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拝田ちさと

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新垣里沙をはじめとする女性キャスト陣が尼寺を舞台に大暴れ!

ファンタジー作品で定評のあるキャットミント隊が、上質なコメディ作品と共に”CATMINT”として再出発

主宰・演出の拝田ちさとを中心に精力的な活動を続ける演劇ユニット キャットミント隊が、結成5年目を機に“劇団CATMINT”と名を改め、新作『ほとけのいろは』を上演する。これまで得意としてきたファンタジックな世界観とは異なり、本作は尼寺を舞台にしたコメディ。「世の中にたくさんのコメディ作品がある中、私たちがやりたいのは上質なコメディ」と話す拝田に、さまざまな変化の奥にあるものを聞いた。

PROFILE

拝田ちさと(はいだ・ちさと) のプロフィール画像

● 拝田ちさと(はいだ・ちさと)
11月18日生まれ。サンパウロ出身。2012年に演劇ユニット キャットミント隊を立ち上げ、新垣里沙・山下翔央・米原幸佑・和田琢磨・北村諒・小松未可子・北山詩織など、多岐に渡るジャンルから毎回豪華なキャストを迎えて公演を行う。自身も舞台に立ちつつ、近年は脚本・演出に軸足を移し、2016年12月からはCATMINTとして新たなステージを目指す。

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落語家・桂三四郎が初めての脚本を

――― 大航海時代に生きた海賊王の娘の運命を描く『アンジェラ』、人魚姫伝説を下敷きにしたアナザーストーリー『人魚外伝〜Anecdote of Mermaid〜』に続いて、2017年1本目となる本公演『ほとけのいろは』。近年の作品の雰囲気から一転し、尼寺というモチーフが出てきた理由を拝田は次のように説明する。

「そこにあまり深い意味はないんですけど、ただキャラクターで笑わせたりするようなものではないコメディ作品を作りたいと思ったとき、人間が一番笑いたくなるのって、ほんとは笑っちゃいけないシチュエーションじゃないかなって思ったんです。わかりやすい例で言うとお葬式とか、結婚式で大事な人がスピーチしてるシーンとか。そういう中で考えると、今回は尼寺かなと」

――― 脚本を手掛けるのは落語家の桂三四郎。CATMINTではいくつかの公演でオープニングに落語を披露しており、ファンにはおなじみの存在である。

「尼寺を舞台としたプロットを作っていて、一番面白い脚本を書けるんじゃないかってピンと来たのが三四郎さんでした。今まではゲストで出ていただくだけでしたが、いつかお仕事をしたいなと思っていたんです。もちろん落語家さんなので言葉のプロでいらっしゃるんですけど、脚本を書くのは初めて。でも、三四郎さんのブログを読んでもわかるようにとても個性的な文才をお持ちなので、今までにない演劇の脚本になると思ったのがお願いした決め手です」

コメディエンヌとしての顔を存分に

――― わがまま放題に育った天真爛漫なヒロインが、父の病気を機に実家の寺を継ぐため尼僧の修行に入る。そこには同じく尼僧を目指す修行僧たちがいて、皆それぞれ一癖も二癖もある人ばかり。さらに、離れた山寺から逃げ出した若い男性修行僧が転がり込み、さまざまな騒動が巻き起こる……そんな『ほとけのいろは』でヒロインを演じるのは、CATMINT作品には4回目の出演となる新垣里沙。

「完全に彼女のイメージで作りました。彼女はどんな役でもできる女優さんですけど、割とプライベートな話もする間柄で、どういう役が好きとか、こんな役をやってみたいっていうことをけっこう言うんです。そこでコメディをやりたいっていう話をお互いにしていたのが印象に残っていて、今回は彼女でいこうと。コメディ要素がありながらも、ちょっとハートフルな部分もあるという感じの作品です。尼寺に男性が転がり込んでくるなんて実際にはありえないんですけど、そういうことがないと楽しくないですからね(笑)」


インタビュー写真

――― 尼寺が舞台ということでキャストは女性がメイン。中でも、修行尼僧の一人で元インチキ占い師を演じる遠山景織子の参加は大きなトピックだ。

「私がすごく好きなTVドラマ『歌姫』に出ていらっしゃいましたし、もちろんデビュー作(映画『高校教師』)から知っているのでそのイメージもあります。バラエティ番組でコメディを長くやってらっしゃったので(『笑う犬の生活』)、そういうセンスもお持ちですし、テンポ感もすごい。今回の配役の中では一番と言っていいくらい難しい役ですが、とても楽しみです」

あくまでも“作品”で楽しませる演劇を

――― 立ち上げ当初からハイペースで活動を続けるCATMINT。メジャー級のキャストを迎えたり、新海誠や島田秀平の原作を取り上げるといった話題性を通して、演劇という枠にとらわれない開かれたアプローチを行ってきた。

「私自身、演劇を始めたのも遅いですし、そもそもいわゆる演劇畑出身でもない。ベテランの方に言わせれば本当に素人同然ですけど、自分たちの感覚で、よりお客さんの目線に近い考え方はできる方だと思います。もちろん好きな劇団はありますけど、そこを目指すとか、その位置に行けるなんて到底思っていません。でもある意味では越えなきゃいけない……そんな気持ちですね。ちょっと独特な団体だよねってよく言われますが、そういうスタンスでやっていけたらいいなと思っています」

――― CATMINTと名前を改めてリスタートするという大きな節目にあたり、これまでのファンに向けて、そしてこれからのファンに向けてメッセージをもらった。

「最近はファンタジーが多かったので、作品の世界観が好きですって言ってくださる方がすごく多いんですけど、そういう方にとっては、今回はちょっとテイストが違って、キャストも少ないし女性ばかりだし、キャットミント変わっちゃったのかな?と思われるかもしれません。でも基本にあるものは変わらず、お客様に何か明日の活力になるようなものを持って帰ってもらいたいというコンセプトでやっていきますので、今まで応援してくださった方には、これからも見守っていただきたいなって思います。
 そして、これから新しく見てくださる方には、とにかく質の高いコメディと演劇をお見せしたいです。誰々が出ているから見たいという感じではなくて、作品が面白いと言ってもらえるものを目指していますので、ぜひゆっくりと楽しんでいただけたらと思います」


(取材・文&撮影:西本 勲)

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