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楠田亜衣奈・山口立花子

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少年の切ない成長物語に、リアリティのある“声”が息を吹き込む

キャラメルボックスの名作を人気声優たちが朗読劇で上演

声優たちによる「本物のライブボイスパフォーマンス」というコンセプトで2012年にスタートしたJ-VOICE PROJECT。その第4回公演は、演劇集団キャラメルボックスの成井豊が手がけた脚本を朗読劇として上演する『ハックルベリーにさよならを』。キャラメルボックスをはじめさまざまな団体によって上演されている人気の高い作品で、J-VOICE PROJECTでも同作に取り組むのは2度目となる。 その出演者の中から、『ラブライブ!』などのヒット作品やソロシンガーとしての活動で知られる楠田亜衣奈と、前回と同じ役柄で再演に挑む山口立花子が意気込みを語ってくれた。

PROFILE

楠田亜衣奈(くすだ・あいな)のプロフィール画像

● 楠田亜衣奈(くすだ・あいな)
1989年2月1日生まれ、千葉県出身。CDやアニメ、ライブ、ゲームなど複数のメディアで展開される大ヒット作『ラブライブ!』の東條希役でブレイク。15年10月に、ソロシンガーとしてのメジャーデビューミニアルバム『First Sweet Wave』をリリースした。

山口立花子(やまぐち・りかこ)のプロフィール画像

● 山口立花子(やまぐち・りかこ)
1988年3月30日生まれ、東京都出身。ソーシャルゲーム『アイドルマスター ミリオンライブ!』百瀬莉緒役をはじめとして、数多くのテレビアニメやドラマCD、洋画吹替などで活躍。インターネットラジオWALLOPで楠田亜衣奈とパーソナリティを務める『りかこ&あいなの 今夜もあなたにチェックイン』を毎週火曜日に放送中。

● J-VOICE PROJECT
JTBエンタテイメント所属の声優タレントによる、“生の声の力”を大切にした本物のライブ・ボイス・パフォーマンスで、全国の皆様に感動をお届けするプロジェクト。
第1回公演 2012年10月2日朗読劇「ハックルベリーにさよならを」
第2回公演 2013年8月3日活読劇「真夏の奇跡」
第3回公演 2014年7月12日、13日 「J Summer Festa 2014」

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生の舞台ならではの反応を感じたい
――― 『ハックルベリーにさよならを』は、J-VOICE PROJECTの第1回公演でも同じく朗読劇として上演されている。まずは山口に当時の思い出を尋ねてみた。

山口「共演者の方がみんな先輩で、その中で一緒にいられるっていうのが嬉しかったのと同時に、うまくやれるかなみたいな不安もすごくありました。でも蓋を開けてみると、自分の中ではやり切った感がすごくあって。1回の公演で終わるのはもったいないね、って話した記憶があります。
 普段は映像に声をあてているので、台詞を喋るスピードは決められていますが、舞台では自分たちの間(ま)で喋らなきゃいけない。その難しさは感じましたね。練習するごとに全体の時間が伸びたり縮んだりして、今日はノッてなかったのかな?みたいなことを感じていました。でも本番ではそういうのが全然なくて、みんなノッてるなというのを感じながらすごく気持ち良くできました」

――― 続く第2回公演『真夏の奇跡』(2013年)には楠田も出演。「一緒にお仕事をすることが多くて、仲間みたいなイメージ」(山口)、「同じ現場にいてくれるだけですごく安心する」(楠田)という2人のコンビネーションを、舞台上でも見せる機会となった。

楠田「十代の頃から舞台を観に行ったりするのが好きだったので、お芝居をするのはすごく楽しいです。でも生の舞台には独特の神経の研ぎ澄ませ方があるなと……何回か公演があるとしたら、同じ台本で同じ演出でも、お客さんの空気感だったりとか、笑いが起こるタイミングだったりとかも少しずつ違うので、そのときにしかない空気感みたいなものをすべて肌で感じて演じなければいけない。それはすごく感じました」


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――― そんな舞台での経験が、声優の仕事に活かされることもあるという。

山口「『真夏の奇跡』のときに、台本を持たないで台詞を言うことを経験して、その方が思いきりの良さが出るなと思ったんです。声優の仕事で台本を持っていると、どうしても台詞を目で追って“読んでいる”感じが出てしまうことがあって……もちろんそうならないように気をつけているんですけど、そこで台本を持たずにやってみたり、ちょっと動きをつけてみたりというふうに、舞台でやったことの逆輸入みたいな試みをしたことはありますね」

楠田「演じるという根本的な部分は変わらないと思うんです。でも、舞台では相手の役者さんが伝えようとしていることを、台本を持って演じているときよりもダイレクトに感じ取れる。その感覚を活かして、アニメの現場で台本を持っていたとしても、相手役の気持ちを感じようって意識するようになったと思います」

――― 逆に、生の舞台で演じることに対する“欲”のようなものは出てきているのだろうか。

楠田「いい作品だった、もう1回観たい、と思ってもらえるようなお芝居をすることが一番の欲ですね。私自身、お芝居を観に行ってなかったらきっと声優にもなってなかったので、そんなふうに思ってもらえる役者になりたいです」

山口「左に同じです……ダメですか?(笑) 舞台はアニメと違って観ている人の反応がダイレクトにわかるので、そういう舞台ならではのものは感じたいし、お客さんにも感じてほしい。だから、何度も観に来てほしいという気持ちもありますし、他の知らない人に、観に行った方がいいよって言わせられるくらいの舞台にしたいです」

楠田「もちろん、たくさんの人に観てもらいたいですけど、そんなふうに人の心を動かせることが何よりも嬉しい。私たちは純粋にお芝居が好きでこういうお仕事をしているので、とにかくお客さんが楽しんでくれる顔が見たいです。満足しておうちに帰らせたい(笑)」

山口「泣いてる顔が見たいね(笑)」

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声優が演じるからこその、私たちらしい舞台に
――― 『ハックルベリーにさよならを』は、母親と2人暮らしの小学6年生ケンジを中心に展開する切ない成長物語。今回は少年ケンジを楠田が、そして離れて暮らすケンジの父に好意を寄せる女性カオルを山口が演じる。

山口「台本では語られていない部分を自分の中で探るのが難しくて、たぶん今回もそこで悩むんだろうなと思います。でも、ケンジのお父さんを前回と違う方が演じるので、カオルさん自身も変わってくるんだろうなと思うし、新しいカオルさんをどういう人物像にしていくのかというのはすごく楽しみです」

楠田「私はもともと少年の役をやりたくて声優の仕事を目指し始めたので、すごく嬉しいし、楽しみにしています。私自身を応援してくださる皆さんには新しい一面を見せたいし、純粋にお芝居を楽しみにしてくださる方には、ケンジ君が好きとか、すごく良かったって思ってもらえるようなお芝居ができたらいいなと思っています」

――― 初演と同じく演出を手がける菊地創(bpm)については、「役者自身が感じたものを大事にしてくださる方」と2人とも口を揃える。

山口「演出側がこうしたいからということではなくて、もっとこうすれば私の考えている方に近付くだろう、っていう方向で演出してくださるんです」

楠田「動きに対する指示とかはもちろんありますけど、このキャラクターはこうだからという話はせずに、稽古で出てきたものを見て、じゃあこういう方向性で行きましょうみたいな感じ。『真夏の奇跡』で初めて演出していただいたので、これでいいのかな?って思う部分もあったんですけど、終わった後に“それで良かったんだよ”と言ってくださって、そのときは少し成長できたかなと思いました。だから今回も楽しみにしています」


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――― 会場はこれまでより大きく、公演数も多い。J-VOICE PROJECTの新たなステップとして大いに期待が高まる。

楠田「そうなんですよ。だから初日に観てくださって、もともと予定はなかったけどまた足を運んでくださるという方がいるかもしれない」

山口「それを目指したいね」

楠田「声優が演じる朗読劇ってどんなものなのかな?っていう興味から入っていただいてもいいですし、作品自体を知っている方には、こういう『ハックルベリーにさよならを』もあるのかと思っていただけるんじゃないでしょうか。他のお芝居とはまた違った、私たちらしい作品を作りたいと思っているので、ぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです」

山口「朗読劇といっても、菊地さんは動きをつけるのが好きなので(笑)、本番ではどうなるか、観てのお楽しみです。それに今回は初めて客演の方(相葉裕樹、進藤学、千菅春香)を迎えたり、音楽が生演奏になったりと、新しい見どころがいくつもあります。だから私も、2回目ですが新しいことにたくさんチャレンジすることになると思いますので、頑張ります!」


(取材・文&撮影:西本 勲)

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