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藤田秀明・中山 浩・脇 知弘・青山ひかる

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ワケあり生徒が集まる高校夜間部の学級委員選挙をめぐるライトコメディ

基本的に楽しく笑って、どこかでちょっと危機感を持ってもらえたら

年代の異なる男女9人が通う都立高校夜間部クラスを舞台にした社会派ライトコメディ『ホームルームは終わらない』。高校卒業目前に夜間部へ編入した主人公、熱意もなくただ毎日を過ごす担任教師、家庭の事情で退学する60代の学級委員長、20歳のガリ勉メガネ女子、元ヤクザ、仕事が少ない地下アイドル……など、ワケあり揃いの登場人物たちが、学級委員長選挙を巡って悲喜劇を巻き起こす。 脚本を担当する藤田秀明(らちゃかん)と演出の中山浩(アフリカ座)、キャスト陣を代表して俳優の脇知弘、グラビアアイドルの青山ひかるが意気込みを語ってくれた。

PROFILE

藤田秀明(ふじた・ひであき)のプロフィール画像

● 藤田秀明(ふじた・ひであき)
2002年に結成された劇団らちゃかんで脚本、演出、役者の3役をこなす。外部公演への参加も多く、主なものに回転花火『亀戸の松尾さん29歳』(06年)、流星揚羽『緋旗青嵐記』(12年)、『万華鏡讃歌』(13年)、音影×流星揚羽・音楽劇『義煉』(13年)などがある。

中山浩(なかやま・ひろし)のプロフィール画像

● 中山浩(なかやま・ひろし)
JAC養成所、劇団SETなどを経て、数多くの舞台、ミュージカルに出演。08年、10年前に解散したアフリカ座を座長として再度立ち上げる。アニメ『蒼穹のファフナー』を舞台化した『蒼穹のファフナー 〜FACT AND RECOLLECTION〜』(10年/11年)での脚色・演出で評価を受ける。

脇知弘(わき・ともひろ)のプロフィール画像

● 脇知弘(わき・ともひろ)
00年、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』で俳優デビュー。『ごくせん』のクマこと熊井輝夫役では02年の初ドラマ化以降、続編や映画版にも登場。以後数多くのドラマ・映画で活躍する一方、舞台やミュージカルにも出演。プロレスラーとしての顔も持ち、08年にリングデビューを果たしている。

青山ひかる(あおやま・ひかる)のプロフィール画像

● 青山ひかる(あおやま・ひかる)
13年にグラビアアイドルとしてデビュー。アイドルユニット“桜丘ショコラ”のメンバーとしても活動するほか、舞台出演にも積極的。主な出演作に、アリスインプロジェクト『デジタルホムンクルス』(13年)、女神座ATHENA『アリス・リベリオン』(15年)などがある。

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―――まず、高校の夜間部が舞台に選ばれた経緯について。

藤田「プロデューサーさんと話をする中で、若者の投票率の低さとか、自分たちのことは自分たちで決めなきゃいけないということをメッセージとして伝えたいという話題になって、でも僕自身は政治の話は書けそうもないので、もっと世界観を狭めて夜間学校という設定にしました。同じく夜間学校を舞台にした三谷幸喜さんのドラマ『HR』がすごく好きだったというのもあります。ああいう感じで、いろんな年代の人たちが同じ場所で楽しくワチャワチャやってるお話を書きたいですね」
中山「夜間学校って、やっぱりちょっと真っ当な生活ができなかったり、したくない人が行くところってイメージがありますよね。今回はコメディですから、そういう難ありの人がたくさんいると成立しやすいと思うので楽しみです。そもそもお芝居なんて、平和な人たちが集まっても面白くないですからね。あと、実はうちの息子が夜間学校に行ってて……途中でグレて辞めちゃったんですけど(笑)、いろいろ話を聞いてみようかなと思ってます」

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――― 脇はテレビや映画で活躍する俳優のイメージが強く、青山はアイドルとしてさまざまな仕事をこなす。一方で2人とも舞台経験があり、生で表現することの魅力を感じている。

脇「学校ものだと僕は今まで生徒役が多かったですが、今回は担任教師の役です。夜間学校と言えば、僕は山田洋次さんの映画『学校』を思い出しますけど、今回はあそこまで熱い先生じゃないらしいのでホッとしてます(笑)。舞台の楽しいところは……映像だとNGになったらやり直しですけど、舞台は自分が失敗しても誰かがサポートしてくれたり、そこからまた組み立てていったりするような、本番でしか味わえないグルーヴ感にあると思います。お客さんの反応も、同じことをやってもドカーンとウケたりウケなかったり、毎回変わる。いつもウケる場面がどうして今日はウケないんだろう?ってくじけそうになることもありましたけど、そういうときはお客さんがちゃんと観てくれてるんだなって、今では良い解釈ができるようにもなりました」
青山「私はガリ勉の女生徒役です。最初、地下アイドルの子をやるのかな?と思っていたので、ガリ勉役だと聞いて“マジか!”って思いました。横分けの設定なので、これから前髪を伸ばします(笑)。髪型だけじゃなく眼鏡とかでもキャラクターを作っていけるのが、ちょっと楽しみでもありますね。舞台の魅力は、やっぱりリアルタイムにお客さんに観てもらえるというのと、カーテンコールでお客さんの拍手を聞くときの達成感です。それに、今はSNSですぐに感想をもらえるし、そこで演出の狙いをわかってもらえたりするとすごく嬉しかったりして。ライブも生の表現ですけど、舞台は台詞によっていろんな感情が湧き出るというか、すごく波打つ感じがして、そういうところは違いますね」

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――― 高校の夜間部という、シリアスにも笑いにも振れるシチュエーションでどのように物語が紡がれていくのかも見どころになりそう。

藤田「基本的には笑って楽しい気持ちで帰ってもらいたいんですけど、最初に話したように、これから社会を作っていく若い世代の人に危機感を持ってもらいたいなという思いはどこかにあります。といっても、ちょっと考えたらそういうメッセージがあったのかって気づいてもらえたらいいなというくらいで、それを前面に押し出したくはない。そこはすごく微妙なバランスですね」
脇「先生も成長していくみたいなところもあるんですか?」
藤田「そうですね、そういう部分も入れたいかな」
脇「共に育つ、と書いて“共育(=教育)”っていうやつですね」
藤田「(爆笑)いいこと言いますね! それどこかに入れますよ!」


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――― こんな軽快なやり取りも見られた取材現場には、脇が話した“グルーヴ感”の片鱗がすでにあると思えた。

中山「学校というのは基本的に日常空間ですけど、その日常の中でも若干の非日常というか特別な空間と言えるのが夜間部。そこで思い切り遊べたらいいなと思いますね」
青山「学校を舞台にした作品をやらせていただくのは初めてなので、日常に近いようでちょっとズレてるっていうのは表現として一番難しいのかなと思いつつ、自分でちゃんとイメージとか裏付けを作って挑みたいです。お客さんにしっかり伝わるように頑張ります!」
脇「見ているお客さんたちが、この空間に僕もいたい、私も生徒になりたいと思ってもらえるような楽しい舞台になったらいいなと思います。そして家に帰ってから、最も幸せと書いて“最幸(=最高)”な舞台だったなと思ってもらえるようにしたいですね」 (一同爆笑) 脇「こういうの大好きなんですよ(笑)」
藤田「コメントしづらいな(笑)。取材してもらっている現時点ではまだ脚本もできてないですけど、ずっと書きたかったライトなコメディなので、この機会に僕は好きなように書かせていただきます。あとは中山さんにお任せして(笑)。見終わった後に、お客さんみんなが、最も幸せと書いて“最幸”と思っていただける舞台になったらいいなと思ってます(笑)」
脇「ええーーっ!(笑)」

(取材・文・撮影:西本 勲)

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