などで弟・心平と共演、双子ならではの息の合った演技を見せる。映像から舞台まで出演作は多岐に渡り、演劇では『華アワセ~based on 華アワセ 蛟編』主演、『ダンガンロンパTHE STAGE』などに出演。昨年から新たに声優として『遊☆戯☆王ARC-V』にも出演中。

インタビュー写真

俺は「こういう舞台がやりたかったんだ」と思えた。

――― 舞台は、自然豊かな白鷺温泉郷に佇む老舗旅館・大倉旅館。そこで働く人々と、一筋縄ではいかないワケあり宿泊客が織りなす人間模様が、本作の見どころだ。大倉旅館で働く送迎バス運転手・馬越大地を演じる心平は、前2作『雲のバッキャロー!!』『虹のバッキャロー!!』を振り返り、「俺がどうしてこの世界に入ったのかを改めて思い出させてくれる」と作品への熱い想いをブログに綴っていた。

心平「家族だったり、仲間だったり、人と人とのつながりをストレートに描いているところが、この作品のいちばんの魅力です。“人は一人じゃ生きていけない。誰かを支え、誰かに支えられながら生きているんだ”ということを感じてくださったとおっしゃるお客様がすごく多くて。俺自身もそういうシンプルなものにグサッと来るタイプ。いろんな舞台をやってきて、“こういう舞台がやりたかったんだ”っていうことを改めて発見しました」

――― 万平は、第1作『雲のバッキャロー!!』は客席で観ていた。弟・心平の入魂の一作に自身も胸を揺さぶられずにはいられなかった。

万平「いつも稽古から心平が清々しい顔で帰ってくるのを見ていて、いい現場なんだろうなって感じていました。実際に本番の舞台を観たら、すごくって。俺、泣きましたもん(笑)。普通、兄弟が出ている芝居って、どこか歯がゆいところがあって泣かないんですけど。隣に友達が座っていたので、涙を見せないようにするのに必死でした(笑)」

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――― 念願叶って第2作『虹のバッキャロー!!』から登場した万平。演じるのは、浅草からやってきた車夫・影浦翔馬だ。

万平「挨拶がてら大倉旅館に泊まりに来て、そこで自分とそっくりな顔をした大地と出会うんです。翔馬はなぜ白鷺温泉にやってきたのか。本当にただの挨拶がてらなのか。それとも大地の過去について核心に迫る何かを知っている人物なのか。まだ明かされていない謎がたくさんあるので、完結篇の台本を読むのがすごく楽しみです」

――― 前作『虹のバッキャロー!!』は、大地の出生の秘密が明らかになるという衝撃的な展開で幕切れとなった。

心平「ずっと白鷺温泉で生まれ育ってきた大地が、実は白鷺の人間ではなかったことが明かされて。俺自身も最初に台本を読んだときにビックリしました。この完結編ですべての秘密が明かされると思うので、前作を観て引っかかっているお客様も楽しみにしてもらえれば」

インタビュー写真

観客として感動した作品に参加できることが幸せ。

――― 白鷺温泉のモデルとなっているのは、愛媛・道後温泉。まるで本物の旅館をそのまま再現したかのような精巧な舞台美術が好評を博した。対する役者陣も、本当にそこで暮らしている人々かのようなリアリティを体現するため、役づくりに余念はない。

心平「演出の古河(聰)さんが白鷺温泉郷で生きている人たちと外から来た人の空気感の違いを大事にされていて。旅行に行っても、現地の人の雰囲気ってやっぱり違うじゃないですか。難しいことではあるんだけれど、その土地に育った匂いのする人に見えるためにはどうすればいいかということが、演技面での大きなテーマでした。脚本の(菅野)臣太朗さんが実際に道後で撮影した写真を稽古場に貼って、出番のときは必ずそれを見てから出たり。みんなで道後温泉のパンフレットを見て建物の感じや街の雰囲気を話し合ったり。そうやってイメージを共有するだけで演技が全然変わってくるんですよね」

万平「昔から浅草は何度も行ったことがあるんですけど、人力車に乗ったことはなくて。なので役づくりとして初めて浅草で人力車に乗せてもらいました。大事にしていることとか必要な道具とか、聞きたいことを全部メモして、車夫の方に話を聞かせてもらって。本番で、“浅草”って書いた手ぬぐいを使ったんですけど、それもその時に浅草で買ったもの。手ぬぐいの巻き方も真似させてもらいました。やっぱり実際にやっている人から話を聞くことで、いろんな発見がありましたね」

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――― 芸能界でも珍しい「双子俳優」として注目を浴びる高木兄弟。取材中も丁々発止のやりとりで、双子ならではの阿吽の呼吸を感じさせてくれた。しかし、かつては喧嘩も絶えなかったという。

万平「昔はお互いライバル視していたもんね(笑)」

心平「うん。でも今はそれぞれ違う人間なんだと思えるようになりました」

――― そう穏やかに振り返ることができるのは、それぞれが確実にキャリアを積んできた手応えがあるからこそ。今、二人はお互いを同じ役者として、どう見ているのだろうか。

心平「万平は中心に立つのが似合うというか、真ん中でキラッと光っているのがカッコいいなと思います。俺よりも線が細いし、俺にはない色気がある。万平の芝居を見ながら、俺には“ああいうのはできないな”とか“あの役は万平の方が似合うんだろうな”って思うことが増えた気がします」

万平「それは心平に対しても同じ。この大地という役も心平じゃないとできない。心平はとにかく素直なんですよね。たとえば俺が演技について何か言っても、それをすぐに取り入れて出していける。何より、楽しくお芝居しているのが伝わるんです。だからお客さんや演出家さんも心平の演技をいいねって言ってくれるんだと思います」

――― 迷いや雑念の時期を乗り越え、演技に深みの増した高木兄弟。「共演するのは久々」と言うこのバッキャローシリーズは、二人にとっても大事な作品となっている。

心平「この作品に出会えて良かったと思うし、本当にたくさんのことを学ばせていただきました。もしバッキャローシリーズに出会ってなかったらと思うと、すごく寂しくなりますね。だからこそ、今までやってきたことのすべてをこのラストぶつけたい。バッキャローシリーズを愛してくれる人を増やせるよう、役者・高木心平を爆発させるつもりで、すべてを大地にぶつけたいし、お客様にもそれを感じてほしいなと思います」

万平「自分が観客として感動した素敵な作品に参加できていること自体がとにかく幸せ。このシリーズの見せ場は、心平が最後にバッキャローと叫ぶところ。俺も客席で観て衝撃を受けました。だから、今回も心平が思い切りバッキャローと言えるように、俺自身も汗も涙も全部吸い取られてひからびるくらいの勢いで翔馬を演じたいと思います」

――― 役者たちがこれだけ自信を持って作品への愛を語れる舞台は、決して多くはない。前2作を観た人はもちろん、シリーズ初参戦の人もバッキャローシリーズの魅力をその目で確かめてほしい。


(取材・文&撮影:横川良明)

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