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劇団東京乾電池

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劇団創立40周年記念プレ公演

柄本明演出 ―― 劇団東京乾電池の俳優たちが演じる北村想の不思議な世界

1976年に柄本明、ベンガル、綾田俊樹の3人で結成された劇団東京乾電池が、劇団創立40周年を迎えようとしている。年明け早々、その記念公演の第一弾プレ公演として、北村想作『十一人の少年』を下北沢 ザ・スズナリにて上演する。

PROFILE

麻生絵里子(あそう・えりこ)のプロフィール画像

● 麻生絵里子(あそう・えりこ)
1966年生まれ、京都府出身。1989年劇団東京乾電池に入団。以後、同劇団公演に参加の他、外部舞台やテレビ・CMでも活躍。最近の出演作は『かもめ』(14年)、『そして誰もいなくなった』(14年)、『夏の夜の夢』(15年)。老婦人から妖精の女王まで幅広く演じる。
時に厳しく、しかし後輩の意見もちゃんと耳を傾けてくれる姉御的存在。特技は卓球。

中村真綾(なかむら・まや)のプロフィール画像

● 中村真綾(なかむら・まや)
1984年生まれ、長崎県出身。2007年劇団東京乾電池に入団。以後、同劇団公演に参加の他、映画やCMでも活躍。最近の出演作は『夏の夜の夢』(13年)、『牛山ホテル』(14年)、『二人で狂う…好きなだけ』(15年)。
彼女の発言に戸惑う人多数。しかし皆を笑顔にする存在。特技はソフトテニス。

前田亮輔(まえだ・りょうすけ)のプロフィール画像

● 前田亮輔(まえだ・りょうすけ)
1984年生まれ、大阪府出身。2009年劇団東京乾電池に入団。以後、同劇団公演に参加。最近の出演作は『牛山ホテル』(14年)、『夏の夜の夢』(15年)、『眠れる森の美女』(15年)。
彼の芝居はまさにLive。場数が増えるごとに緊張度も増しているよう。特技はサッカー。

西本竜樹(にしもと・りゅうき)のプロフィール画像

● 西本竜樹(にしもと・りゅうき)
1976年生まれ、奈良県出身。2000年劇団東京乾電池に入団。以後、同劇団公演に参加の他、テレビ、映画、CMと多数出演。最近の出演作は『寿歌』(13年)、『牛山ホテル』(14年)、『夏の夜の夢』(15年)。
悩んだときに多くの後輩が助言をもらいに訪れる。が、先輩には頭が上がらない。特技はアメリカンフットボール。

インタビュー写真

――― 若手からベテランまで、多くの団員が所属する中、インタビューに応じていただいた4人の劇団員。それぞれの入団当時と今を聞いた。

麻生「今回出演している役者の中では最年長になります。劇団創立20周年に『しとやかな獣』に出させていただいて、すごく辛かった思い出とともに、若手がなかなか出られない本公演に出させていただいて、経験になりました。その頃に比べたら今は劇団員の数も倍になりました」

中村「私は9年目です。スズナリという古くからある劇場でやる機会もなかなかないので嬉しいです。盛り上がるといいなって思います」

前田「今年で7年目です。35周年のとき、同じスズナリで『ハムレット』をやったのをよく覚えていて、もう5年も経つのかという感じです」

西本「映画の学校に通っていてころ、先生からたくさん舞台を見なさいと言われて、観た中で東京乾電池が一番面白かった。みんな性格悪そうだなと思いまして(笑)。あ、いや、とにかく面白かったんです。それで入団。まず研究生を1年やって、正式にメンバーになりました」

インタビュー写真

――― 40年劇団を引っ張ってきた座長の柄本明。芝居のことになると目の色が変わるという。芝居に対する気持ちは確実に劇団員に浸透している

西本「座長がよく言うのが『人は他人なんだから』ということ。なんて言ったらいいんだろう」

麻生「お客さんも一緒にやるメンバーも、結局は他人だろうというのはありますよね。もちろん仲間意識はあるし、お客さんにも来ていただいたらうれしいのですけど。媚びるような芝居を座長はとても嫌いますよね」

西本「芝居はなあなあではできないよなっていうことですかね。だから稽古はものすごく緊張します。座長は普段はものすごく優しいんですが、芝居のことになると怖い」

麻生「ええ、いまでも怖いです。一時期、小劇場界では話題になりました。乾電池の稽古場って一番怖いんでしょって(笑)」

西本「座長に心を見透かされているんじゃないかと思うことがよくあります」

中村「そうなんです。だから怖い。でも、その怖さは悪い怖さなのかがよくわからなくなります」

西本「芝居に関して見透かされているということだと思うんです。練習してなかったら出ますし、いい加減な芝居はできないですよ」

麻生「あ、いま失敗したな、とかいうのもわかっているんじゃないかと。言い当てられますからね」

西本「ドキッとしますよね」

麻生「劇団っていい意味で遠慮がなくなるというのはありますよね。突き詰めて作っていくことができるというか。うちは劇団員同士でも厳しい人が多いです。特に西本なんかは(笑)」

中村「でも、西本さんは厳しくてあったかいんです。自分のことを言ってくださるのに、自分よりも西本さんの方が諦めてない。先輩たちを見て勉強になるというのはありますね。具体的にというより、見て学ぶという感じでしょうか」

西本「座長の演出がそうですからね。私だけじゃなく、みんながそうだと思いますよ。染みついているというか」

インタビュー写真

麻生「ところで、前田くん何か喋った?すごい緊張しいなので。今度の舞台、すごく出番もセリフも多いじゃない。大丈夫?」

前田「・・・」

一同「(笑)」

西本「いや〜、前田くんのこの感じが面白いんですよ。他の劇団でもこういう役者いないですから」

中村「とってもシャイな人なんです」

麻生「自分で緊張してることに笑っちゃうからね」

前田「・・・あ、そう、ですね」

一同「(笑)」

インタビュー写真

――― 6月には創立40周年記念本公演として、北村想の新作書き下ろし『ただの自転車屋』が本多劇場で行われる予定だ。まずは、年明け早々のプレ公演。年末年始も返上で稽古の予定だという。意気込みを聞いた。

麻生「本が書かれたのは30年くらい前で、時代を感じるので、柄本がどういう演出にもってくるのか楽しみです。あと、これは普段からですが、自分たちが楽しいことをやろう、というのはあります。舞台で演じている人間が楽しんでいないとお客さんは楽しいと思わないでしょう。でも、柄本からは苦しんでいてもいいんだ、苦しんでいるところもお客さんに見せろと言われます(笑)」

中村「本にいろんな要素が織り込まれています。時代劇のようなシーンや特撮の作品が引用されているところがあったり。本の内容を知っている人もそうですけど、知らない人でも十分楽しめる作品だと思います」

前田「本を読んでいるだけでも面白いので、自分も楽しめるといいなと思います」

西本「本からいろんな解釈ができて、全体としてはわからない。気がついたら時空が飛んでいたり。お客さんもそれぞれ違う考えになると思うので楽しめると思います」

麻生「座長からよく『芝居を壊せ』と言われていて、いつもそれについて考えるのですが、演出でも演技でも、本を読んだ時の印象そのまま出すのもいいけれど、まったく違うことをやることで、違う反応が見られたりしますよね。そういうことを言っているのかなって思います」

西本「いい意味で裏切られる」

麻生「そうね。北村想さんにとってもそうであるといいよね。この本を知っている人にとっても、予想を裏切るようなものが見せられたらいいなと思います」

――― 東京乾電池を知っている人にも知らない人にも、きっと予想を裏切る舞台になることだろう。年明け早々、歴史ある小劇場で起こる冒険劇を目撃しに劇場へ足を運んではいかがだろうか。


(取材 文&撮影:菅原康太)


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