旅公演の最中。この日上演した地方の劇場を出る際、全くピュアな気持ちで劇場へ向かい頭を下げ、心の中で感謝の言葉を唱えた。その日の夜、霊感の強い共演者が「あそこの劇場なんかやな空気漂ってたわ」と言う。エー、そんな感じしませんでしたよおと私が言うと、彼は私の顔を見ていった。「けどお前、なんか後ろに連れてきとるで。」
目に見えないものは怖くない、という劇団主宰の昔の言葉が好きなので、僕もそうありたいと思っています。
本気で怖かった。初日の開場時刻に、必死にセットを「黒マジック」で塗っていた。あれはホラーだ…。
「アワビがよ〜塩吹いたよ〜」とビーチクギターを弾きながらノリノリで歌うシーンで、客席がシーンとしていた。あれはきっとオバケのせいだ。
何度か自分の弁当が消失するという事態に遭遇している。
見ている芝居そのものがホラー以上に寒かったことは、何度もあります。
今日はまあいい出来だなあと安心してみていた本番で、俳優が小道具を忘れてて、そのことに気づいてない俳優にジェスチャーと念を送り続けた10分間。その後、楽屋に行って、小道具を探して、袖からこそっと渡そうと思ったが、見つからず、また客席に戻った。
「ホラー体験じゃないけど、相手役にいきなり違うセリフを言われ、目の前が 真っ白になった。その後半年位、その人に対して殺意を抱いていた。」